シリーズ第6弾は、83年の武道館ライブ！

　イルカの軌跡をたどる企画として、2013年にスタートしたアーカイブ・シリーズは、ただのリマスタリング復刻ではなく、ボートラやイルカの秘話満載のライナー付きという、コアなファンほどが大喜びする好企画。
 
　これまでにVol.1「イルカの世界」＆「夢の人」とVol.2「イルカ・ライヴ」＆「植物誌」（ こちらで紹介）、Vol.３「我が心の友へ」＆「FOLLOW ME」とVol.4「ノエルの不思議な冒険」（ こちらで紹介）、 Vol.5 「いつか冷たい雨が」「あしたの君へ」（ こちらで紹介）と続いてきましたが、第６弾のリリースが決定しました！
 
　3つ目のライブアルバムにして、83年12月3日の武道館コンサートを収録した2枚組の「 イルカ アーカイブ Vol.6 「BIG CHALLENGE」 」！
 
　イルカの武道館ライブというと、1980年、デビュー10周年を記念して誕生日に行われたのが最初だったように記憶しておりますが、コレは連続4度目となった公演。
　バッキングにはロサンゼルスから、ジェームス・テイラーやボブ・ディランらをサポートしていたメンバー、すなわちラス・カンケル（ドラム）、リーランド・スカラー（ベース）、クレイグ・ダーギー（キーボード）、フレッド・タケット（ギター）という一流ミュージシャンが参加。まさにビッグなチャレンジで行われたコンサートです。
 
　こうしたメンツとイルカとの共演は意外な感じがするかもしれませんが、イルカは77年にオリコン1位を獲得したアルバム「植物誌」や、80年の10周年記念アルバム「我が心の友へ」でLAレコーディングを行っており、これらメンバーとはセッションも含め旧知の仲。
　そんなワケで、石川鷹彦（ギター）、中西俊博 （バイオリン）、ジェイク・H・コンセプション（サックス）といった日本メンバーを含め、息の合ったステージングを披露しているのです。
 
　イルカサウンドというと、70年代半ばのアコースティックなほのぼのフォークに始まり、その延長線上にあったウェストコーストサウンドのエッセンスを加味したニューミュージックを経て、80年からはぐっと洗練された大人のシティポップスへとシフトしましたが、その頂点といえるのがこのライブではなかったかという気がします。
 
　ライブの内容は、妹分・沢田聖子に提供した「ドール・ハウス」「青春の光と影」のセルフカバーをはじめ、当時の最新アルバム「LOOP CHILD」が中心で、シングルも「夜明けのグッドバイ」「FOLLOW ME」「LOST LOVE」といったAOR路線が目立ちますが、「なごり雪」「雨の物語」という２大ヒット曲も入っていますので、イルカのイメチェンで離れてしまったファンにもオススメ。
　というか、今聴き返すとイルカのシティポップスもまった違和感がなく、初期のフォークファンが当時受けたという違和感はゼロで、むしろしっくりする感じもあるのではと思います。  
 
　いずれにしても、イルカのライブならではの楽しいトークも収録されておりますし、今回はボーナストラックとして、オリジナル盤には入っていなかったナンバー「少年」が追加収録されるとのことですので期待大ですよね。
 
　なお、豪華なライブだけに音だけでは満足できないという人がいらっしゃいましたら、DVD「 イルカ映像集ライブ＆アーカイブ～イルカwith Friends Vol.10（2014）＋映像アルバム「風の便り」（1984）～ [DVD] 」もご一緒に。武道館ライブの映像が入った84年発売のLD「風の便り」も完全復刻されていますので、LAのミュージシャンたちとのプレイが満喫できること請け合いです。