ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#914
竹内まりや/BEGINNING <デビュー40周年記念リマスタリング盤>
(2018.11.21発売、BVCL-940、¥1,851+税)

まりや40周年イヤー企画がスタート!

  1978年11月25日、安井かずみ+加藤和彦コンビによる伊勢丹'78 秋のキャンペーンソング「戻っておいで・私の時間」でデビューしてから、今年で40周年を迎える竹内まりやさん。
 
 来年にかけてアニバーサリー企画が続々用意されているようですが、そのスタートとして、シングルと同時発売されたデビューアルバムの40周年記念リマスタリング盤「 BEGINNING リマスタリング盤 」の発売が正式にアナウンスされました!
 
 まりやRCA時代のアルバム再発はというと、BOXも含め80年代に3回、90年代に3回行われているようですが、最も直近で99年5月のRCA名盤選書オリジナル・アルバム紙ジャケット完全復刻シリーズ。しかも現在カタログで生きているのは97年盤ということで、実に20年の歳月が過ぎているのですね。
 誰もがもはやCDは…と思っていたようなタイミングだけに、今回の40周年記念リマスタリング盤は、最後のコレクションという感じで喜んでいるファンは多いのではないでしょうか。
 なお、今回の再発では、能地祐子さんによるRCA時代を振り返るインタビュー(Vol.1)も掲載されるということで、買い換え、買い増し必須ですよね。
 
 さて、まりやのデビューといえば、サーファーカットにクリッと愛らしい目もとを持つルックスをはじめ、バイリンガルの大学生というプロフィールや、アルトボイスの洋楽志向などなど、同時期に引退した南沙織さんと似ていると言われていましたが、今思うと、ディレクターはシンシアのバックコーラスとしても有名なリバティ・ベルスの宮田茂樹さん。さらに作詞にはシンシアの世界を築き上げた有馬三恵子さんも起用していますからね。
 
 こういう状況証拠があってのポスト南沙織という扱いは偶然というより必然のような気もいたしますが、ルックスや歌声にシンシアの面影を探すうちに、まりやファンになった人も少なくはなかったと思います。
 何よりオールデイズやウェストコースト、カントリーの要素を散りばめたアメリカンポップスをベースに、日本の歌謡曲のエッセンスも漂わせた作品群は佳作揃いで、筒美作品で耳の肥えたシンシアフリークを唸らせていた印象があります。
 
 と、またまたシンシアに結びつけてしまいましたが、このデビューアルバムはLA録音を含む11曲。作家陣も豪華で、自作品のほか、旧友の杉真理をはじめ、レーベルメイトの山下達郎や大貫妙子、高橋ユキヒロ&細野晴臣、告井延隆(センチメンタル・シティ・ ロマンス)、林哲司らを起用しております。
 
 達郎の書き下ろし「夏の恋人」や、ター坊の同時期のアルバム「ミニヨン」( こちらで紹介)からカバーした「突然の贈りもの」、その後の「駅」「シングル・アゲイン」にもつながる湿度の高い歌謡曲っぽいナンバーまで、ソングライターよりもボーカリストとしての資質が抜きん出ていることを確認できると思います。
 
 ちなみに初期のまりやはアイドル的な活動をしていたのも確かですが、登場したのが時代の狭間だったことが大きいと思うのですね。ちょうど歌謡曲とフォーク・ニューミュージックの融合による黄金律が崩れ、ニューミュージックの方へとバランスが傾いていった頃、男性ならロック御三家、女性なら渡辺真知子というように、いわゆるニューミュージック系のシンガーがアイドルの役割も果たすようになっていたからなんですよね。それは、彼らがトップアイドルの象徴である「明星」や「平凡」の表紙や、付録のポスターにまで起用されたことでも分かるでしょう。
 榊原郁恵、大場久美子、石野真子といったトップアイドルすら、ベスト10はおろか20位以内にも食い込めなくなるなど、アイドルのレコードが売れなくなった時代だったのですからね。
 
 その証拠に79年組で純粋な女性アイドルと言えば倉田まり子と井上望、高見知佳ぐらいで、あとはまりやと三人娘的な扱いを受けていた杏里と堀川まゆみ 共に賞レースを争った桑江知子、さらに石川優子、越美晴、宮本典子ら、前年ブレイクを果たした庄野真代、中原理恵、大橋純子らを追うニューミュージック系のシンガーばかり。
 余談ですが、この割を最も食ったのが、前年に新人としてこの市場を牽引した金井夕子ではなかったかと思っております。
 
 で、80年代に入ると、この揺り戻しのように岩崎良美や松田聖子といったソフィストケイトされた音楽性を持つアイドルがニューミュージックを飲み込み、女性ボーカル市場を席巻していくワケですが、その先陣を切ったのは実はまりやの「不思議なピーチパイ」だったりするんですよね。
 
 と、またまた話が横にそれましたが、そういう意味でも、このデビューアルバムは象徴的。70年~80年代にかけてのアイドルフリークにも改めて聴いていただきたい1枚です。
 
 とにかく、今回のアニバーサリーイヤーはいつになく精力的で、10月にはニューシングル「 小さな願い/今を生きよう(Seize the Day) 」をリリース。11月にはまりや史上初となるファンミーティングや映画公開も行われるなど、グイグイ来ている印象。この調子で、続く40周年リマスタリング盤にも大いに期待したいものです。
 
 
 

(2018.9.25)
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