聖子初期のライブソフトが初のブルーレイ化！

　今夏のアリーナツアー「Seiko Matsuda Concert Tour 2018 Merry-go-round」も来週末で千秋楽を迎える松田聖子さん。
　口さがない人からマンネリ、口パクなどと言われようが、セルフプロデュースのアルバムがどんな内容であろうが、中盤以降のヒット曲メドレーはいつ観ても圧巻。今年も大いに幸福感を感じたものですが、元気な聖子を元気に見られる幸せといいますか、年を重ねるほどにお盆の帰省にも似た感情を抱いております。
 
　聖子の場合、ライブ映像をパッケージしたソフトは80年代から出ており、メディアがベータやVHS、LDからDVD、ブルーレイへと変遷を遂げても、その都度リリースを繰り返してきました。
　ただ、ブルーレイ化に関しては２度目のソニー時代後半となる2006年から2009年までが中心で、ユニバーサルに再移籍してからは2010、2011年とごく一部。毎年のツアーもDVDしか発売されない状況が続き、昨年のツアーがやっとブルーレイも発売になったという感じで全然進んでいないのですね。
 
　それがですね、なんと、ここに来てソニー時代初期のライブソフト３タイトル「 ファンタスティック・コンサート レモンの季節(Blu-ray Disc) 」「 Seikoland ~武道館ライヴ ’83~(Blu-ray Disc) 」「 SEIKO CALL~松田聖子ライヴ ’85~(Blu-ray Disc) 」がブルーレイでリリースされることになりました！

　この３タイトルがリリースされるのは、2005年の25周年記念DVD-BOX「25th Anniversary Seiko Matsuda PREMIUM DVD BOX」以来13年ぶり。この時が初DVD化でしたけど、何せBOXでしたからね。持っていなかった人には待望の朗報でしょう。
　持っている人だって、聖子黄金期の初ブルーレイということで買い増しする方も多いような気がします。
 
　内容を簡単にご紹介しますと、まだビデオデッキ自体が普及していなかった頃の貴重映像なので、「 ファンタスティック・コンサート レモンの季節」は聖子初のビデオソフト。
　82年5月NHKホールで行われた「ファンタスティックコンサート」振替公演から、初期のヒット曲オン・パレードを収めた構成。アルバム曲からは大瀧詠一作品「いちご畑でつかまえて」が歌われているのでナイアガラフリークの皆さんも必携です。
 
　レッツゴーヤング風の電飾セットというシンプルなステージングのもと、生歌での圧倒的な歌唱力と、飛び散る汗すらもフレッシュに輝くアイドル・聖子を堪能できます。
　といっても「渚のバルコニー」が新曲だった頃につき、“聖子ちゃんカット”じゃないのが残念。70年代アイドルっぽいドレスとも相性が良くないように思います。
　その点、ジャケットはレモンイエローでスポーティーに決めておりますが、今見てもあのショートのパーマヘアはオバさんっぽい感じですネ。
 
　なおオリジナルリリース時には、“聖子の新しい魅力が息づくVIDEO LP”という通り、高価な長尺ビデオという扱いでした。その証拠にダイジェスト版のビデオシングル「渚のバルコニー」も発売されましたが、それですら3,900円でしたからね。今回のブルーレイより高い…聖子の顔を見比べるまでもなく、時代の変遷を感じます。
  
　続く「 Seikoland ～武道館ライヴ '83～ 」は、「SWEET MEMORIES」効果で「ガラスの林檎」が１位に返り咲き、新曲「瞳はダイアモンド」とダブルでチャートインしていた83年12月。ユーミンの度肝を抜くステージングで名を上げた伊集院静さんを演出に抜擢し、日本武道館で行われたコンサートを収録。
　他とは一線を画す楽曲のクオリティやアルバムセールスの高さも相まって、押しも押されもしない日本一のスーパーアイドルへと成長した聖子。彼女がいかに魅力的だったのか、その記録といっても差し支えない映像作品です。
　当時の感覚でいうとステージ上で豪華客船・SEIKO LAND号が出航するというアイデアにも脱帽ですが、そこで繰り広げられるパーティーをコンセプトに、衣装やダンスも含め、魅せることを意識したパフォーマンスを洗練とまではいなくとも体当たりで表現する聖子。
　「マドラス・チェックの恋人」といったB面曲に加え、今もコンサートの定番となっている「セイシェルの夕陽」、当時の最新アルバムから「Canary」「BITTER SWEET LOLLIPOPS」、初期ライブのオーラス定番曲だった「Only My Love」など、シングル外からもバラエティーに富んだ選曲もグーですね。ラストの涙でマスカラがはがれたシーンも今となっては貴重でしょう。
 
　そして最後は、結婚休業に入る節目で行われた独身最後のツアー「Seiko Prism Agency」を収めた「 SEIKO CALL～松田聖子ライヴ '85～ 」。
　84年から85年にかけ涙の別離会見からまさかの婚約発表まで、怒濤のジェットコースター的展開を見せた聖子にとって、当時としてはさよならコンサート的な意味合いもありましたが、まさにこのライブは松田聖子黄金時代、第1期の集大成。
　巨大な飛行機のセットはもちろん、当時最新鋭のレーザー光線（これに関しては今も進化してませんね）、攻めのバリエーションに富んだ衣装、嶋田ちあきさん渾身のヘアメイク、どれを取ってもハズレなしの選曲、すべてがぐっと洗練され、とにかく豪華なショービズ聖子ワールドです。
　おなじみのヒット曲であっても、七変化のヘアスタイルや衣装の早変わりをはじめ、観客をあっと驚かせる仕掛けが満載。とりあえずのラストシングルですが、テレビではほとんど歌われることのなかった「ボーイの季節」など、絶唱と思えるナンバーも多数。いかに聖子の歌唱力がすごかったかをつぶさに記録したビデオととらえることもできますね。
　
　という聖子黄金期ライブソフトのブルーレイ化。思えば、2011年に聖子のソニー時代のアーカイブスの窓口が、カタログ部門のSMDRに移って以来、映像ソフトがリリースされるのは今回が初めて。
　ソニーミュージックも今年で記念すべき50周年ですから、これを機に聖子の続編のみならず、他のアーティストもどんどん映像リイシューが企画されますよう、楽しみに待ちたいと思います。