40周年第4弾、エアプレイとのコラボを含む4th！

　去る11月25日にめでたくデビュー40周年を迎えた竹内まりやさん。
　デビュー記念日にNHK-FMでオンエアされた「今日は一日“竹内まりや”三昧」では秘蔵音源が多数かかった上、ご本人も登場（達郎のまりや評は感動モノでしたネ）。映画「souvenir the movie ～Mariya Takeuchi Theater Live～」も好評で上映劇場が追加されたり、期間延長される劇場もあったりと、アニバーサリーイヤーは大いに盛り上がっている様子です。
 
　ホリデーシーズン恒例のケンタッキーCMソングも含め、まりやの季節という感じがしますが、デビュー40周年記念企画として進んでいる初期RCA時代のアルバムの記念リマスタリング盤も、5カ月連続リリースが正式にアナウンスされました。
 
　ファースト「BEGINNING」（ こちらで紹介）、セカンド「UNIVERSITY STREET」（ こちらで紹介）、サード「LOVE SONGS」（ こちらで紹介）と来まして、2月は4thの「 Miss M 」、3月は5thの「PORTRAIT」というワケですが、単なる再発とあなどれないのが、まりやブランド。
　秘蔵ライブ音源などのボートラや、ブックレットにはノージ祐子さんによるRCA時代を振り返るインタビュー付きという、過去のリイシューにはなかった充実した内容にもかかわらず2,000円ポッキリというリーズナブルなプライスとなっているんですね。であるからして、既発盤を持っている人も、買い増し、買い換え必至といえるでしょう。
 
　また、近年は海外の日本のAOR人気に伴って、初期の作品もあらためて再評価されていますから、未聴だった人も要チェックのタイミングではないかと思っております。
 
　さて、今回リリース日が発表されたのは1980年12月リリース、4thの「 Miss M 」。LA録音で、デビッド・フォスター＆ジェイ・グレイドンのエアプレイとのコラボという、大ヒット後のご褒美のような豪華なレコーディングが実現したアルバムです。
 
　「不思議なピーチパイ」の次で期待されていたのにスマッシュヒットに終わってしまったシングル「二人のバカンス／遠く離れて (WHEN YOU'RE SO FAR AWAY)」と、同時発売のゴキゲンなリカットシングル「SWEETEST MUSIC／MORNING GLORY」を含む全9曲。A面がLAサイド、B面が東京サイドという構成でした。
 
　やはり注目はLAサイドで、オープニングの「SWEETEST MUSIC」から手放しにカッコイイのひとこと。
　南沙織ファンにはLA録音盤「シンシア・ストリート」でおなじみのアラン・オディが作詞し山下達郎が曲を書いた「EVERY NIGHT」、デビッド・フォスター、ジェイ・グレイドン、そしてマーク・ジョーダンという豪華な布陣による「SECRET LOVE」といった英語で歌うナンバーでは、エアプレイからTOTOに至る本場のAORサウンドにのせて、バイリンガルまりやのボーカリストとしての本領がいかんなく発揮されております。
 
　東京録音のB面はほぼ自作品でまとめられていますが、ソングライターとしての力量も見事に示しており、人気曲「遠く離れて (WHEN YOU'RE SO FAR AWAY)」などは英語詞も相まってスタンダード感満載。達郎、EPOのコーラスもさえわたる「FAREWELL CALL」も含め、AORやシティポップスというより、カーペンターズのような上品なポピュラリティーが漂っていますよね。
 
　地味なジャケットということもあり見過ごされがちのようですが、過去4枚のまりや像とは決別し、本来の竹内まりやの立ち位置を確立した記念碑的なアルバムではないかと思っております。タイトルはその宣言ですよね。
　ただ、その結果、初期のまりや路線というか、お茶の間でも支持されるポップス歌謡（コレはコレでホントに素晴らしいと思います）を求めていた当時のファンの中心層には難しかったのも事実でしょうか。
 
　その葛藤のようなものはご本人も感じていたそうですが、個人的にはすべて音楽に映し出すシンガー・ソングライターならではのやり方で昇華させ、5thアルバムで素晴らしい形で結実させたと思っているおります。
　ただ、結局は休養ということになりましたから実際のところはどうなのでしょうかね。そのへんの思いもライナーでは吐露されるのかどうか、そういったところも楽しみな第4弾であります。