15年ぶりのベスト盤はシングルA面コンプ！

　来年早々、２ヶ月連続で20タイトル近くがゾクゾク発売されるコロムビアの「ゴールデン☆ベスト」のUHQCD。
　１月リリースのニューミュージック、ロック系9タイトルの中では こちらと こちらをピックアップしましたが、２月発売の歌謡曲、フォーク、アイドル系10タイトルの中からは、やっぱり新編集のコレをご紹介しましょう。
 
　高見知佳ちゃんの15年ぶりのベストCDとなる「 ゴールデン☆ベスト 高見知佳 」！
　シングルA面19曲をコンプリートし、柏原芳恵のリメイクヒット「し・の・び愛」の元歌として知られる高見沢俊彦作品のB面曲「しのび逢い(Don't Leave Me Alone)」を加えた全20曲を収録。コレクションするにはうってつけ、これぞG☆Bといえる定番の選曲となっております。
 
　さて、1978年11月、レコード会社の先輩でブレイク真っ只中だった榊原郁恵路線でデビューした知佳ちゃん。明るいキャラクターやルックス、タレント性のせいでバラドルの魁のようなイメージが定着してしまっていますが、当初から歌唱力には定評があったんですよね。
　楽曲にも恵まれていて、デビュー曲「シンデレラ」から「シルエット」「お嬢さんお手やわらかに」までの3曲は、橋本淳＋筒美京平のゴールデンコンビが担当。正直、橋本淳さんの世界観は70年代後半のティーンには古くて野暮ったく、それが抜けきれない要因ではなかったかと思いますが、第2弾の「シルエット」は筒美ディスコ歌謡の傑作の一つとして再評価されております。
 
　その後も、門谷憲二＋西島三重子、竜真知子＋馬飼野康二、安井かずみ＋加藤和彦と、コンビを変えてコンスタントにリリース。ドラマで妹役を演じたこともあってか、かの近田春夫さんも推し続けていた印象がありますが、特にズズ&トノバンが大きくイメチェンさせた「ジャングル・ラブ」「ボーイ・フレンド」は業界受けがハンパないかんじでしたよね。
　所属事務所の田辺エージェンシーとしては、研ナオコや中原理恵につながるラインというか、歌とのギャップというか、変身の面白さを習っていたように思いますが、ただどれもヒットにはつながらず…。初のスマッシュヒットは、デビューから5年が過ぎた84年まで待たねばなりませんでした。
 
　それが、資生堂CMソングに起用され、オリコントップ20入りを果たしたEPO作品「くちびるヌード」。変幻自在な知佳ちゃんの歌声は、テクノなオリエンタルサウンドとこの上なくマッチしたんですよね。湯村輝彦によるアートワークも素晴らしく、続編「上海エトランゼ」と合わせて歌手・高見知佳の金字塔だと思っております。
 
　結局は85年の、戸川純＋矢野顕子という最恐コラボ「怒濤の恋愛」（純ちゃんの「玉姫様」のオープニングとは同名異曲）を最後にリリースは途絶えてしまうのですが、B面でカバーした太田裕美作品「満月の夜 君んちへ行ったよ」も含め、こういうひと癖あるニューウェイブ路線を貫けば、バブル時代にもうひと花咲かせることができたのではないでしょうかね。
　知佳ちゃんといえば結婚した2001年から引退状態が続いていましたが、昨年離婚したことで復帰も期待されているようですし、このCDを聴けばぜひまた歌ってほしいと思う人が増えそうな気がします。
 
　という歌手・高見知佳の軌跡を追える好ベスト。2003年にアイドル・ミラクルバイブルシリーズとして出た2枚組の「高見知佳ベスト」が入手困難になっているだけに、未聴の方はぜひご入手を。
 
　なお、オンデマンドCDでは2010年からアルバム復刻も進んでいて、「 ファーストデイト 」（ こちらで紹介）のほか「 ペーパームーンに腰かけて／高見知佳Ⅱ 」「 蜜の味～A Taste Of 3rd～ 」というオリアルのほか、歌手ブレイクを果たした84年の企画盤「 Rendez-Vous 」とベスト盤「 3/6 」という計5タイトルが入手可能です。