03年のG☆BがSACDハイブリッド化！

　近年のSACDハイブリッド復刻といえば、ステレオサウンドやタワレコ限定と相場が決まっておりましたが、なんとここに来て、ユニバーサルミュージックからの企画が堂々登場！
　それが「SACDベスト・オブ・ベスト」と題したシリーズで、邦楽の決定盤ベストCD21タイトルを、2022年DSDマスターでSACDハイブリッド化するというもの。
 
　中でも注目は、シリーズのラインナップでありながら、SHM-CD（2枚組「 歌物語」）、LPレコード（3枚組「 歌物語＜完全生産限定盤＞」）でのリリースも決定した薬師丸ひろ子さんの歌手活動30周年時のベスト「 歌物語」。今年は歌手活動40周年であり、記念のコンサートツアー開催のタイミングとも重なり、また盛り上がりそうな気がします。
 
　とはいいつつも、その他は、由紀さおり「 ゴールデン☆ベスト 由紀さおり」、野口五郎「 ゴールデン☆ベスト 野口五郎」、石川セリ「 ゴールデン☆ベスト 石川セリ シングルス・アンド・モア」、大橋純子「 ゴールデン☆ベスト 大橋純子 シングルス 」、本田美奈子「 ゴールデン☆ベスト 本田美奈子.」、泰葉「 ゴールデン☆ベスト 泰葉」など、かつて税抜き951円のスペシャル・プライス盤で廉価再発もされた「ゴールデン☆ベスト」シリーズが多く含まれており、何とも微妙な心境に陥ってしまいますが、そこは普通ならSACD化など夢のまた夢だったと思いますので、素直に喜ぶべきでしょう。しかも、この人もラインナップされているのですからね。
 
　そう、ちょっと大物、80年の夏をひとりじめにしたNo.1ギャル、かっしわばらよしえこと柏原芳恵さん。2003年にリリースされた「ゴールデン☆ベスト」をSACDハイブリッド化した「 ゴールデン☆ベスト 柏原芳恵 (UM YEARS)」！
　ご存じG☆Bシリーズの1枚として出たCDと同じ内容ですが、芳恵ちゃん初のSACDハイブリッド盤と相成ります。
 
　このアルバムは、彼女がデビューした1980年から87年初頭まで所属した日本フォノグラム・フィリップスレコード時代のベスト盤。
　7枚目のブレイクシングル「ハロー・グッバイ」から、26作目の「春ごころ」まで、連続オリコンベスト10入りを果たしたシングルA面18曲に、記念すべきデビュー曲「No.1」を追加した全19曲が収録された、まさにベスト・オブ・ベスト。
　おなじみのナンバーばかりですし、一時期951円のスペシャル・プライス盤がプレスこともあり、安直なSACDハイブリッド化を、3千円以上も出して買い直すのは勇気が必要ですが、果たして、あのネットリとクセになる歌唱がSACDではどう聴こえるのか、その誘惑に打ち勝てないファンは多いことでしょう。
 
　とはいえ内容にはハズレなしで、収録曲の作家陣は「スター誕生！」出身者ならではの阿久悠＋都倉俊一の黄金コンビから、筒美京平や三木たかしといった職業作家はもちろん、谷村新司、松山千春、五輪真弓、松尾一彦（オフコース）らニューミュージック勢まで。
　書き下ろし曲はもちろん、アグネス・チャンやＫとブルンネンのリメイクもしっかり自分のモノにしてしまう技量は、最後の歌謡曲歌手と呼ぶにふさわしい存在だと思いますが、中でも「春なのに」「カム・フラージュ」「最愛」「ロンリー・カナリア」といった一連の中島みゆき作品は出色。同類項の人にしか曲を書かないと公言していたみゆきサンが認めた、数少ない同類項として、もっと評価されてしかるべきではないかと思っております。
 
　なお、2003年のオリジナル盤では、芳恵への改名記念シングル「花梨」が間違ってアルバムバージョンで収録されていたそうですが（まだ日本フォノグラムが存在していた頃の「NEW BEST」でも「あの場所から」がアルバムバージョンだった前科あり）、今回のSACDハイブリッド化にあたって、修正されないものでしょうか。ジャケットにはシングルのジャケ写をしっかりと使っていることですしね。
 
　それと、これまでBOX（ こちらや こちらなどで紹介）やオリアル復刻（ こちらや こちらで紹介）など節目節目にきっちりリリースされてきましたし、ユニバーサルに統合されてからも企画もの（ こちらなどで紹介）にはラインアップされてきた芳恵ちゃんはありますが、2枚組でシングル全曲を網羅したベスト盤がいい加減出ないものでしょうか。実績から言っても申し分ないですし、初期のフィリップスレコード（日本フォノグラム）も、移籍した東芝EMI（G☆Bは こちらで紹介）も、今じゃどちらの音源もユニバーサルが有しているんですから。