ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1149
C-C-B/THE SINGLE COLLECTION
(2023.6.28発売、UICZ-4636~7、¥3,080 <税込>)

40周年で初のシングルAB面コレクション!

 筒美京平先生がお亡くなりになって2年半。先生が放ったヒット曲のメロディーは今も巷で流れ続け、レア音源を発掘するOMFの「筒美京平 アーカイブス」シリーズも、1( こちらで紹介)に続いて2( こちらで紹介)が商品化されるなど、再評価はとどまるところを知りません。
 
 60年代から、その時々のトレンドを取り入れ、さまざまな作風のナンバーを作ってこられた筒美先生。第一線のヒットメーカーであることにこだわり続け、どんなに大御所になっても新しい挑戦を続けてらっしゃいましたが、80年代後半に先生が力を注いで入らした代表といえばC-C-B。そう、松本隆さんとのコンビによる「Romanticが止まらない」でブレイクした5人組バンドです。
 
 2015年にはリーダーだったベースの渡辺英樹さんが、昨年にはドラムでメインボーカルの笠浩二さんがお亡くなりになってしまいましたが、今年はC-C-Bのデビュー45周年ということで、15枚のシングル両面を収録した初のコンプリートシングルAB面コレクション「 C-C-B THE SINGLE COLLECTION」がリリースされることになりました!
 
 さて、1983年に萩原健太さん作曲の「Candy」でデビューした時は、和製ビーチボーイズをコンセプトにしたココナッツボーイズというバンド名だったC-C-B。
 初期からのメンバーは笠浩二(ドラム)、関口誠人(ギター)、渡辺英樹(ベース)の3人で、翌年に田口智治(キーボード)と米川英之(ギター)が加入しメンバーが固定したものの、ヒット曲には恵まれず…。
 そんな中、85年1月から始まるTBS系ドラマ「毎度おさわがせします」の主題歌に急きょ起用されることになり、起死回生の決定打を狙って筒美先生にオファーしたそうですが、その依頼を行ったディレクターが筒美先生の実弟でいらっしゃる渡辺忠孝さん。よって筒美先生が、彼らにひときわ肩入れしていったのも当然だったといえるでしょう。
 
 このタイミングでC-C-Bと改名、ビジュアルイメージもあのカラフルな髪色を基調に一新するワケですが、シンセポップなサウンド面も含めお手本となったのがイギリスのニューロマンティック、ニューウェーブ系バンド。中でもアイドル性も高かったデュラン・デュランとその弟分、カジャグーグーを意識しての展開だったといいます。
 そういうトレンド追求が基本だったため、筒美先生としては「Romanticが止まらない」の船山基紀さんのアレンジに難色を示したそうですが(松本さんはイロモノっぽい髪色がNGだったそう)、結局はメンバーたちの意向でそのままとなり、大ヒットしたワケですから、結果オーライといえるでしょう。
 
 という経緯でブレイクしたC-C-Bですが、成功の理由はキャッチーな楽曲もさることながら、何と言ってもメインボーカルに抜擢された笠くんでしょう。筒美先生の英断で、本人は自信なく歌っていたそうですが、ドラムを叩きながらのハイトーンボイスは、シンセポップにぴったりでしたし、先行した稲垣潤一同様、いかにも筒美先生好み。
 よってペンは冴えわたり、「Romanticが止まらない/I SAY, I LOVE YOU」(どの歌手であれアーティストの本質を的確にとらえ魅力を最大限に発揮させる筒美先生の手腕がC-C-Bで最も発揮されたのは、メンバーの個性をしっかり粒立てさせた「I SAY, I LOVE YOU」だと思っております)に続くシングルはどれも名曲ぞろいで、「スクール・ガール/もっとハートフルに愛して」「Lucky Chanceをもう一度/サーフ・ブレイク」「空想Kiss/御意見無用、花吹雪」「元気なブロークン・ハート/スワンの城」(もしかしたらC-C-B最大の名曲は「スワンの城」かも)と連続してトップ10ヒットを達成。
 当初のイロモノっぽい印象はすぐに消え失せ、ラップにも挑戦した「ないものねだりのI Want You/霧のミステイク」ではオリコン1位を獲得するなど、当時アイドルバンドとして人気絶頂だったチェッカーズに迫る勢いを見せます。
 
 86年からはメンバーの自作曲も増えていきますが、その後も松本さんは解散する89年までほぼすべてのシングルA面曲を作詞。ドラムがメインボーカルというのも松本さんの創作意欲を掻き立てたのかもしれませんよね。
 また、筒美先生も関口くん脱退後の「2 Much,I Love U./夢の中でおやすみ」や米川くんボーカルの「抱きしめたい」、そしてラストシングルの「Love Is Magic/約束」まで、要所要所で曲提供しており、そういう意味では、C-C-Bは松本+筒美コンビが育てたバンド、いやバンドプロジェクトだったといえるでしょう。
 
 アイドルバンド的な扱いを受けますが、メンバーの音楽的資質は高く、全員がリードボーカルを取れたり、作詞作曲やサウンドメイクができたりしたこともC-C-Bの強みでしょう。 
 ボーカルでいえば、特に渡辺くんは美声で安定した歌唱力(松本伊代ちゃんとデュエットしたことも)を見せましたし、関口君の低音ボイスはC-C-Bに欠かせないアクセントとなっていましたし、自作にこだわらず日本一のヒットメーカーたちの作詞作曲ぶりを間近で見たことが、結果としてバンドとしてのクオリティとバランスを向上させていたように思います。
 関口くんの脱退など、いつまでもアイドル視されることに納得いかない時期もあったのかもしれませんが、セルフ作品にこだわった安易なシフトをせず、ブレイク後から最後まで松本+筒美コンビをベースに、ファンが求めるC-C-B像を貫いたことこそ、もっと評価されてしかるべきではないかと思います。
 
 ということで、今回のアンソロジー2枚組シングルコンプでボーナストラックも収録予定なのに、プライスは廉価というのが大きな魅力ですが、松本隆+筒美京平のバンドプロジェクトというとらえ方でC-C-Bの軌跡を追うのも一興かもしれません。
  
 一昨年、4月の「~筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト~ ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」と11月の「松本隆 作詞活動50周年記念オフィシャル・プロジェクト 風街オデッセイ」で見た、笠くんと米川くんによるC-C-Bパフォーマンスを思い出しながら、あらためて聴きたいと思います。
 
 

(2023.4.15)

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