ユーミン作品を含む、ガールズデュオの隠れた名作！

　もはやブームを超えたムーブメントとして定着した、ジャパニーズ・シティポップ。錦の御旗のように何でもかんでもシティポップと付けりゃいいというような風潮もありますが、ずっと復刻されなかったアルバムがようやくCD化されたり、入手困難だった音源が発掘されたりするのは大歓迎。それが廉価盤ならば、もう言うことはありません。
 
　という書き出しで、ハイ・ファイ・セットの再発3タイトル（ こちらで紹介）をご紹介したユニバーサルミュージックの「CITY POP Selections by UNIVERSAL MUSIC」シリーズですが、 第1弾 の14アーティスト25タイトルに続き、 第2弾 となる15アーティスト25タイトルの発売が決定したそうです！
 
　今回のラインナップは、中原めいこ、センチメンタル・シティ・ロマンス、倉橋ルイ子、RAJIE、丸山圭子、東京Qチャンネル、風見律子、Pony Tail、水越けいこ、渡辺信平、池田政典、久野かおり、庄野真代、岩下清香、原久美子。
　ラジの「 エスプレッソ＜限定盤＞」をはじめ初CD化も含まれるようですし、イロイロ聴きたいアルバムがたくさんありますが、今回ピックアップしたいのは、やっぱりポニー・テールの「 グリーティング・カード＜限定盤＞」です。
 
　小島康子と桜庭由子によるポニー・テールは、ユーミンがステージングに影響を受けたと語っている伝説のガールズデュオ。ユーミンが「昔の彼に会うのなら」の原曲「二人は片想い」を提供したり、初期の名曲「瞳を閉じて」をカバーしたり、ユーミンフリークにはおなじみの存在。
 
　この「 グリーティング・カード＜限定盤＞」は76年10月リリース。2008年にはブリッジからボーナストラック付きで紙ジャケ復刻されていますが、今回はオリジナルに準じた全11曲。
　プロデュースはかの朝妻一郎さんで、バッキングは鈴木慶一とムーンライダース。アレンジも慶一さんと岡田徹さんが担当という豪華な布陣ですが、サウンドにぴったり合ったボーカルの妙といいますか、シモンズを脱力系にさせたような元祖PUFFY的な雰囲気。フォーク全盛の時代には早過ぎたポップ感覚が魅力です。
　ユーミンの「瞳を閉じて」、オフコースの「僕の贈りもの」のガールズバージョン的リメイクなど、レーベルメイトのカバー曲が特に光っていますが、ファッショナブルでソフィスティケートされた感じはクセになること請け合いです。
 
　なお、ポニー・テールの初期メンバーにはラジが在籍していたそうですが、今回はそのラジが東芝EMIへの移籍後に出した「 午後のレリーフ＜限定盤＞」「 エスプレッソ＜限定盤＞」という2枚のアルバムもラインアップ。アルバムとして未CD化だったのは、85年の「エスプレッソ」だけですが、84年の「午後のレリーフ」もCDとしては長らく入手困難だったので大喜びのファンは多そう。
 
　ラジは今やジャパニーズ・シティポップの代表格として海外で大人気だそうですが、CBS・ソニー時代のアルバムは、復刻を繰り返したファースト「 Heart To Heart 」とセカンド「 Love Heart 」の2タイトルと、サード以降の「キャトル」「真昼の舗道」「アコースティック・ムーン」を加えた5タイトルすべて、タワーレコードとのコラボでBlu-spec CD2化済み（ こちらで紹介）。
　さらに、ソニー時代＆EMI時代を網羅した2枚組のオールタイムベスト「GOLDEN☆BEST ラジ ALL TIME SELECTION」（ こちらで紹介）も出ていますので、未聴の方は今回一気にラジのフルコンプという選択もアリですね。