40周年で初CD化を含む全オリアルが復刻！

　先月、伊藤咲子さんがデビュー50周年に突入するタイミングで、東芝時代のオリジナルアルバム6タイトルを単品復刻（ こちらで紹介）したユニバーサルミュージック。
　なんとお次は、今年デビュー40周年を迎えた桑田靖子さんの東芝EMI時代のオリアル6作品「 ファースト・キス」「 ときめき」「 バケーション 」「 ひそやかな反乱 」「 恋…うっふっふ」「 夢がたり」が一挙に復刻されることとなりました！
 
　今回は初CD化となるタイトルを含む上、プライスもサッコと同様、往年のQ盤シリーズと同じ1,500円（税抜き）という廉価で、大喜びする往年のファンも多そうです。
 
　というのも、桑田さんの場合、80年代半ばということもあってオリアルのオリジナルリリース時にはCD未発売だったようで、現役時代には87年にベスト盤が出たきり。しかしそれもすぐで廃盤となり、復刻ブームがピークに入る2000年代まで待たねばなりませんでした。
　そんな状況に風穴を開けたのが、アルバム曲もふんだんに収録した2002年の2枚組「 ゴールデン☆ベスト」で、これが好評を博してオリアルへと波及。
　まず2003年に「ファースト・キス」が必聴名盤シリーズで、2008年には「ときめき」が名盤プレミアム・シリーズで、それぞれ紙ジャケット復刻。EMIミュージック・ジャパンがユニバーサル ミュージック合同会社と合併後の2013年には、２枚セットの2 for 1シリーズの1作「ファースト・キス＋ときめき」として再発されました。
　さらに2014年には「バケーション」（ こちらで紹介）が、タワーレコードとラグジュアリー歌謡の再発シリーズでボートラ付きでCD復刻されていますので、今回初CD化となるのは「ひそやかな反乱」「恋…うっふっふ」「夢がたり」の3枚。
 
　東芝EMI時代の桑田さんは、初期の明菜路線といいますか、売野雅勇＋芹澤廣明コンビによるマイナーなビートポップスから始まって、来生えつこ＋来生たかお姉弟の哀愁ポップなイメチェン期を経て、歌謡ポップスやソフト演歌っぽい路線へとたどり着いた…と思いきや最後はロックへの挑戦もあったり、ヒットを狙いながら方向性を探り、試行錯誤を繰り返していった感のある桑田さんですが、オリアルでは、明菜系ホンネ少女のビートポップスから音つばめ・高田みづえ系歌謡曲までの軌跡が刻まれています。
　通して聴けば、安定したクールな歌唱力を最大の武器に、歌で勝負するニッチなアイドルから大人の歌謡曲歌手へと成長していく様子が分かることでしょう。
　なお、アルバム未収録のシングル曲やシングルバージョンは「 ゴールデン☆ベスト」や MEG-CDで補完してください。
 
　さて、桑田さんといえば、幼少の頃からのど自慢などのコンテスト荒らしとして有名で、ビジュアルよりも歌唱力重視のアイドルを輩出した「東芝EMIタレントスカウトキャラバン」で優勝。歌唱力では新人ナンバー1と呼ばれるなど、鳴り物入りのデビューを飾った実力派アイドル。
　事務所は、トップアイドル・松田聖子を擁していたサンミュージックで、アイドルCMの王道・グリコという強力なタイアップもつき、歌謡大賞やレコード大賞などさまざまな新人賞にも輝いたのですが、思うような成果が残せませんでした。
　花の82年組のあおりを受けてしまった83年デビューというのも大きかったと思いますし、サンミュージックからは翌年に聖子に次ぐ正統派アイドルの大型新人・岡田有希子がデビューするワケですからね。
　アイドル市場の革命的な変化も相まって歌手活動はなりを潜め、例に漏れずバラドルっぽい活動を余儀なくされましたが、やっぱり歌うために世に出た人ですからね。90年代には本名の「咲恵子」や「Sea」名義で活動したほか、紆余曲折ありつつも、2010年には本格的に復帰。以来ライブを中心に活動を続け、インディーズでアルバムをリリースしたり、歌唱力のみならず当時よりキレイになったビジュアルも話題になるなど、根強いファンに支えられている印象があります。
　今年もデビュー記念日から、40周年記念ライブツアー「笑って生きて歌って40th、あなたと共に～」をスタートさせていて、現役バリバリのシンガーとしてますます意欲的になっているようです。
 
　不作と揶揄されることの多いの83年組ですが、近年の同期7人で結成したユニット・お神セブンでも分かるように、実はポテンシャルの高い個性派ぞろい。中でも桑田さんは歌ではナンバー１の存在ですので、今回の復刻を機にまた再評価が進み、現在の活動に大きく作用することを願っております。
 
　あ、そういえば“お神セブン”ではありませんが、同じ83年デビューの小出広美さんも、ついに全音源を収録した2枚組「 コンプリート小出広美」が出るそうですよ。