最後の昭和歌謡曲歌手、20年ぶりのEMI時代ベスト！
フィリップス時代のドーナツ盤のマキシCD復刻「 デビュー30周年シングル・コレクション」（こちらで紹介）や、一時発売延期になってハラハラしたライブ復刻＆レア音源BOX「Live&Rarities CD+DVD BOX」（こちらで紹介）と、２個のボックスを発売し、この時代の音源は完全復刻となったようです。
前者はamazonで80％OFFになっていたらしいですが、今も現役バリバリ、希代の歌謡曲歌手としての面目をしっかり保った感じがありましたよね。
といっても、25周年の時から復刻されるのは、単品ベストを含めフィリップス時代のものばかり。確かにヒット曲を連発し、代表作があるのはフィリップスですが、87〜89年に在籍した東芝EMI時代の作品を求めるコアファンは結構多いみたいです。
実際、オリジナルの発表時以降でのEMI時代の音源は、25周年のプレミアムBOXでシングル曲が網羅されたり、「CD & DVD THE BEST」で一部がYOSHIEセレクトBEST20に入ったりしただけだったので、今回はファン悲願のＧ☆Bといえるかもしれませんね。
そう、EMI時代の柏原芳恵を集めた「 ゴールデン☆ベスト 柏原芳恵 (EMI YEARS)
」の発売が決定したのです。なんと、EMIからのリリースは90年のベスト盤以来、20年ぶりになるんじゃないでしょうか。さて、芳恵ちゃんがEMIへと移ったのは87年。レコ大歌唱賞を受賞したばかりで、よしえの第二章はこれから…という感じの時でした。
フィリップスが邦楽から手を引く、みたいな形だったためか半年間の制約を待たず新譜を発売したような記憶があるのですが、そのせいか移籍時のプロモーションとやる気がスゴいものがありました。
トップアイドルになったばかりの南野陽子主演の大映ドラマ「アリエスの乙女たち」（大昔の里中満智子のマンガが原作）の主題歌タイアップを勝ち取り、初期以来の阿久悠が作詩に復帰し、当時ヒットメーカーとなっていた林哲司と組んだ「A・r・i・e・s／私のすべて」をリリース。
フィリップス後期は、ニューミュージック路線から演歌系歌謡曲へとシフトしていた芳恵ちゃんでしたが、移籍第１弾は彼女にしかできなかったゴージャスな歌謡ポップス。さらに、スタンドマイクを使った振り付けやあのバブリーな衣装もお見事で、心機一転応援にも熱が入ったファンのみならず、スタ誕ファミリーである日テレ歌謡班もお祝いしたのか、歌のトップテン入りを果たしたのです。
その後は、やっぱり哀愁歌謡に戻り、阿久悠＋三木たかしの名コンビによる「冬の孔雀／他人」、荒木とよひさ＋堀内孝雄の最新ヒットコンビ「黄昏のダイアリー／青春譜」、酒場小唄のようなハマクラ先生作のロングヒット「愛しただけよ／ゆめいろクラブ」と、スナックのカラオケで歌えそうなちょっとお色気ムードの楽曲をリリースします。
ただ、一定の評価は得たものの、フィリップス時代に比べるとやっぱり見劣りしてしまう実績。89年には起死回生を狙い、Ａ面が久々の筒美作品にして火サステーマになった「化石の森／4月の手紙」を発表したところ、ドラマ枠の効果もあってスマッシュヒットを記録したのです。
そして、次のシングルが、いしだあゆみのカバー「あなたならどうする／愛しただけよ」。筒美先生作の名曲ですし、ちょうどオリジナルがネッスルのCMで流れるなど話題となったんで、もっと売れるかと思いましたが、これが最後にCDリリースが途絶えてしまうのでした。
とEMIではシングル６枚の他、オリジナルアルバムも阿久さん渾身の「A・r・i・e・s」から、アダルト歌謡路線が極まった「愛愁」（いしだあゆみとは無関係）、「Lover's Sunset」そして「YES, I LOVE YOU～運命を超えて～」という４枚（確か）を発表している芳恵ちゃん。
１枚もののベストでは収まりきらない曲はたくさんありますし、実は阿久さんがけっこう肩入れしているような作品も見られます。
まずはこのG☆Bがそこそこ動いて、EMI時代コンプリートへとつながりますように。なんたって昭和をリアルに体現できる最後の歌謡曲歌手・柏原芳恵ですからね。
なお、このところG☆Bの新作や再プレスが活発なEMIミュージックですが、今回は山下久美子「 ゴールデン☆ベスト 山下久美子 (EMI YEARS)
」、Something ELse「
ゴールデン☆ベスト Something ELse
」、ヤン・スギョン「
ゴールデン☆ベスト ヤン・スギョン
」、高中正義「
ゴールデン☆ベスト 高中正義
」、EPO「
ゴールデン☆ベスト EPO
」も同時発売されるようです。EPOのEMI時代もオススメです！（2010.12.9）
