初CD化多数！超マニアックな筒美作品集パート2！

　三回忌を過ぎても、巷に流れ続ける筒美メロディー。
　昭和歌謡だとか、シティポップだとか、いろんなムーブメントの中でも、さまざまな表情を持つ筒美京平作品は確かな存在感を放っておりますが、膨大なヒット曲や名曲があり過ぎるせいで、数多ある隠れた名曲にはなかなかスポットが当たらないのも確かです。
 
　もっとも、筒美先生自身はあくまでシングル盤をヒットさせることが最大の使命かつ目的で、ヒットしなかった曲には特段愛着を持たれることもなかったと漏れ聞いておりますので、ヒット曲重視の風潮や再評価は筒美先生の信条に寄り添ったものなんですよね。
　よって、定番化して追悼BOXの役割も果たした「筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967～1997 2013Edition」（ こちらで紹介）はもとより、追悼盤として出た「筒美京平 TOP 10 HITS」4タイトル（ こちらで紹介）や、昨年に通販限定で編まれた新しいCD-BOX「筒美京平 HIT作品集」に至るまで、ヒット曲の収録が前提となっております。
　「筒美京平 TOP 10 HITS」のライナーノーツを担当した4名のセレクションアルバム「筒美京平 マイ・コレクション」（ こちらで紹介）には一部レア音源が収録されていましたが、レア音源を求めてやまないフリークやコレクターの皆さんによっては物足りない中身だったのでした。
 
　そんな中にあって、昨夏オーダーメイドファクトリーに登場した「筒美京平 アーカイブス」シリーズは、レア音源に特化した願ってもない企画で、第1弾の「筒美京平 アーカイブス1」（ こちらで紹介）はすぐさま商品化が実現。好事家たちに大好評を博したが、あれから半年、ようやく第2弾「 筒美京平　アーカイブス　2 」が候補に挙がりました！
 
　このシリーズは、かの「筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス」シリーズをはじめ「筒美京平作品集 GOLDEN HITSTORY」シリーズ（ こちらで紹介）など、過去にリリースされた筒美作品集に収録されなかったレア曲のみを、レコード会社の垣根を超えて集めるというマニアックなコンセプト。
　基本的に年代順となっていて、先生が作曲家デビューなさった1967年からスタート。Vo.1が67年から70年にかけての作品25曲でしたが、Vo.2は70年の作品を中心とした25曲。今回も初CD化多数となっております。
 
　内訳を見ますと、70年以外のナンバーは6曲で、まず68年、尾崎紀世彦さんや、シンシアのディレクターとなる小栗俊雄さんが在籍したザ・ワンダースの「とべよ！エンゼル」（「キャプテン・スカーレット」の日本語版イメージソングB面）。
　69年作品は渡辺プロのホープとして最初は歌手だった高岡健二の3曲で、デビューシングルのB面曲にしてABC（朝日放送）ラジオのホームソング「むかえに行くよ」と、第2弾シングル「北国は孤独な春／さよならしても逢いたいぜ」。
　後は71年1月リリース、キックボクシングのレフリーとして人気を博した秋本直希のシングル両面「別れどき／たそがれの会話」となっています。
 
　残りの19曲が70年作品で、橋幸夫「俺たちの花／花影の小径」を筆頭にシングル両面収録は、高田恭子「女はかわる／あたりまえのことだけど」、川辺妙子「女になるの／バイ・バイ・ブルース」、英亜里「娘の季節／女は恋が好き」、新藤恵美「ホットなホットなお年頃／あした泣けばいい」、三井俊吾「赤いシャッポと赤いソックス／フランスの人形」。
　B面曲は、高田恭子「私の愛は」、桜木健「どんとこい」「君から僕へ」、じゅん＆ネネ「二人の恋人」、 Kとブルンネン「雲の上の城」。アルバム曲としては、森田健作の「あなたの恋人 ケン坊の青春」から「僕の噂をたてないで」「恋愛候補生」がチョイスされています。
  
　ほぼ筒美先生のアレンジで、盟友・橋本淳さんとのコンビが目立ちますが、作曲家として頭角を現し大ヒットを放ったこともあってか、作詞家の顔ぶれが広がっているのが特徴といえるでしょう。
　注目したいのは、翌年からのアイドルブームに名コンビとなっていく先生方の多いこと、例えば南沙織の有馬三恵子さん、野口五郎の山上路夫さん、郷ひろみの岩谷時子さんなどなど、流行歌、特にヤングポップスのテイストを一新させる筒美先生の序奏といえるような気がします。
 
　今回もすぐ規定数に達すると思いますが、筒美フリークに共通するのは、全曲を制覇して先生のあらゆる美メロやサウンドを堪能したいというのが正直な気持ちだと思いますので、シリーズがどんどん進み、余すところなくCD化が進むことを願っています！