アルバム2枚をセットで復刻!「2 for 1」のアイドル編!
EMIミュージック・ジャパンがユニバーサル ミュージック合同会社と合併して半年。レーベルとしては残っていますし、東芝が引いた時ほどのショックはなかったものの、長年好きだったアーティストの新譜がかつてのライバル会社から出るのはファン心理としてはフクザツなものがあったりします。
とはいえ、スケールメリットに期待できるのも事実でして、今週出る古今東西のサウンドトラック盤104タイトルをを999円均一でラインアップした「永遠のサントラBEST&MORE999」シリーズなど、旧譜ファンとしてはうれしい企画も相次いでいるようです。
来月にはオリジナルアルバム「2 for 1シリーズ」と銘打った2枚組企画も登場。ユニバーサルというより、EMIが展開してきた「必聴名盤」「東芝レコードLEGEND」「あの頃の歌」「名盤グラフィティー」「Remember昭和のアイドル紙ジャケ復刻」など数々の名シリーズの流れをくむ企画で、ラインアップされたタイトルも似通っていはいますが、その後の展開への期待をこめ、我々ユーザーも大いに歓迎すべきですよね。
まず10月23日に昭和歌謡編として、ユニバーサル系・西田佐知子「 たそがれの恋+鍵をかけないで 」、園まり「 まりちゃんの夢のアルバム+愛は惜しみなく 」、ダークダックス「 ベスト・アルバム+ロシア民謡ベスト 」、ロス・インディオス「 夜のスポット・ライト+うそよ今夜も 」、EMI系・小川知子「 ゆうべの秘密+あなたと生きる 」、欧陽菲菲「 雨の御堂筋+欧陽菲菲 イン・ベラミ 」、奥村チヨ「 北国の青い空+ナイト・クラブの奥村チヨ 」、黛ジュン「 恋のハレルヤ+黛ジュン・リサイタル'70-ライヴ- 」、渚ゆう子「 京都の恋+ナイト・クラブの渚ゆう子 」、弘田三枝子「 ヒット・アルバム+リサイタル 」、グラシェラ・スサーナ「 アドロ・サバの女王+ヨーロッパを歌う 」、デューク・エイセス「 おさななじみ+フォーク・エイセス 」、九重佑三子「 歌の花束+九重佑三子オンステージ 」が出ますが、やはり注目したいのは11月13日リリースのアイドル編。
ユニバーサル系では柏原芳恵「 ハロー・グッバイ+春なのに 」、早見優「 Image+LANAI 」、香坂みゆき「 Jet Lag+Fairway 」、小川範子「 こわれる~好きとつたえて 好きとこたえて~+そのとき 」など、東芝系では岡崎友紀「 花びらの涙+雲と渚と青い海 」、大場久美子「 春のささやき+KUMIKOアンソロジー 」、小林麻美「 落葉のメロディー+20才の愛 」、立花理佐「 15才(フィフティーン)神話+理佐発見 」、ゴールデン・ハーフ「 ゴールデンハーフでーす+ゴールデン・ハーフ2 」、安西マリア「 マリア登場+早い者勝 」、片平なぎさ「 なみだ色の匂い+美しい契り~私は今生きています 」、伊藤咲子「 ひまわり娘+乙女のワルツ 」、桑田靖子「 ファースト・キス+ときめき 」、本田美奈子「 M’シンドローム+ザ・ヴァージン・コンサート 」というラインアップ。
ファン感涙、マニア垂涎の名盤復刻となった香坂みゆき以外は、近年の復刻ブームにおいて紙ジャケやBOXで復刻&再発済みのタイトルばかりですが、お買い得ですから以前スルーした人や買い逃した人にはとても喜ばれるような気がします、
また、いずれも各人の代表作や好セールスを記録した作品がチョイスされていますから、旧譜フリークではなく、当時ちゃんとアルバムを聴いていたかつてのファンがリリースを知ってくれるのを祈っています。多くが歌手として現役だったり、活動を再開したりしていますので、当時熱心に応援していたファンが1人でも多く出戻ってくれれば、活動も必ず広がっていくはずですからね。
それに、何度再発されようとも、一部のコアな人だけが喜ぶマイナーなアルバムより、みんなに受け入れられたおなじみのヒットアルバムが、復刻市場においても結局は高い数字を残すのですから。
今回せっかくですから、1タイトルだけピックアップしようかなと思ったのですが、結構思案。この中では香坂みゆきの「 Jet Lag+Fairway 」がダントツでレアなのですが、前述の意味でも柏原芳恵「 ハロー・グッバイ+春なのに 」を。
アルバムBOX以来のCD化となる2作で、出世作となったカバー曲をタイトルに冠した81年の「ハロー・グッバイ」と、中島みゆき提供のタイトル曲で立ち位置を確立した83年のみゆき作品集「春なのに」の2枚組ですが、やはりお聴きいただきたいのは、柏原芳恵、中島みゆきを歌う「春なのに」でしょう。
芳恵ちゃんのアルバムでは飛び抜けて最高セールスを記録、94年にはCD選書として単独でCD化されロングセラーとなり、みゆきファンの多くも手にしていましたから、おなじみかもしれませんけど。
同類項の人にしか曲を書かないと公言していたみゆきサンが認めたアイドルでは数少ない同類項。それが芳恵ちゃんですが、当時のみゆきファンはおそろしく攻撃的で排他的な方も多く、オープニングの「ボギーボビーの赤いバラ」のイントロで早くも失笑されたり、淳子同様酷評されることが多かったのですが、17才の少女が解釈する中島みゆきという点で言えば、これが特筆すべき仕上がり。
「私の声が聞こえますか」と「臨月」からの選曲が目立ちますけど、前者からの「渚便り」(シングル「春なのに」カップリング)「海よ」で見せる力量の追いつかなさを揺らぎに変えた無意識的な技巧や、後者の「バス通り」「夜曲」で垣間見せる軽さゆえににじみ出る重み、みたいな、歌謡曲歌手としての才能を証明する1枚、といえば言い過ぎでしょうか。
個人的にも、いろんな意味で、桜田淳子のみゆき作品集「20才になれば」とセットで聴き続けているアルバムです。まだ未聴の方がいらっしゃいましたら、この機会にぜひどうぞ。
また、ユニバーサル系、EMI系で他のタイトルのリリースを希望している方も、今回の反応次第だと思いますので、いつもながらリクエストだけするのではなく、投資の意味を込めたお早めのご予約をお忘れなく。
なお、今回もいつものアルバムでガッカリしたという岡崎友紀ファンに朗報。「 ゴールデン☆ベスト<なんたって18歳~岡崎友紀TVテーマ・コレクション> 」が出るそうですよ。
(2013.9.13)