ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1140
ピンク・レディー/Pink Lady Chronicle TBS Special Edition
(2023.4.19発売、VIBL-1085~90、¥29,480<税込>)  *6枚組DVD-BOX

栄光のPL、TBSの歌唱映像を一堂に!

 2021年にデビュー45周年を迎えたピンク・レディー。
 2人そろっての活動はなくとも、古巣のビクターでは昨春「ピンク・レディー45周年PLUS」プロジェクトがスタート。Twitterではピンク・レディー公式アカウントが立ち上がるとともに、リリースの予定などもアナウンスされてきましたが、ケイこと増田惠子さんとミーこと未唯mieさんのソロ名義でのオールタイムベスト(「 そして、ここから... [40th Anniversary Platinum Album]」「 MIE to 未唯mie 1981-2023 ALLTIME BEST」)はリリースされたものの、PLとしては9月に2003年版「ベスト・ヒット・アルバム」のSHM-CD復刻盤「ベスト・ヒット・アルバム」( こちらで紹介)が出たきり。新たな企画はもう無理かなとあきらめかけていたところに、大きなニュースが飛び込んできました!
 
 それが、歌唱映像を中心にTBSに残る出演映像を、トータルで8時時間以上も集めた6枚組DVD-BOX「 Pink Lady Chronicle TBS Special Edition」!
 
 誰もがマネした振り付けを最大の武器に、TV時代のアイドルの頂点を極めたPLの場合、音源だけではその世界観が成立しませんので、こういった映像集こそが価値あるものだと思っております。
 これまで、2006年の「プラチナ・ボックス」( こちらで紹介)ではNHK、2011年の「ピンク・レディー in 夜のヒットスタジオ」( こちらで紹介)ではフジテレビ、同年の「Singles Premium」( こちらで紹介)ではお膝元の日本テレビと、充実した映像集が発売されてきましたが、今回はTBS。
 
 6枚組という大スケールで、「みどころガンガン大放送」「たまりまセブン大放送!」「UFOセブン大冒険」といったレギュラー番組に加え、臨場感いっぱいの公開録画「8時だョ!全員集合」、記念すべき第1回目の1位を獲得した「ザ・ベストテン」、そして大賞を受賞した「輝く!日本レコード大賞」など、再結成時や近年の番組出演も含むとのことで、まさに真打ちといえる貴重映像が満載です。
 
 内訳を見ますと、 DISC 1は「in 8時だョ!全員集合+(プラス)」の65分。
    デビュー間もない「ペッパー警部」から、解散宣言直後の「うたかた」まで。「モンスター」や「カメレオン・アーミー」といった殺人的スケジュールの78年のヒット曲や、アメリカ進出期が欠けてはいますが、場面転換の様子も込みでスリリング。
 +としては、「ロッテ歌のアルバム」のほか「トップスターショー」を収録。サブスク配信も始まっている「飛べ!孫悟空」が入っていませんが、番組で歌い始めた当時の「スーパーモンキー孫悟空」(レコード化は1年後でした)や、オリジナルとザ・ピーナッツのナンバーをからめたメドレーは貴重ではないでしょうか。
 
 DISC 2は「in みどころガンガン大放送+(プラス)」の64分。歌唱映像につき、TBSのバラエティーらしいドタコメの雰囲気が出るのかは分かりませんが、セットなどの映り込みにも期待です。
 +は後継の「たまりまセブン大放送!」「UFOセブン大冒険」に加え、再結成で大がかりな全国ツアーを行った2004年に出演した「中居正広のキンスマ!波乱万丈スペシャル!! 」からの映像も。
 
 そしてDISC 3が、待望の「in ザ・ベストテン」で124分。「UFO」から「波乗りパイレーツ」までのランクインしたナンバーだけでなく、放送スタート前週の「ザ・ベストテン =前夜祭」での「ウォンテッド(指名手配)~渚のシンドバッド」に加え、解散直前の「OH!」や再結成時の「不思議LOVE」といったスポットライトコーナー出演、2003年の復活特番の映像までを網羅。さらに、増田けい子の「すずめ」、MIEの「NEVER」というソロでランクインした映像も補完されています。
 
 貴重という意味では、DISC 4の「in ギリシャ&サウンド・イン“S”&アゲイン」(92分)でしょう。
 この年は、アメリカ進出の足がかりとなるラスベガス公演を筆頭に、海外でのお仕事も多かったPLですが、日テレがラスベガスなら、TBSはエーゲ海。
 特番「特報エーゲ海で大冒険!! 」はタイアップ感もたっぷりで、すわ、阿久先生も参加した電通仕切りの南太平洋の旅の波及効果かと思うところですが、観光名所でヒット曲を歌うのが見どころ。明星のグラビアや増刊号デラックスを飾った青いビキニなど、PLのビジュアルの魅力がいっぱいです。
 また「サウンド・イン"S" 」での歌唱も見逃せません。あの番組は英語で歌える大人のエンターティナーしか出られませんでしたが、全米デビュー前、子供のアイドルのイメージが強かったPLが出演できたのは、名物プロデューサー・ギョロナベさんの慧眼ということもあったのでしょうか。
 アメリカ進出後は、ショウビズ感たっぷりで、ビルボード37位をマークした全米デビュー曲「KISS IN THE DARK」や第2弾シングル「DANCING IN THE HALLS OF LOVE」に加え、第3弾に予定されていた「YOU KEEP ME HANGIN' ON」なども披露。アメリカNBCでの冠番組「Pink Lady and Jeff」で見せたぐっとセクシーなイメージを、日本に逆輸入した感じでしょうか。
 そういえば、アメリカでは2枚目のアルバムもを制作していたそうですが、ケイの意向で全米での契約を更新しなかったためお蔵入りになったといわれています。果たしてその音源は今どこに眠っているのか、いつか日の目を見ないものでしょうかね。
 なお、アゲインは84年9月に渋谷公会堂で行われた再結成コンサートの模様を収めた番組「ピンク・レディー アゲイン」とのことです。
 
 続くDISC 5は「THE LIVE」の93分。
 田園コロシアムの「サマー・ファイア'77」、日本武道館の「バイ・バイ・カーニバル'78」とライブ盤でもおなじみの全盛期コンサートのダイジェストに加え、84年9月に渋谷公会堂で行われた再結成コンサート「Forever'84 Pink Lady~お元気でした?」から圧巻のメドレーなどを集めたライブ尽くしの構成です。
 
 ラストのDISC 6は「awarded 日本レコード大賞+(プラス)」の70分。
 レコード大賞は、新人賞「ペッパー警部」、大衆賞の「ウォンテッド(指名手配)」、大賞の「UFO」に加え、2017年、2018年と2年連続で記念出場したメドレーも収録。
 大賞受賞時の高橋圭三さんのナレーションなど、永久保存しておきたい場面はたくさんありますが、本番は近年、TBSチャンネルで何度も再放送されてきましたから、やっぱり貴重な部門賞発表のシーンに感激が高まりそうです。
 ほかに、「日本有線大賞」「東京音楽祭国内大会」「古賀賞・輝く日本作曲祭り」といったレア映像にも大いに期待させていただきたいと思います。
 
 なお、今回は大型画面に合わせたデジタル・レストア&サウンド・マスタリングになるということですので、画質や音質にも期待大です。
 ショップによっては先着予約・購入特典も数量限定で用意されていて、共通特典としてデカ缶バッジがもらえるほか、特定ショップではそれぞれのオリジナル特典もあるとか。例えばビクターオンラインストアではマフラータオル、 Amazonではビジュアルシート、楽天ブックス(「 【楽天ブックス限定先着特典+先着特典】Pink Lady Chronicle TBS Special Edition(アクリルスタンド+デカ缶バッジ) [ ピンク・レディー ]」)ではアクリルスタンドが予定されているそうで、ご予約の際には吟味をお忘れなく。
 ちなみに、特典なしの場合はネットショップなどでは大幅割引もあり、楽天ブックス(「 Pink Lady Chronicle TBS Special Edition [ ピンク・レディー ]」)では22%オフとなっているので、お早めにご予約を。
 
 最後に、いつもの余談といいますか、与太話ではありますが、振り返ると経済復興から高度成長期、モーレツ時代を経て、経済大国となった戦後ニッポンにとって、日本人が、いやニッポンという国が、現実の枠組みの中で、最後に見た夢物語だったピンク・レディー。
 時代でさえ子どものようにあやしながら、同じ振り付けで踊らせたこのモンスターアイドルは、都市化も、情報化も、教育問題さえも飲み込み、昇華させた、不世出の存在。レコ大受賞時の高橋圭三さんのナレーション通り、まさに“現代の天使”たちだったといえるでしょう。
 
 一見、メディアに組み込まれたパビリオンであり、アトラクション、超娯楽大作というおよそ非人間的な総合プロジェクトでありながら、その存在を支えたのは、根本美鶴代と増田啓子という生身の人間でありました。
 そしてあの頃の彼女たちの根底にあったのは、想像を絶する忍耐力や、努力、根性、勤勉さといった、かつての日本人なら当たり前のように持っていた日本の美徳といえるものだったと思います。
 2人が極限まで頑張り抜く姿を目の当たりにして、努力と忍耐の大切さを学んだ人もいるでしょう。振り付けを覚えることで記憶力と集中力を磨いた人もいるでしょう。ピンク・レディーという媒体を使ってコミュニケーション力を培い、連帯感と知己を得た人も多いことでしょう。
 
 今となってはもう忘れられ、失われてしまったように見えるけど、あの頃のPLの映像は、もしかしたらそんなことをしっかり思い出させてくれて、もう一度取り戻せさせてくれる存在になり得るような気がします。
 コロナ禍を経た今のこの日本で、今のこのタイミングで、またPLのDVD-BOXが出ること。それは、これからの私たちと日本という国にとって、とても大きな意味があるのではないかと思っています。
 

(2023.2.1)

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