カラオケ付き！40周年のアルバム再発第2弾！

　デビュー40周年目に突入した昨年から、古巣のワーナーによる記念リリースが相次いでいる中森明菜さんですが、今月スタートしたのが「中森明菜デビュー40周年記念 ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズ」（第1弾は こちらで紹介）。
 
　ワーナー時代のオリジナルアルバム14タイトル、ベストアルバム4タイトル、ミニアルバム5タイトルを、約2年にわたって再発するというビッグな企画ですが、これまで廉価盤から紙ジャケ、SACDまで何度もCD再発を繰り返してきましたから、いくらラッカーマスターサウンド復刻でタイトルによってはアルバム未収録のシングルカップリング曲などボーナストラックも付いているといえども、今回の目玉は音源以外。
　中でも、全曲のオリジナル・カラオケが収録されたディスクと、濱口英樹さんの取材・構成による「初代ディレクター・島田雄三が語る疾風怒濤の日々」が連載されているブックレットは、コアな明菜ファンからも大好評を博しているようです。
 
　ということで、当時のシングルローテのように約3カ月で第2弾の発売がアナウンスされました。今回は「 ファンタジー＜幻想曲＞AKINA NAKAMORI THIRD(+1)【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞」「 NEW AKINA エトランゼ AKINA NAKAMORI 4TH ALBUM【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞＜通常盤＞」「 BEST AKINA メモワール(+3)【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞ 」というサードからの3タイトルに加え、初ブルーレイ化となるミュージックビデオ「 NEW AKINA エトランゼ 中森明菜 in ヨーロッパ」。
　さらに、「NEW AKINA エトランゼ」のアルバムとブルーレイをセットしたBOX「 「NEW AKINA エトランゼ【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞」&「NEW AKINA エトランゼ 中森明菜 in ヨーロッパ」BOX ［2CD+Blu-ray Disc］＜完全生産限定盤＞」も同時発売されるとのこと。お買い得プライスですから、今回も買い替え、買い増し必至のファンは多いのではないでしょうか。
 
　さて、今回の3枚は、セールス的には最初からアルバムアーティストだった明菜が、クオリティ的にも真のアルバムアーティストへと成長を遂げていく過程が垣間見えるアルバムと言っていいでしょう。
　シングルでは「スローモーション」と「少女Ａ」、「セカンド・ラブ」と「1/2の神話」というように、メロウとツッパリの魅力を交互で展開した山口百恵式方法論ということもあって、明菜が百恵ちゃんと同じシングル至上主義の印象があったのは事実。また「少女Ａ」からの「セカンド・ラブ」という流れで当時のヤンキーたちの心を鷲掴みにし、彼らがファンの中心層となってしまった影響も大なのかもしれませんが、サードアルバムまではドメスティックな歌謡曲や70年代を引きずったニューミュージックの印象が色濃いんですよね。
 
　実際、明菜のセリフ「明菜から……。」で幕を開ける83年3月の「 ファンタジー＜幻想曲＞AKINA NAKAMORI THIRD(+1)【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞」は、萩田光雄さんのサウンドプロデュースによってトータル的なバランスは優れていますし、最大セールスを記録した「セカンド・ラブ」をはじめ粒よりの作品がそろってはいるものの、アルバムとしてのクオリティは安定しているとは言えず…。
　それは詞世界がバラバラというかチグハグで、トータル性が取れていなかったのが理由のような気がしますが、全アルバムの中でも最も茫洋とした印象です。むろん明菜の真髄である変身の面白さはありますけれど。
 
　それが一転するのが、83年8月の「 NEW AKINA エトランゼ AKINA NAKAMORI 4TH ALBUM【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞＜通常盤＞」。
　デビュー2年目、4枚目のアルバムにして初めてシングル曲を含まないアルバムとなった点や、初のヨーロッパ・レコーディングとなったことからも並々ならぬ意気込みが感じられますが、注目すべきはやはり作家陣でしょう。
　なんと、デビュー前から目標としていた百恵陣営の阿木燿子や谷村新司に加えて、ライバル視されていた聖子陣営の財津和夫や細野晴臣を混交起用しているのです。
 
　また、的確なマーケティングといいますか、ヤンキー層へのアピールもしっかり行っているように見えますが、事実、このアルバムで最も有名なのが、横浜銀蠅の翔が作詞作曲しテレビ主題歌になった「少しだけスキャンダル」だったりしますので、初期明菜の人気を彼らが支えたことは間違いありません。
　サウンドプロデュースは引き続き萩田光雄さんが担当。百恵の後継者、聖子の好敵手というスタンスに甘んじることなく、それぞれの世界観を飲み込んだことで見えた独自の方向性。そういう意味では、孤高のボーカリスト・中森明菜の輪郭がはっきりし始めた1枚といえるでしょう。
　なお同年の10月には、明菜初のミュージックビデオ「 NEW AKINA エトランゼ 中森明菜 in ヨーロッパ」がリリースされていますが、今回の復刻に併せてブルーレイ化。単品だけでなく、CDとブルーレイをセットにした「 「NEW AKINA エトランゼ【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞」&「NEW AKINA エトランゼ 中森明菜 in ヨーロッパ」BOX ［2CD+Blu-ray Disc］＜完全生産限定盤＞」も出るそうです。
 
　そしてラストは、83年12月、明菜からのクリプレのように登場した初のベストアルバム「 BEST AKINA メモワール(+3)【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞」。
　「スローモーション」から「禁区」まで、発売時までの大ヒットシングル6曲と、「あなたのポートレイト」「キャンセル！」など、4枚のオリジナルアルバムからよりすぐりの曲で構成されたもの。
　ツッパリ路線としなやか路線のタイマン度合いはツッパリ優勢ですが、発売順ではないので構成も魅力的。ジャケのポニーテール明菜のかわいさもマルですよね。 
　なお、今回はボーナストラックとして、アルバム未収録のシングル・カップリング曲3曲「温り」「ドライブ」「雨のレクイエム」も収録されるとのことです。
 
　という明菜のワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズ第2弾。
歌詞カード&ミニポスターが復刻封入されるほか、盤によっては初回プレス盤限定封入特典として、カラーポートや両面フォトカードも入るそうですので、ご予約はお早めに。