ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1132
岡田奈々・木之内みどり・松本ちえこ・あべ静江 アルバム全33タイトル<音楽配信>
2022.11.11配信開始、サブスクリプション型音楽配信サービス&ダウンロード配信

チーコとシーちゃんの未CD化アルバムも!

“ポニーキャニオン公式ニュース”
 配信ではありますが、すわ、往年のMyこれ!チョイス・シリーズの配信版かと思うような復刻企画が登場しました!
 
  岡田奈々木之内みどり松本ちえこあべ静江、そう、1970年代のキャニオンレコード(NAVを含む)を代表するアイドル4組の未CD化を含むアルバム全33タイトルの配信が一挙スタートとなったのです。
  
 ちなみに、ポニーキャニオンのMyこれ!シリーズといえば、BOX「ぼくらのベスト」や「株式会社 NAVレコード ヒストリー」などの名企画でおなじみだったオニオンピーマンカンパニー発の復刻シリーズ。
 ブームの先駆けとなった定番ベスト「Myこれ!クション」に始まり、名盤アルバム復刻+シングルコレクションによる「Myこれ!チョイス」( こちらで紹介)、初CD化アルバム蔵出しの「Myこれ!クション 初CD化アルバム『蔵出し』チョイス」( こちらで紹介)、お手ごろベスト「Myこれ!Lite」(UHQCD版は こちらで紹介)と続いてきた名シリーズです。
 
 一連の復刻では、ポニキャンのアイドル倉庫が空っぽになるほどコアな所にまで辿り着いた感がありましたし、ポニキャンOBでありオニピーの須賀正人プロデューサーがお亡くなりになってからは、PCショッピングクラブのダイレクト通販で岡田有希子( こちらで紹介)、斉藤由貴( こちらで紹介)、岩崎良美( こちらで紹介)ら既発CD-BOXの再プレスにとどまっていましたので、今回の一挙配信には個人的な思いがあふれて感涙。須賀さんと久しぶりにお会いできたような、温かくてうれしい気持ちになっております。
  
 さて、今回の配信は、各々のオリジナルアルバム、ライブアルバム、そしてアルバム未収録曲を補完するベスト盤が対象ということですが、奈々ちゃんとみどりさんについては、2004年の「ぼくらのベスト アナログ・アルバム完全復刻 package」シリーズで早々に全作品(キャニオン時代)のCD化が済んでおりますので、今回の目玉はチーコとシーちゃんの初デジタル化音源。
 ちなみに、アルバム未収録のシングル曲に関しては、シングルAB面コンプリート盤だった「ぼくらのベストSINGLES」シリーズなどの配信版で補完。
 みどりさんについては2013年に「 木之内みどりSINGLESコンプリート」が配信開始済みなので、今回は奈々ちゃんの「 岡田奈々SINGLESコンプリート」と、シーちゃんの「 あべ静江SINGLESコンプリート IN CANYON YEARS」(キャニオン在籍時のみにつき、CDに収録されていたCBS・ソニーとキング時代の音源は除外)の2タイトル。
 チーコに関しては「SINGLESコンプリート」のCDリリースがなかったため、2001年リリースの「Myこれ!クション」シリーズのベスト盤が、配信版としてシングルAB面を完全収録した「 松本ちえこ BEST+」へとグレードアップされております。
 
 まず、まんまる顔の女の子、チーコこと松本ちえこさん。一時期、みどりさんや奈々ちゃんと共に、ニッポン放送フレッシュガールとしても活動していたキャニオンレコード3人娘の1人です。
 74年のデビューですが、ブレイクを果たすのは75年秋、資生堂のバスボンのCMがきっかけでした。
 CMで歌った「バスボンのうた」のイメージを発展させた76年の「恋人試験」が大ヒットし、アルバムもコンスタントに制作するようになるのですが、Myこれ!チョイスシリーズでCD化済みなのはセカンドの「 ちえこのハロー・ウインター」と、ラストの名盤「 ワンダー・キャラバン」という2枚のみにつき、今回は残りの3枚が初デジタル化となります。
 
 ファーストの「 ちえこのViva Animals!!」は、CMのキャラクターイメージを映したノベルティ感たっぷりの仕上がりで、A面は伊藤アキラ+あかのたちおコンビによるオリジナル曲でコンセプチュアルに構成。
 B面は「バスボンのうた」や「恋人試験」に加え、デビュー曲「ボーイフレンド」と第2弾「まぶしい彼」というブレイク前のナンバーも収録と、ベスト盤的な側面も持っています。
 77年発表のサード「 ハイ!授業中」は、同名シングルをフィーチャーしたA面が引き続きの学園路線のオリジナル曲、B面がオールディーズのリバイバルブームを背景にした60年代のカバーポップスという構成。
 同年の「 ハーイ!ともだち」は、みんなでチーコのLPを作ろう!という月刊明星から生まれた企画盤。素人感満載のコラージュのジャケットしかり、シングルカットされた「おもいで不足」をはじめとする募集歌しかり、隣にいるクラスメイト的な立ち位置といいますか、ともだち目線で制作されたアルバムです。
 
 というように、デビュー時から一貫して等身大の普通の女の子の歌を身上としたチーコですが、ゴシップに巻き込まれたこともあってか、78年にはポップにイメージチェンジ。
 船山基紀アレンジのシングル「ワンダフル・ヒーロー」でサウンド的にも変身しましたが、この曲をメインにしたアルバムが「 感覚都市」。船山さんに加え、アレンジャーには大村雅朗、若草恵、矢野立美の各氏を迎え、ぐんとソフィストケートされていくワケですが、それが極まるのがラストアルバムとなった「 ワンダー・キャラバン」。
 ビートルズを意識したような仕掛けが随所に施されるなど、細かく丁寧に創り込まれたコンセプトアルバムなのですが、楽曲のクオリティに触発されたようにチーコの歌も格段に良くなっているのです。
 ノベルティソングのイメージに隠れがちですが、ボーカリストとしての実力も相当なものだったチーコ。お亡くなりになったのが残念ですが、ラストの2枚は今流行りのシティポップにカテゴライズされてもおかしくない出来ですので、これを機に歌手としても再評価されることを願っています。
 
 なお、前述の通り、4人の中で唯一「ぼくらのベストSINGLES」シリーズの発売がなかったチーコですので、アルバム未収録のシングル曲に関しては2001年に出た「Myこれ!クション」シリーズのベスト盤をグレードアップ。
 シングルAB面を完全収録した配信版「 松本ちえこ BEST+」として、CDには収録されていなかった初期シングルのB面「恋のチャンス」「わたしの気持」「すてきな三銃士」「恋の手紙にルールはない」「サンシャイン海岸」「ゆずって下さい」「哀愁メモリー」「セントラル・パーク」を追加。「クラスの渡辺くん」をカットした内容になっていますが、今回初デジタル音源化となるB面曲も入手できるので、ファンやコレクターの皆さんはマストバイですぞ。
 
 続いては、今年は脳梗塞で入院という心配なニュースも聞かれましたが、この4人の中では唯一、歌手として現役で活躍を続けるシーちゃんことあべ静江さん。
 歌手デビューは73年、ティーンアイドル全盛の中、大人の清純派歌手として特に中年男性をメロメロにしたものですが、驚くほどの美貌と知性を兼ね備えた、まさに才色兼備の存在でした。
 デビュー曲「コーヒーショップで」、第2弾「みずいろの手紙」も大ヒット。当時まだ創立3年だったキャニオンレレコードにとって、アイドルとしてトップの実績を叩き出したのは言わずもがな、いきなり山本リンダと並ぶ2枚看板の座に就いたワケですが、特筆すべきはシングルのみならず、LPが売れるアルバムアーティストだったことでしょう。
 
 Myこれ!チョイスシリーズではファーストの「 みずいろの手紙/コーヒーショップで」、初の全曲オリジナル「 あべ静江オリジナル~愛のかたち~」、そしてフォーク・ニューミュージック路線へ本格的にシフトした「 TARGET」の3枚がCD化されておりますので、今回デジタル化が叶ったのは2枚のオリアル「 突然の愛」「 透きとおった哀しみ」と、2枚のライブ盤「あべ静江リサイタル あべ静江リサイタル」「 あべ静江イン・コンサート」の計4作。
 2013年の40周年時に出たセルフプロデュース・ベスト「アンソロジー Memories for 40years」( こちらで紹介)で一部CD化されたナンバーもありますが、アルバム単位で聴けるのがうれしいところです。
 
 74年のセカンド「 突然の愛」とサード「 透きとおった哀しみ」は、オリジナル曲と、フォークヒットのカバーが半々という70年代の定番スタイルで構成。前者はデビューからの阿久悠+三木たかしコンビを中心としたオリジナルに 赤い鳥「忘れていた朝」「竹田の子守唄」、森山良子「恋人」、布施明「そっとおやすみ」など少し古いヒット曲に加え、ヤマハ出身のデュオ・ウイッシュの「御案内」といった渋い選曲がグー。
 後者は、タイトルに引用されたシングルを作った山上路夫+馬飼野俊一コンビのオリジナル曲に、小坂明子「あなた」、かぐや姫「神田川」、高木麻早「ひとりぼっちの部屋」、ガロ「ロマンス」、チェリッシュ「白いギター」、そしてチューリップ「心の旅」といった最新ヒットをチョイス。いずれも、DJでも鳴らしたシーちゃんの鈴を転がすような美声やファルセットはやみつきになること請け合いです。
 
 一方、ライブ盤の方はといいますと、74年の「 あべ静江リサイタル」は、「青春の愛と哀しみ」をテーマに、きっちりと構成された、まさに当時のリサイタル実況録音盤という趣。
 「コーヒーショップで」「みずいろの手紙」「透きとおった哀しみ」や名古屋時代の「さよならを風に乗せて」など、自身のオリジナル曲のほか、「愛の休日」「イエスタデイ・ワンス・モア」「アローン・アゲイン」「青春の光と影」などの洋楽ヒットまで、バラエティーに富んだ選曲。「この広い野原いっぱい」「想い出のグリーン・グラス」を取り上げたことでも分かるように、目標としていた森山良子さんのリサイタルを意識しているかのようです。
 75年の「 あべ静江イン・コンサート」も森山良子さんのレパートリーを取り上げていますが、風「22才の別れ」、ふきのとう「白い冬」、井上陽水「傘がない」など、全盛のフォークヒットがずらり。さすがフォーク陣が名を連ねる事務所、シンコーミュージック所属ならでは、シーちゃんもれっきとしたフォーク歌手のイメージへとシフトしています。良子さんといいますか、声質や唱法は“第二の森山良子”と呼ばれた本田路津子さんの方が近いでしょうか。
 白眉は、ロマンスも噂されたチューリップの財津和夫作品「私は小鳥」。大のお気に入りだったそうで、後にシングル化したほどです。
 
 サブスクでもダウンロードでも、長らく未CD化だった音源が気軽に聴けるようになったのは本当に喜ばしいことですが、Myこれ!シリーズのCDで途中までそろえている皆さんにとっては、やっぱり全作パッケージ化が悲願ではないかと思いますし、CD復刻の波が引いてしまった市場に肩を落としている方も多いのではないかと思います。
 でも、いくらヴァイナルがもてはやされる昨今であっても、CD化の要望に併せ今回の数字的な動きが良ければ、必ず次につながるはずですから、まずはデジタル音源入手ということで、配信にも手を伸ばしていただければと思います。
 
 

(2022.11.14)

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