アイドル時代の映像集が2in1で初ブルーレイ化！

　おニャン子クラブ会員番号29番といえば、もちろん渡辺美奈代さん。
　♪美奈代の「み」の字はみんなの「み」、 美奈代の「な」の字はなかよしの「な」、 美奈代の「よ」の字はよろしくの「よ」（秋元康作詞、見岳章作･編曲「会員番号の歌」より）と歌ったように、秋元さんも太鼓判を押したおニャン子きっての正統派アイドル。それもそのはず、おニャン子オーディションの前にCBS・ソニーのSDオーディションで合格していたアイドル候補生でしたから、おニャン子でなければデビューできなかったであろうメンバーとは一線を画す感じでした。
 
　国生の「バレンタイン・キッス」で“with おニャン子クラブ”としてフィーチャーされた後、86年7月に「瞳を約束」で満を持してソロデビュー。おニャン子が何を出しても初登場1位という時代だったとはいえ、美奈代は連続5枚で初登場1位という記録を達成するほどで、どこかの誰かが眉を寄せてやっかもうが、唇を歪ませて嘲笑しようが、名実ともにおニャン子No.1の存在だったことは確かでしょう。
 
　その後、結婚、出産を経てもママドルとして現役バリバリ。主婦業もしっかりこなしながら実業家としての手腕も発揮したり、やっぱり愛知の女性らしいなと感心しておりますが、歌手としてライブ活動を継続。コロナ禍の中、昨年ソロデビュー40周年を迎えておりますが、今月、恒例のバースデイライブ（シェラトン都ホテル東京でランチ会、ディナー会を開催するそうです）を行うタイミングで、アイドル時代の映像ソフトが初ブルーレイ化されるとのこと！
 
　それが、88年に出たコンサート映像集「ZENBU MINAYO」と、 90年のミュージッククリップ集「ピチカート・プリンセス」をまとめた「 ZENBU MINAYO and more 」。
　2タイトルとも、2004年に廉価版の“DVD Re-PRICE ビジュアルカプセルシリーズ”にラインアップされDVD化されていましたが、今回は2in1。2つまとめてお買い得プライスでの初ブルーレイ化ということですが、特典映像として初商品化となるプロモーション映像「1989年 恋愛（ロマンス）紅一点　ごあいさつ」が追加収録となるそうです。
 
　さて、デビューイベントがいきなり武道館だった美奈代ですが、「ZENBU MINAYO」は88年9月に中野サンプラザで行われたファーストコンサートから。
　おニャン子解散後ということで初々しさは感じられないかもしれませんが、その分、音楽的なクオリティは豊か。なんたってムーンライダーズの鈴木慶一さんと、ソニーのディレクターにして渚十吾だったという黒田日出良さんのコンビによる新展開を行っていた時期、名盤「My Boy 歌え！太陽 -a summer plase-」を引っさげたライブですからね。
　夕ニャンが終わると魔法が解けたようにショボくなってしまうおニャン子が多かった中、逆に楽曲のクオリティが高くなっていったのも美奈代の特長ですが、「ちょっと Fallin' Love」から始まって「抱いてあげる」「いいじゃない」と続いたナンバーは、まさにポール・マッカートニーとメリー･ホプキンの関係になぞらえた説のように、ある意味ケーイチさんの世界観の最高表現者ではなかったかと思います。まだフル尺収録の時代ではなかったので楽曲は11曲、当時のオフショット映像も含め約34分に編集されていますが、おニャン子から進化を遂げていた頃の美奈代の全部が詰まっているといえそうです。
 
　一方、90年の「ピチカート・プリンセス」は、バンドブームに押されてアイドル歌手のヒットが困難になった時代、元コスミック・インベンションの井上ヨシマサを器用して方向転換した頃のミュージックビデオ4曲を収録。
　89年の「恋愛（ロマンス）紅一点」、90年の「ピチカート・プリンセス／夜明けのヒッチ・ハイク」といったシングル曲のビデオクリップが見られます。
　事務所の先輩のキョンキョンとまではいかずとも、ビジュアル素材としても高いポテンシャルを持っていた美奈代の魅力が堪能できると思います。
 
　なお、本作は市販流通はしないSony Music Shop限定商品ということですのでご注意ください。先着で、当時と現在の美奈代が楽しめる「美奈代 缶バッチ」2個セットがもらえるそうですので予約、購入はお早めに！
 
　また、これを機に美奈代の歌を聴き直したいという方には、ソロデビュー30周年を迎えた2016年に、レーレルの垣根を超えた初のシングル・コンプリート・コレクション「渡辺美奈代 30th Anniversary Complete Singles Collection」（ こちらで紹介）が出ていますので、そちらをどうぞ。