全曲カラオケ付き！40周年のアルバム再発

　デビュー40周年目に突入した昨年から、古巣のワーナーによる記念企画がスタートしている中森明菜さん。
　デビュー記念日にリリースされたピクチャーレコード＆ブルーレイのセット「 『スローモーション』＆『はじめまして』BOX」（ こちらで紹介）は予約段階で完売を記録するなど、根強い人気を見せつけていますが、次なる企画が発表されました！
 
　その名も「中森明菜デビュー40周年記念 ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズ」！　ワーナー時代のオリジナルアルバム14タイトル、ベストアルバム4タイトル、ミニアルバム5タイトルを、約2年にわたって再発するというビッグな企画です。とはいえ、これだけ聞くと、明菜のアルバムは廉価盤から紙ジャケ、SACDまで何度もCD再発されていますし、音源としてはもう十二分に行きわたっているのではと思ってしまいますが、なんと今回は全曲オリジナル・カラオケ（2022リマスター）付きの2枚組仕様。 
　今春出たライブアルバム「AKINA EAST LIVE INDEX-XXIII＜2022ラッカーマスターサウンド＞」（ こちらで紹介）同様、ラッカーマスターサウンド復刻の上、初代ディレクター&プロデューサーの島田雄三氏の秘話満載の解説（今回も濱口英樹さんの取材・構成によるものだそうです）付きでお買い得プライスということですから、コアなファンならずとも買い替え、買い増し必至ではないでしょうか。
　タイトルによってはアルバム未収録のシングルカップリング曲などボーナストラックも付くそうですし、オリカラのコレクターにも需要が見込めそうなので、まさに企画の勝利という気がします。
 
　第1弾として7月にリリースされるのは、デビュー年の82年にリリースされた3タイトル。すなわち、シングルより先にトップ10入りを果たしたファーストアルバム「 プロローグ＜序幕＞AKINA NAKAMORI FIRST【オリジナル・カラオケ付】＜2022ラッカーマスターサウンド＞」、「少女A」でのブレイクによって初登場1位を記録したセカンド「 バリエーション＜変奏曲＞ AKINA NAKAMORI SECOND (+1) 【オリジナル・カラオケ付】 ＜2022ラッカーマスターサウンド＞」、そしてクリスマスのお楽しみ企画としてリリースされたミニアルバム「 Seventeen 【オリジナル・カラオケ付】 ＜2022ラッカーマスターサウンド＞」の3タイトル。
 
　花の82年組のメンバーの中でも他者とは一線を画す存在感を放ち、デビュー前から大器を予感させた明菜の、独特の世界観が広がっております。
 
　ただ、明菜の場合、最初のシングル2枚から展開された山口百恵式方法論ゆえか、百恵ちゃんと同じシングル至上主義という印象は拭えなかったのも事実で、実際、初期のアルバム三部作まではトータルアルバムという印象は薄く、作家陣の志向も作風もバラバラ。
　もちろん明菜の底知れぬ埋蔵量を試すために、さまざまなタイプの楽曲に挑戦しさせようとした結果だとは思うのですけど、例えば南沙織で知られる中里綴＋田山雅充コンビが名を連ねていたり、ドメスティックな歌謡曲や70年代を引きずったニューミュージックの印象が強く、クオリティのバランスに欠ける感もあったのは事実です。
　当時のファン中心層にヤンキーが目立っていた影響もあったのかもしれませんが、今回、明菜伝説をひもときながらそういう背景も含めて検証するよい機会になりそうな気がします。
 
　また、アレンジは萩田光雄、船山基紀、若草恵ら諸先生が担当していますから、オリカラで名匠のサウンドをつぶさにチェックしてみるのもオススメです。
　なお、ラッカーマスターサウンドとは、アナログレコードの原盤であるラッカー盤にカッティングしレコード針で再生した音をデジタル化したものだそうで、サウンド的な発見もありそうですしね。
 
　という明菜の40周年。本人不在なのが寂しいところですが、こういう企画へのファンの反応が何よりの薬になって、復活へとつながることを祈っています。