第6弾は企画アルバム3タイトル、ブルーレイも！

　この5月1日に、41回目のデビュー記念日を迎える中森明菜さん。
　それに先駆け4月28日には、89年のライブ映像を4Kデジタルリマスターした劇場版「中森明菜イースト・ライヴ インデックス23 劇場用4Kデジタルリマスター版」が全国ロードショー。本編終了後には、明菜自身の希望によって感謝のメッセージコメントが流れるということで、昨夏の再始動宣言以来、大きな話題となっております。
 
　復刻ものも、古巣のワーナーによって進められている記念リリース企画「中森明菜デビュー40周年記念 ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズ」（第1弾は こちら、第2弾は こちら、第3弾は こちら、第4弾は こちら、第5弾は こちらで紹介）に加え、ワーナーを離れ、93年にMCAビクター (現ユニバーサル ミュージック) へと移籍して以降のアルバムの廉価再発も決定。
　5月31日にはオリジナルアルバムの中から 9タイトル、6月28日にはカバーアルバム 12タイトルがリリースされるそうで、大きな盛り上がりを見せておりますが、5月1日にデビュー41周年を迎えるタイミングで第6弾のリリースも発表されました！
 
　このシリーズは、ワーナー時代のオリジナルアルバム14タイトル、ベストアルバム4タイトル、ミニアルバム5タイトルを、約2年にわたって再発するというビッグな企画ですが、第6弾は87年から88年かけて出た3タイトル、ミニベスト「 CD'87 (+1)【オリジナル・カラオケ付】＜2023ラッカーマスターサウンド＞」、全曲英語詞による「 Cross My Palm (+8)【オリジナル・カラオケ付】＜2023ラッカーマスターサウンド＞」、そしてシングル候補のストックを集めた「 Stock【オリジナル・カラオケ付】＜2023ラッカーマスターサウンド＞」に、アナログやブルーレイを加えた全6作とのこと。今回はオリアルというよりも企画盤ばかりという感じですね。
 
　まずミニベスト「 CD'87 (+1)【オリジナル・カラオケ付】＜2023ラッカーマスターサウンド＞」は87年5月リリース。タイトル通りCD限定企画としてリリースされた8曲入りのミニベストで、直近の4枚のシングル「DESIRE -情熱-／LA BOHÈME」「ジプシー・クイーン／最後のカルメン」「Fin／危ないMON AMOUR」「TANGO NOIR／MILONGUITA」両面を網羅したものとなっていますが、今回はカセット限定のシングル「ノンフィクション エクスタシー」をボートラ収録。
　今聴くと、レコード大賞2冠へと進む勢いというか、1曲1曲異なるイメージで孤高の歌姫の地位を不動のものにしたパワーまでがパッケージされているようです。
　CDの完全普及前にはこういった類いの企画が多かったものでしたが、明菜の場合はオリアルにシングル曲が入ることがなくなっていたのと、CDシングルがまだ出ていない時代だっただけに、前年出た「BEST」の続編としても重宝されたベストだったと思います。
　なお、今回は同時発売で初アナログ化されますが、タイトルは「 LP'87 (+1)＜完全生産限定盤＞」に変更されています。
 
　続く「 Cross My Palm (+8)【オリジナル・カラオケ付】＜2023ラッカーマスターサウンド＞」は87年8月リリース、NY録音による英語盤。
　お手本は「フラッシュダンス」から始まって「フットルース」「トップガン」など、コンピ盤の様相を呈していた洋画サントラだそうで、「12曲を歌う12人の明菜」をコンセプトに、外国人作家が手がけたさまざまなナンバーを明菜が歌い分けるというもの。
　ボーカルのサウンド化を試みていた明菜の場合、言葉はさほど重要ではないと思っていたのかもしれませんが、正直、明菜の歌が英語である意味が見い出せない気がしたのは確かです。というのも、収録曲の「THE LOOK THAT KILLS」は、当時の最新シングル「BLONDE」の原曲だったワケですが、あの曲のエルメスのスカーフで作った衣装をはじめとする世界観や、明菜自身のアンニュイなムードも含め、本質的にはヨーロッパのイメージがありましたので。むろんトレンドがユーロビートだったこともあってか、事実、このアルバムで最もしっくり来ているのは、原曲がフランス語だったという「MODERN WOMAN（FEMME D’AUJOURD’HUI）」と言えば穿ちすぎでしょうか。
　後に全米発売されたそうですが、日本のトップアーティストのアルバムということで聴いたアメリカの方はどう感じたことでしょうか。
 
　ともあれ、バブル時代らしいゴージャスでデコラティブな戦略であったことに違いなく、アルバムとともに音楽ビデオ、ビジュアルブックという立体的なメディア展開が繰り広げられており、今回のCDにはビデオに収録された音源がボートラ収録されるほか、ビデオ単体を「 Cross My Palm」としてブルーレイ化。さらにCDとブルーレイをセットにしたBOX「 Cross My Palm COMPLETE BOX ［2CD+Blu-ray Disc］＜完全生産限定盤＞」（7インチサイズだそうです）も同時発売されるとのことです。
 
　そしてラストの「 Stock【オリジナル・カラオケ付】＜2023ラッカーマスターサウンド＞」は、88年3月リリース。
　文字通り、シングル候補楽曲として制作されたストック曲を集めたもので、ハードロック系でインパクトの強い強力作ばかりで構成。
　許瑛子、湯川れい子、林哲司、都志見隆、鈴木キサブローら、世に出たシングル曲でおなじみの作家陣を中心に、1曲1曲の個性が強烈なこともあり、寄せ集め感は否めませんが、ミックスにもこだわったハードロックサウンドのトータルアルバムといえるでしょう。
 
　明菜のイケイケだった一面をクローズアップさせたというか、初期からあったツッパリ路線を突き詰めていったという印象。当時の明菜のボーカルは抑え気味だったので、そういう点でもパワフルな人気作となっています。
　85年から87年の作品だということですが、中島みゆきが明菜のために書いたという説が残る「見返り美人」、レコーディングされていたのならいつか聴いてみたいものですね。