トリビュートライブ開催に合わせ、作品集も！

　1997年に46歳で夭折した作・編曲家、大村雅朗さん。
　2017年に没後20年のタイミングで「 作編曲家 大村雅朗の軌跡 1951-1997」が発刊されて以来、再評価は高まるばかりで、18年には大村さんの聖子ソングを集めた作品集「SEIKO MEMORIES～Masaaki Omura Works～」（ こちらで紹介）が発売。
　19年には出身地であり、お墓のある地元・福岡の放送局・FBSの開局50周年記念特別番組として「風の譜(うた) ～博多が生んだ伝説の編曲家 大村雅朗～」がオンエアされるとともに、4枚組BOX「作編曲家 大村雅朗の軌跡 1976-1999」（ こちらで紹介）がリリース。フォーク、ニューミュージックから、ロック、歌謡曲、アイドルポップスまで、ジャンルを超えて楽曲に普遍的な輝きを与えてきた手腕と功績が、あらためて脚光を浴びました。
 
　そして今年、2022年は没後25年となりますが、9月23、24の2日間、地元・福岡のキャナルシティ劇場で豪華なトリビュートコンサート「 大村雅朗 25th Memorial Super Live 」の開催が決定。
　このコンサートには、初期の大村さんの大ヒット、「みずいろの雨」の八神純子さんとSACHIKO」のばんばひろふみさんをはじめ、聖子ソングや、薬師丸ひろ子さんへの提供曲大村アレンジ競作（「メイン・テーマ」と「スタンダード・ナンバー」）も知られる南佳孝さん、ある意味J-POPの金字塔といえる「My Revolution」の渡辺美里さん、大村さんを敬愛するマッキーこと槇原敬之さんら、ゆかりのアーティストたちが出演。
　さらには黄金期の聖子ソングを共に制作し大村さんを弟のように思っていたという作詞家の松本隆さんや、ジュリーや吉川晃司、大沢誉志幸らの作品で大村サウンドに関わったプロデューサー・木﨑賢治さんがトークゲストとして登場するそうですが、コンサートの音楽監督・総指揮を務める佐橋佳幸さんと亀田誠治さんが選曲したアナログ盤の発売も決定しました。
 
　それが2枚組LPの「 大村雅朗の奇跡 ～Compiled by 佐橋佳幸 ＆ 亀田誠治～ ＜アナログLP盤＞ 」。
 
　初のトップ10入りを果たし出世作となった八神純子｢みずいろの雨」をはじめ、初のオリコン1位獲得曲となった岸田智史「きみの朝」、新進レコード会社のEPIC･ソニーに初ヒットをもたらしたばんばひろふみ「SACHIKO」といった70年代の大ヒットから、没後の99年、お蔵入りだったナンバーが松本隆さんの手によって松田聖子への遺作としてよみがえった「櫻の園」まで、お2人それぞれの個性が出た選曲となっています。
 
  ヤマハ出身の大村さんらしく、石川優子「レット・ミー・フライ」、亀田夫人でもある下成佐登子「悲しみのアクトレス」といったヤマハ勢の初期作品や、沢田研二「晴れのちBLUE BOY」、薬師丸ひろ子「メイン・テーマ」、大沢誉志幸「そして僕は途方に暮れる」、原田知世「早春物語」、吉川晃司「You Gotta Chance～ダンスで夏を抱きしめて～」というトップ10ヒットもセレクトされていますが、特筆すべきは、大村さんを音楽の兄として慕っていた大江千里さんのチョイス。「贅沢なペイン」「GLORY DAYS」という自身の作品に加え、大村さんが橋渡しをして松田聖子に提供した「雛菊の地平線」の3曲が選ばれているんですよね。
　曲やアーティストそれぞれの個性に応じてオールマイティーにアレンジする大村さんの手腕ですが、最も凄かったのは時代を意識したトレンドを加味しつつも、普遍的なサウンドを構築したことでしょう。
 
　なお、コンサートの開催に併せて、木﨑さんがプロデュースし、大村さんが音楽を担当した吉川晃司の主演映画「YOU GOTTA CHANCE」のサウンドトラック盤「 The Soundtrack "YOU GOTTA CHANCE" Original Motion Picture Soundtrack by MASAAKI OHMURA」のリマスター再発売が決定。
　また、大村さんが「スマイル・フォー・ミー」「エスカレーション」という2大代表曲をアレンジした河合奈保子の大村作品集「 Masaaki Omura Works～大村雅朗作品集～」も同時発売されるとのこと。
　また大村さんの再評価が高まることでしょう。