祝50周年！市販流通4枚組ベストは37年ぶり！

　ユーミンがデビュー50周年ならマユミティも50周年。ということで、デビュー記念日の10月21日に50年の軌跡をまとめた4枚組のベストアルバム「 Mayumi Itsuwa Premium best -HISTORY-」が発売決定となりました！
 
　日本の女性シンガー・ソングライターの草分けであることには違いないですし、日本のみならずアジア諸国にも根強いファンがいますが、何だか正当に再評価されていない感じがする五輪さん。
　フォーキーでやや難解な初期の私小説がソフトロック的にクローズアップされたこともありましたが、やっぱり「恋人よ」のイメージが強すぎるせいでしょう。アリスの堀内孝雄さんみたく、フォーク、ニューミュージックのレジェンドアーティストというより、演歌・歌謡曲系の歌手と思われている節があり、残念な気がしていたのは確かで、こういうベストで再評価の気運が高まればと思っています。
 
　さて、高校生の頃から天才少女と呼ばれるも、数多のデビューの誘いを断っていたという五輪さん。ようやくデビューを飾ったのは1972年。事務所はミュージカル・ステーションに所属し、レコード会社はCBS・ソニーで酒井政利さんと並ぶ鬼才・中曽根皓二さんが担当。しかもプライベートレーベル・UMIを立ち上げてもらってのデビューと、貴公子・たくろうも真っ青の破格の扱いでしたが、アメリカ・ロサンジェルス録音のデビューアルバム「少女」は、かのキャロル・キングがバッキングということも話題を呼び、大ヒットしました。
 
　以降、CMソング「煙草のけむり」をスマッシュヒットさせたほかは伸び悩んでいましたが、フランス進出を経て、78年の「さよならだけは言わないで」ではヒットを狙って歌謡曲路線へとシフト。
　これが成功し、「残り火」「夜汽車」「合鍵」といったシャンソン風のニューミュージック歌謡というジャンルを確立させ、とどめのように「恋人よ」のメガヒットを放ったワケですが、売れ線といいますか、歌謡曲チックなおフランス路線がメインとなったことで、音楽もファン層も固定されていったように思います。
 
　今回のベスト盤は、ソニーの五輪真弓デビュー50周年アニバーサリーサイトで募集された人気投票などを参考に収録曲が決定されるようですので、ヒット曲は網羅しながらも、従来のベスト盤とは違った選曲になりそう。
　さらに日本では未発売だったフランス盤の音源やシングルカップリング曲の初CD化も実現する上、NHK「みんなのうた」から「遠いまち」「星の子供たち」も収録されるそうので、やっぱりコレクションすべきアイテムとなるようです。
 
　五輪さんの場合、通販ではスケールの大きな全集が出ていて、96年には8枚組の五輪真弓 COLLECTION_FOR LOVERS ONLY」が、2017年の45周年時には5枚組の「 五輪真弓ベスト～90 SONGS～」が発売されていますが、後者はコンセプチュアルなディスク構成でしたし、今回はなってたって市販流通。しかも、85年の「五輪真弓全集 フェイバリット・ソングス」以来、37年ぶりの4枚組というスケールですからね。
 
　さらに今回はさすが50周年ということで予約・購入特典がもらえる販促施策も行われるそうで、 楽天ブックス ではオリジナルA4クリアファイル、 Amazonではメガジャケ、 セブンネットショッピングではオリジナルスマホスタンド、その他応援店ではオリジナルポストカード（2種1セット）が用意されているとのこと。
 
　ちなみに、デビュー以来、アルバムアーティストとして知られる五輪さんですが、かつてCD選書で出ていたオリジナルアルバムは全て廃盤で、2009年にオーダーメイドファクトリーで70年代のアルバムBOX「MAYUMI PREMIUM 1972-1979」が企画されるもリクエストが集まらず頓挫。
　現在は、2013年に名盤復刻シリーズにラインアップされた「 少女」「 恋人よ」「 時の流れに」以外のアルバムはしばらく入手困難な状況が続いていますので、今回のベスト盤が起爆剤となって、紙ジャケ復刻への盛り上がりが生まれるといいですね。
 
　なお、シングル集としては2009年にお得な3枚組のA面コンプリート「GOLDEN☆BEST deluxe 五輪真弓 コンプリート・シングルコレクション」（ こちらで紹介）がリリースされていますので、そちらをどうぞ。