復刻第5弾は80年代前半のオリアル！

　先月、2006年のコンサートのオープニング曲用に書かれた未発売曲「 終わらない夜」をシングルとしてリリースした西城秀樹さん。
　天国に行ってからもなお、すぐそばで歌っているような感覚を覚えてしまいますが、オリコンの週間シングルランキングでは、なんと初登場10位を記録。トップテン入りは、85年に出したバリー・マニロウとのデュエット「腕の中へ -In Search of Love-」以来、実に37年ぶりということで、ヒデキファンの多さをあらためて実感した次第ですが、デビュー50周年を記念して企画された全アルバム復刻も、第5弾のリリースが決定。
 
　80年代前半のオリアル「 Songs 」「 ビッグ・サンシャイン 」「 ポップンガール　ヒデキ 」「 クリスタル・ラブ 」「 It's You 」「 GENTLE A MAN 」6タイトルが、一挙発売されます！
 
　デビュー50周年を記念し、昨年6月にスタートし3カ月ローテで進んでいた復刻（ こちらや こちら、 こちらで紹介）ですが、今年は、3月のデビュー記念日にTBSでの歌唱映像を集めた7枚組DVD-BOX「THE 50 HIDEKI SAIJO song of memories」（ こちらで紹介）がリリースされたため、6月にライブアルバム6作（ こちらで紹介）が発売されただけとなっておりましたが、6カ月ローテでようやく再開したことになりますね。
 
　ちなみに、今回の6枚のうち「It’s You」と「GENTLE A MAN」に関しては2013年にOMFでCD化されていますので、今回は初CD化となるのは4枚。
 
　簡単に内容を追っておきますと、まず「 Songs 」は80年2月リリース。前年、自己最大のメガヒットとなった「YOUNG MAN（Y.M.C.A.）」で日本中を席巻し、日本テレビ音楽祭、日本歌謡大賞などほとんどの賞レースでグランプリに輝いたヒデキですが、外国曲につきレコ大は対象外。代わってノミネートされたのが山川啓介＋筒美京平コンビの「勇気があれば」で、シングルではデビュー曲以来、久々の筒美作品でした。その流れで、80年の初頭を飾ったシングルも同じコンビの「悲しき友情」となるのですが、このアルバムではその筒美先生をメイン作家としてフィーチャー。
　シングル曲「勇気があれば／IF（イフ）」「TAKE IT EASY」（「悲しき友情」のB面）に加え「OPEN TICKET」「プロローグ」「SEE YOU TOMORROW」の6曲を、山川さん、伊達歩（伊集院静）さんとのコンビで手がけています。
　筒美先生の場合、新御三家ではゴローやひろみの担当名曲群を支えてきたイメージがありますが、ヒデキにも数は少ないもののスケールの大きな曲をしっかり書いておられるので、筒美フリークも必携のアルバムといえるでしょう。
 
　続く「 ビッグ・サンシャイン 」は同じく80年の8月。アルバムには未収録ですがシングルでいえば「エンドレス・サマー」、まるでひろみに対抗するかのようにヒデキがセクシーなおヒゲを伸ばしていた時期のリリース。
　シングル曲としては1個前の「俺たちの時代」、そう、ピンク・レディーの「DO YOUR BEST」に続くモスクワオリンピック応援歌として注目を集めたナンバーを収録。とはいえ結局五輪はボイコット、例年ならヒデキの熱い季節となるはずの夏も冷夏ということで、今一つ奮わなかった「エンドレス・サマー」同様、予想された大きな盛り上がりはなくなってしまったのでした。
　でもアルバムでは、松田聖子作品で乗りに乗っていた小田裕一郎、太田裕美作品で頭角を現しシンガー･ソングライターデビューもした元クラフトの浜田金吾、80年代にヒットメーカーとなる鈴木キサブローら、若手作家を起用。80年代という新たな時代の新たなヒデキ像を構築しています。安井かずみ＋加藤和彦「TRUE LOVE」、筒美作品「ショッキング」なども聴きどころといえるでしょう。
 
　お次は翌年、ガールシリーズ展開中の81年7月リリースの「 ポップンガール　ヒデキ 」。
　オリコントップ10入り30曲目ということで話題を呼んだヒットシングル「リトルガール」を収録。他には、ガールシリーズの1曲を手がけた人気絶頂の横浜銀蠅、「A LONG VACATION」がロングヒットを続けていた松本隆＋大瀧詠一コンビ（アレンジは鈴木茂）、ジューシィ・フルーツやザ・ぼんち、柏原よしえへの提供曲でソングライターとしても活躍していた近田春夫ら、旬のソングライターがガッチリ脇を固めています。
 
　そして、今回初CD化アルバムとしては最後を飾るのが、82年7月、1年ぶりのオリアルとなった「 クリスタル・ラブ 」。
　同郷の吉田拓郎提供のシングル「聖・少女」がヒット中のリリースで、ジャケ写もシングルの別カットでしたが、ヒデキの場合、最新シングルは入らないのが定例。よって当然入っていませんが（B面曲「夕陽よ、俺を照らせ」は収録）、1個前のシングル「南十字星」も別のリメイクバージョンで収録されているのです。
　この曲は、東宝創立50周年を記念した日豪合作の同名映画の主題歌という一段とスケールの大きな企画作。シングルではダイナミックな歌唱が、アルバムではセクシーでありながら包み込まれるようで一段と心地よい歌声となっております。
　ほかに、長年ヒデキのバックを務めた芳野藤丸さん率いるSHŌGUNのケーシー・ランキンさん提供作なども収録。
 
　なお、83年の「 It's You 」は中期の代表曲「ギャランドゥ」、84年の「 GENTLE A MAN 」はロカビリー時代のカバー「Do You Know」をフィーチャーしたアルバム。SonyMusicShopでは、恒例の 6タイトルまとめ買い 特典として、ジャケ絵柄缶バッジがもらえるそうです。
 
　今回のアルバムの期間である81年には、オフコースのカバーヒット「眠れぬ夜」をはじめ「君と歩いた青春」や「哀愁トゥナイト」などの男性ニューミュージックの名曲を取り上げた「HIDEKI SONG BOOK」というカバーアルバムも出しているヒデキ。オリアルではないので今回はスキップされていますが、実はこのアルバムこそ必聴。
　当時のヒデキは太田裕美さんと一緒に「サンデーわいわい広場」という公開ラジオ番組をやっていましたが、ちょうど太田さんが「君と歩いた青春」をシングルカットした頃と重なったもので、ご自身も大好きなナンバーとして猛プッシュしてくれたり、太田さんが休業で降板することになった際にはデュエットも聴かせてくれましたっけ。
　ヒデキの「君と歩いた青春」については、BOX（ こちらで紹介）でCD化されていますが、「HIDEKI SONG BOOK」はやっぱりヒデキの歌唱力を堪能するアルバムとして聴きたいので、この復刻シリーズに早くラインアップされることを首を長くして待ちたいと思っております。