必殺＆情熱、ビクターのマニアックコンピ第3＆4弾！

　ここ数年落ち着いた感のあるマニアックアイドル復刻市場で、一人気炎を吐いているビクターアイドル・レアトラックスシリーズ。

　今年初めには70年代編の第1弾「ビクターアイドル超絶レアトラックス＜1970年代編＞」（こちらで紹介）、8月には続編となる80年代編「 ビクターアイドル 激烈レアトラックス＜1980年代編＞」（こちらで紹介）と続いてきましたが、今度はなんと70年代メインの「ビクターアイドル必殺レアトラックス＜1970年代＋α＞ 」と、60年代メインの「ビクターアイドル情熱レアトラックス＜1960年代＋α＞ 」という2タイトルが同時発売！
　Amazonでは限定特典のデカジャケ付き（「【Amazon.co.jp限定】ビクターアイドル必殺レアトラックス ~1970年代+α~ [CD] (Amazon.co.jp限定特典 : デカジャケ 付) 」「【Amazon.co.jp限定】ビクターアイドル情熱レアトラックス ~1960年代+α~ [CD] (Amazon.co.jp限定特典 : デカジャケ 付)」）と、何ともスゴイことになっております。
  
　今回は、これまでほとんど手つかずのようだった60年代編が初CD化満載で激レア。なんたってピンキーや朱里エイコ、黛ジュン、じゅんとネネらビッグネームのブレイク前の別名ナンバーや、前川陽子や日吉ミミらの初期作品などがごっそり収録されていますが、ほっといても話題になりそうなので、ここではやっぱり70年代編＋αをプッシュさせていただきましょうか。
 
　ビクターの場合、70年代以降のマニアックアイドルの音源に関しては、86年の「宝石箱 アイドル伝説」をはじめ、それをひな形に95年にTWIN BESTシリーズとしてリニューアルした「アイドル宝石箱」、2003年に初回発売された「デビュー！～ビクター・アイドルPOPS デビュー・シングル・ヒストリー～」、2014年のTWIN BESTシリーズの１つとして突然出た「アイドル・ポップス黄金時代」（ こちらで紹介）といった自社アイドルの歴史的コンピや、マイナーアイドルに特化したコンピ「スーパー・おたく・バイブル-永遠のアイドル編-」などを通じ、昔から結構CD化が進んでいました。
　また、P-VINEの「お・し・え・てアイドル」シリーズや、Hotwaxの「Girls,It ain't easy」シリーズ（ こちらで紹介）など持ち込み企画での初CD化も含めると、かなり網羅されている感があったんですよね。

　むろんそれらもずっと同じ人が購入しているという背景もあったりして、このシリーズはこれまでの欠落を補完するという意図も感じられますが、今回もそれは同じ。
　まず74年デビューの松岡ひろみは、2枚のシングルA面が「宝石箱 アイドル伝説」「アイドル宝石箱」と「アイドル・ポップス黄金時代」でCD化済みであり、ここではCD化完了となるよう「小さな一日」「枯葉の季節」というB面曲がセレクトされています。
 
　続いては泡沫アイドルのオンパレード。前回候補に入っていた75年の藤川みゆき「朝／不安のとき」や井上慶子「つげぐち／雨上がりの舗道」をはじめ、76年デビューで「君こそスターだ！」出身の和泉早苗「恋ばなし／日暮れてひとり」やTBSラジオDJの長島美弥子「愛のディスクジョッキー／ミラー・ゾーン」、77年デビューの中沢千鶴子「花売り娘／純愛」、筒美京平作品で78年にデビューを飾った原田千絵「夢のカリフォルニアまで／おとなの感触」と、いずれもデビューシングルであろう両面を収録。
　アイドルポップスというよりもフォーク、演歌、歌謡曲寄りのものも多く玉石混淆の様相ですが、やっぱり筒美フリークとしては原田千絵に注目。初CD化のB面曲「おとなの感触」はぜひともコレクションに加えたい1曲です。
 
　そしてキョンキョンの元歌アーティストとして知られる森まどかは、78年のデビューシングル「ひまわりの夏／プチ・プチ・チャ・チャ・チャ」に加え、79年の第2弾にして小泉今日子「私の16才」の元歌「ねえ・ねえ・ねえ」も収録。
 
　残りは80年代で、まず街田祐子は、荒木一郎作詞作曲の「誘惑SUMMER」と沢田研二（アレンジは大村憲司）作曲の「片想い症候群」という2枚のシングルA面。いずれもMEG-CD化済みなのでレア度は低いでしょうか。
　そして本来ならばA級になれたであろう悲劇のサンデーズアイドル、沢村美奈子。デビューシングルのB面「ラブ・プレイン」と第2弾「パンプキン・ラブ／シックスティーン・フィーリング」。こちらもMEG-CD化済みですが、レコード起こしらしかったので悲願の純正CDというところでしょうか。
 
　今回も選曲・監修は鈴木啓之さん、70年代編の解説は80年代編と同じくチェリーさんだそうです。
　なお、前回70年代編に入っていた牧れいは、今回は60年代＋α編に収録されていますので要注意。今回はビクターの文化放送系POPレコードレーベルからリリースしたシングル2枚から「悲しい女の子」と「たそがれに泣く」が入るとのことです。
 
　というビクターの蔵ざらえといいますか、なんとも濃く、顔すら知らない人も含む究極のマニアックコンピ。かつてソニーが市販からオーダーメイドファクトリーへと販路を移して展開し、それこそD級、E級といえるような無名アイドルまでをこそげ取るように復刻してきたアイドル・ミラクルバイブルシリーズと並ぶ企画に発展しているのではないかと感じますが、ぜひとも他社にも追随してもらいたいですよね。
　またビクターの場合、アイドル・ミラクルバイブルシリーズに乗らなかっただけに、今度はA級、B級を含めアーティスト別に編まれる企画なんかにも期待したいものです。