ナツメロ喫茶店

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#979
ピンク・レディー アルバム12タイトル <音楽配信>
ペッパー警部・チャレンジ・コンサート・サマー・ファイア'77 ・バイ・バイ・カーニバル・アメリカ!アメリカ!アメリカ! ・'78ジャンピング・サマー・カーニバル ・星から来た二人 ・ピンク・レディーの活動大写真・ライブ・イン武道館・ピンク・レディーの不思議な旅 ・ピンク・レディー・インUSA・WE ARE SEXY 
*2019.12.11配信開始、すべて単曲購入可能

PL70年代のアルバム、ハイレゾを含み配信開始!

 本日12月13日に全国公開となった「妖怪ウォッチ」シリーズ最新作「映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか」。テーマ曲は、ピンク・レディーの15年ぶりの新曲、それもボカロPのナユタン星人が手がけた「メテオ」ということで夏前から話題を呼んでいましたが、映画公開に合わせてミュージックビデオが YouTubeで公開。ようやく全貌が明らかになりました!
 
 これでひと安心。というのも、先駆けて行われた完成披露試写会にはピンクの2人が登場したものの楽曲披露はなく、かつての「2年目のジンクス/ポロロッカ」や「ピンク・レディーのダンス天国」のように、発売中止になって日の目を見ないのではないかと不安になったりしたもので…。
 早速試聴させていただきましたが、PLの健在ぶりを実感できる充実作。後は配信でも何でもリリースを信じて待ちたいと思っていますが、このタイミングで70年代にリリースしたアルバム12作も配信解禁となりました!
 
 全曲オリジナルのアナログマスターテープからリマスタリングを実施。iTunes Store、レコチョク、moraなどのサブスクのみならず、レコチョク、e-onkyo、moraではハイレゾも配信されております。
 PLのアルバムのCD化は90年代から一部進み、インディーズ供給を経て、2006年には全作ビクター純正紙ジャケで復刻され、2008年にはアンコールプレスもされておりますが、すべてとっくに廃盤になっていますので、今回の配信は待望といえるでしょう。
 
 空前の社会現象となったPLの場合、殺人的スケジュールもさることながら、テレビと営業中心の活動だったせいで、77年から79年の全盛期3年間に出たアルバム(ベスト盤を除く)は、12作中6タイトルがライブ盤となっているのが特徴。せっかくですから、順を追ってそれぞれご紹介することにいたしましょう。
 
 まずは77年1月のファースト「 ペッパー警部 ペッパー警部<ハイレゾ>」(オリコン最高2位)。前年暮れにレコ大新人賞に輝き、第2弾シングル「S・O・S」がオリコン1位をマークする直前のリリース。2枚のシングル両面にミー、ケイそれぞれのソロをプラスしたオリジナル6曲と、当時タータン旋風を巻き起こしていたベイ・シティ・ローラーズのカバー6曲という構成です。
 
 2枚目からは怒濤のライブ盤リリース。まず77年3月31日に東京・芝郵便貯金ホールで行われた初コンサートの実況録音盤「 チャレンジ・コンサート(Live at 郵便貯金ホール 1977/3/31) チャレンジ・コンサート<ハイレゾ>」(1位)。
 BCRにオリビア・ニュートン=ジョン、スティーヴィー・ワンダーをはじめ、ポップス、ロックにソウルにディスコ。歌って踊るPLの真骨頂といいますか、この構成はマネージャーにしてプロデューサーの相馬一比古さんの志向。個人的には同じく相馬さんが手がけた浅田美代子のラストライブにして名盤といえる「美代子のページ」の続編と思っておりますが、PLで叶える世界進出の夢の原型が既に顔を覗かせております。
 
 続いては人気沸騰、2枚組となった田園コロシアムでのライブ盤「 サマー・ファイア'77(Live at 田園コロシアム 1977/7/26) サマー・ファイア'77<ハイレゾ>」(2位)。お得意のBCRをはじめ、モータウン系やアバ、スティーヴィー・ワンダー、レイ・チャールズ、ビートルズまで、オープニングから洋楽でガンガン押しまくってオリジナル曲がなかなか出てこない構成はもちろん、初期からずっと指揮・編曲が前田憲男先生という事実も凄いですが、神がかり的なピンク旋風というか飛ぶ鳥を落とす勢いまでがしっかり記録されています。
 
 お次はバイバイ77年という趣旨の年末武道館コンサート「 バイ・バイ・カーニバル(Live at 日本武道館 1977/12/27) バイ・バイ・カーニバル<ハイレゾ>」(5位)。注目したいのはやっぱり盲腸の手術を終えたばかりなのに、傷口は縫合せず、ガーゼをつめてラップを巻いて歌い踊ったケイ。当時は「体が弱い」とさんざん言われましたが、アレはミーが屈強すぎるからですよね。収録されたオリジナルはシングルヒット3曲のみと、ファン中心層となった子どもに媚びてない構成もいいですね。
 
 その後も、アメリカ進出をにらんだラスベガス録音の「 アメリカ!アメリカ!アメリカ!(Live at ラスベガス・トロピカーナホテル 1978/4/21 & 22) アメリカ!アメリカ!アメリカ!<ハイレゾ>」(6位)、後楽園球場にスケールアップしたのにライブアルバムとしてはスケールダウンした「 '78 ジャンピング・サマー・カーニバル(Live at 後楽園球場 1978/7/23) '78ジャンピング・サマー・カーニバル<ハイレゾ>」(12位)で人気のピークを過ぎたことを実感します。
 
 そして78年11月にようやく2枚目のスタジオ録音によるオリジナルアルバムが登場。それが「 星から来た二人 星から来た二人<ハイレゾ>」(10位)ですが、アルバム用の新曲ではなく、数多のTVの冠番組の主題歌やCMソングなどで構成された企画盤。多忙を極める中、何とか割いたレコーディングの時間を使って歌い飛ばした即席盤という印象は否めません。続く「 ピンク・レディーの活動大写真(オリジナル・サウンドトラック) ピンク・レディーの活動大写真<ハイレゾ>」(43位)にしても、ヒット曲のワンコーラスとかワンハーフバージョンが入った初の主演映画のサントラでしたから、シングルの勢いがあった時代に、アルバム書き下ろし曲で構成したオリジナルアルバムが聴けなかったのが残念な限りです。
 
 結局は、皮肉なことに下降線をたどった翌79年がアルバムとしては最も充実。アメリカ進出が決まった後で、全米デビュー曲の予定だった「ラブ・カウントダウン」(邦題は「恋は秒読み」と紹介されていました)のPLらしいバージョンや、ミーの超人的な「風のささやき」をはじめアメリカ展開の予告編のような圧巻のスクリーン・メドレーが収録された武道館ライブ盤「 ライブ・イン武道館(Live at 日本武道館 1978/12/25) ライブ・イン武道館<ハイレゾ>」(24位)から始まり、唯一の全曲書き下ろしとなった3枚目のスタジオ録音オリジナルアルバム「 ピンク・レディーの不思議な旅 ピンク・レディーの不思議な旅<ハイレゾ>」(27位)、アメリカ制作による英語盤「 ピンク・レディー・インUSA ピンク・レディー・インUSA<ハイレゾ>」(30位)、全米での冠番組を彷彿とさせるショービズチックな最後のスタジオ録音「 WE ARE SEXY WE ARE SEXY <ハイレゾ>」(52位)と、バラエティーに富んだ名作ぞろいです。
 
 中でも自信を持ってオススメしたいのが、アメリカ制作の英語盤にして世紀の傑作「 ピンク・レディー・インUSA ピンク・レディー・インUSA<ハイレゾ>」です。
 世界的なディスコ・ブームの真っ最中に制作されたこのアルバム。内容はディスコ・クラシックといいますか、懐かしいソウルの響きを堪能できる名作で、プロデュースはレイフ・ギャレットを手がけていたマイク・ロイドが担当。デビューシングルでビルボード37位を記録した全米ヒット「 Kiss In The Dark」をはじめ、レフトバンクのカバー「Walk Away Renee」、セカンドシングルにしてイケメン双子デュオ・アレッシーのカバー「Dancing In The Halls Of Love」、80年の解散発表時に日本語盤のシングルとなった「Strangers When We Kiss」(「うたかた」)、トム・ジョーンズのカバー「Love Me Tonight」、当初の全米デビュー予定曲「 Love Countdown」、映画「HAPPY」の曲をリメイクした「Deeply」などなど、ソウル&ディスコのオンパレードとなっております。
 
 2人の話ではとにかく英語に苦労して、ウイスパー唱法を強いられたエピソードが残っておりますが、日本のピンク・レディーとは異なるイメージが逆にエバーグリーンな魅力を醸しているといえるでしょう。
 未聴の方がいらっしゃいましたら、とにかく騙されたと思ってお聴きください。ワタシも今回ハイレゾで早速堪能したいと思います。
 
 
 
 

(2019.12.13)

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