ついに発売、竹内まりや提供作品集！

　今年はユッコこと岡田有希子さんの三十三回忌ということもあって、久々にユッコに関する動きも目立っていますが、何と言っても話題を振りまいたのが竹内まりやさんによるセルフカバー。
 
　音源は、昨年11月のまりやさんのデビュー記念日にオンエアされたNHK-FM「今日は一日“竹内まりや”三昧」で一部解禁となり、今月発売された「Turntable」（ こちらで紹介）には晴れて「ファースト・デイト」「恋、はじめまして」「憧れ」の3曲が収録されましたが、このアルバムが発売2週目でオリコン1位を獲得したタイミングで、新たなニュースが発表されました！
　そう、竹内まりや提供作品を集めたユッコの新ベスト、「 岡田有希子 Mariya's Songbook 」（Amazon限定デカジャケ付きは「 【Amazon.co.jp限定】岡田有希子 Mariya's Songbook(デカジャケット付き) 」）のリリースです！
 
　単独で作品集を編めるアーティストは、まりや史上最も多くの作品を提供した岡田有希子のみということは周知の事実だと思いますが、今回はその全曲を網羅。
　すなわち「ファースト・デイト」「リトルプリンセス」「‐Dreaming Girl‐ 恋、はじめまして／気まぐれTeenage Love」というデビュー3部作をはじめ「哀しい予感／恋人たちのカレンダー」「二人のブルー・トレイン」というシングル収録曲に、ファーストアルバム「シンデレラ」から「さよなら・夏休み」「憧れ」、サードアルバム「十月の人魚」から「ペナルティ」「ロンサム・シーズン」というアルバム曲を加えた全11曲となっております。
 
　デビュー曲をはじめまりやさん自身がコーラス参加した曲もありますし、ブックレットにはユッコへの思いを綴ったメッセージも掲載されるとのこと。貴重な2ショット写真も含め、まりやファンにとっても2013年の「 Mariya's Songbook 」に続く作品集として、コレクションに加えるべきアイテムといえるんじゃないでしょうか。
 
　デビューから手がけたアーティストということで、まりやさんの思い入れも相当なものがあったのはご存じの通りですけど、それは岡田有希子というシンガーの資質に惚れ込んだことが大きかったように思います。
　ホンネの時代に突入した80年代半ば、アイドルであろうと革新派が主流となった頃。まりやさんお得意のオールデイズといいますか、古き良きティーンエイジポップスを真面目に体現できるアイドルはもはや希有な存在でしたが、そこに登場したユッコのひたむきで可憐なたたずまいやつとめて明るい歌声に、大いに創作意欲をかき立てられたのはしごく当然の流れだったのでしょう。
　内向的で育ちの良さを感じるキャラクターと、アルトの声質は、ユッコの天賦の才能であり、ある意味カーペンターズなどにも通じるエバーグリーンボーカルの証しといえますもんね。
 
　それと、ユッコのファンならば、92年にまりやさんが発表したアルバム「 Quiet Life 」で「ロンサム・シーズン」をセルフカバーし、“This song is dedicated to the memory of Yukiko Okada." と明記してくれたことは絶対に忘れないでしょう。
　社会問題化したせいでユッコのことが封印され、世間にまだタブー感が色濃く残っていた頃にもかかわらず、臆すことなくきっぱり表明してくれたことはユッコファンにとって大きな励みになったと思います。
 
　きっとそれが、発売中止のラストシングルが日の目を見た「メモリアルBOX」につながり、復刻盤や新編集盤が当たり前のように出る今日へとつながっていったといっても過言ではないでしょう。
 
　まりやさんの力を借りて、幅広くユッコの魅力をアピールできるこのベスト。同い年であの時18才だった私たちも、52才となった今。いろんな思いをこめユッコに思いを馳せたいと思います。
　そして、これを機に、岡田有希子というアイドルがあの出来事ではなく、うたで正当に再評価され、竹内まりやの寵愛を受けた伝説のシンガーとして大切に聴き継がれていくことを祈っています。
 
　なお、ユッコの全音源を収録したBOX「贈りものⅡ」がポニーキャニオンショッピングクラブの通販限定で再発売（ こちらで紹介）されているほか、全曲が ハイレゾ配信（96kHz24bit）されていますし、CDパッケージでもEP盤サイズのダブル紙ジャケット仕様のUHQCDが単品発売（ こちらで紹介）されております。 
 
　まりやさんのみならず、尾崎亜美、かしぶち哲郎をはじめとするムーンライダーズ、松任谷正隆、坂本龍一、大貫妙子、EPO、清水信之、財津和夫、小室哲哉、杉真理、堀川まゆみ、山口未央子、そしてサンミュージックの先輩であった松田聖子などなど、豪華な作家陣諸氏が提供するなど、ユッコは本当に楽曲に恵まれたアーティストですので、このアルバムでユッコの魅力に気づいた方が他のアルバムへと進むというアクションにも大いに期待しています。