オリアル紙ジャケ復刻、3年ぶりの続編！

　2016年10月にオーダーメイドファクトリーの候補に挙がり、翌17年5月に発売となった「 ふきのとう プレミアム（オリジナル・アルバム・コレクション 1974～1979＋Guitar Book File） 」（ こちらで紹介）。
　70年代のオリジナルアルバムの復刻CDと、当時のインタビュー記事をまとめた書籍を組み合わせたプレミアムなボックスでしたが、CDの収納ボックスは全作を入れる前提のサイズとデザインだっただけに、後編のリリースを今か今かと待っていたファンは多いことでしょう。
 
　それが、3年の時を経てようやくアップされた「 ふきのとう　オリジナル・アルバム・コレクション 1981～1991 」。
　今回はふきのとうオリジナルアルバム全14枚のうち後編にあたる80年以降の7枚を、前編と同じく紙ジャケット仕様のBlu-specCD2で復刻。
　CBS・ソニー内に自らのレーベル・Silverlandを立ち上げた81年から、解散の前年にあたる91年までに発表したオリジナルアルバム、すなわち「D.S.ダルセーニョ」「Sketch」「011」「北極星」「星空のページェント」「金色の森・銀色の風」「Heartstrings」という7タイトルとなっております。
 
　ふきのとうの場合、オリアルはすべてCDになっておりますし、「星空のページェント」までは90年代に廉価版シリーズ・CD選書で復刻されていますので、レア度は低いように思いますが、オリジナルリリースがCDのみだった「金色の森・銀色の風」「Heartstrings」は選書化されておらず、逆にレアかもしれませんね。
　しかも今回は最新リマスタリングのBlu-spec CD2で統一されておりますので、コアなファンならずとも買い替え、買い増ししたいもの。前編であるブック付きの「 ふきのとう プレミアム（オリジナル・アルバム・コレクション 1974～1979＋Guitar Book File） 」もまだ入手可能ですから、収納ボックス目当てに一気にそろえるという手もアリです。
 
　さて、一般には70年代抒情派フォークの代表格とされるふきのとう。山木康世さんと細坪基佳さんの骨頂は、繊細で詩情あふれるな歌の世界と、丁寧で静かな情熱を秘めたハーモニーであり、この普遍的な部分は活動中に変わることはなかったと思います。
　80年を境にソロとしての活動も始め、音作りに関してもレコーディングもライブのサポートメンバーと共に行うようになるなど、自分たちらしいサウンドを追求していったそうですが、時代的にはフォークは確実にすたれ、ニューミュージックにも洗練度が求められていった頃。世の流れに伴って、変化を遂げていくんですよね。
 
　何せ、今回のボックスのスタートである81年と言えば、同じ北海道出身でフォークギターを抱えていた松山千春や中島みゆきですら、エレキギターを効かせたロック「長い夜」や、洗練されたシティサウンドの「悪女」で大きくイメチェンした年ですからね。
　さらに80年代半ばともなるとさらに進化し、打ち込みが主流となるなど、音作り自体に大きな変革の波が押し寄せ、その影響はふきのとうにまで波及しましたから、今回のボックスでは、彼らとしてはちょっと意外に思えるサウンドの変遷も実感できることでしょう。
 
　なお、今回もボートラはないようなので、オリアル未収録のシングル曲やシングルバージョンは「 GOLDEN☆BEST/ふきのとう SINGLES I 」「 GOLDEN☆BEST/ふきのとう SINGLES II 」などで補完ください。