芸能生活60年で新曲入り、初の自選ベスト！

　子役として出演した3才の初舞台から数えて、2019年で芸能生活60年を迎えたカコちゃんこと麻丘めぐみさん。これを記念し、新曲を含む初の自選ベスト「Premium BEST」のリリースが決定しました！
 
　限定盤の「 Premium BEST【Limited Edition】 ［2CD+DVD+スペシャルフォトブック］＜生産限定盤＞」（Amazonでは特典ビジュアルシート付き「 【Amazon.co.jp限定】Premium BEST [Limited Edition] [2CD + DVD + BOOK] （Amazon.co.jp限定特典 ： ビジュアルシート　付） 」）と通常盤「 Premium BEST＜通常盤＞」（Amazonでは特典デカジャケ付き「 【Amazon.co.jp限定】Premium BEST [通常盤] [2CD] （Amazon.co.jp限定特典 ： デカジャケ　付） 」）の2タイプ同時発売となっております。
 
　50周年の前あたりから歌手活動を再開し、ジャズを中心にレパートリーを広げたり、ライブ活動も行ったり、ある時には客席で見ていたシンシアにマイクを向けたことが話題にのぼったカコちゃんですが、今回の目玉は久しぶりの新曲収録！
　それが松井五郎＋都志見隆コンビによる新曲「フォーエバー・スマイル」で、オリコンNo.1を記録した最大のヒット曲「わたしの彼は左きき」へのオマージュを込めて書き下ろした応援ソングとなっております。
 
　レコーディング作品としては、NHK-BSで司会を務めた番組のテーマ曲として、2007年に発表したYMOのカバー「CUE」（2009年に配信開始）以来12年ぶり。パッケージとしての新曲リリースは、ドラマ挿入歌だった「やさしくしないで」以来、29年ぶりとなりますので、まさにファン待望。これからの歌手活動にも期待が高まりますよね。
 
　思えばビクターのアイドルポップス第1号としてデビューしたカコちゃん。CD時代になって以降も、80年代から数多のベストが出ていますし、BOXもこれまでに２つもリリースされておりますので、新曲以外、音源自体にレア度があるわけではないのですが、今回はご本人の選曲というのがミソとなっております。
  
　CDは2枚組で全40曲。新曲を除く39曲はビクター時代からセレクトされおりまして、まずディスク1は、シングル・ヒッツ・コレクション。72年のデビュー曲の「芽ばえ」からアイドル時代のラストシングルとなった77年の「ねえ」まで、全シングルA面19曲がコンプリートされていますが、今回の冒頭10曲は「わたしの彼は左きき」をオープニングにセールス順に収録した“Megumi Asaoka BEST10”という構成。既発のベスト盤を持っている人も聴かずにはいられない新鮮な流れだと思います。
 
　続くディスク2は、シングルB面やアルバム収録曲で構成したフェイバリット・コレクション。
　オリジナル曲としては、デビュー曲のB面だった「素晴らしき16才」をはじめ「大人になる日」「初めての恋」「いつも一緒に」「星のセレナーデ」といった筒美作品、シングル候補だったという「街角」などの10曲がチョイスされています。
　もう10曲はカバーソングで、「グッド・バイ・マイ・ラブ」「心もよう」「逃避行」「人形の家」「今はもうだれも」という邦楽カバー5曲、「恋はボサノバ」「アイドルを探せ」「夢みるシャンソン人形」「砂に消えた涙」「シェルブールの雨傘」という洋楽カバー５曲という構成になっています。
 
　カコちゃんの歌といえば、無理して高音を出す際に出る泣き節の魅力が語られますが、本来の持ち味は低めのアルトボイス。よってだんだんはすっぱな感じになっていく後期の作品こそが本質ではないかと思いますし、それがより実感できるのがカバーではないかと思います。一連の筒美作品しか知らない人には「麻丘めぐみってこんなに歌が上手かったの」と再確認してもらえる内容といえるでしょう。いずれにしても、従来のベストとは違った楽しみ方ができるはずです。
 
　そして、これら2枚のCDに、DVDとスペシャルフォトブックをプラスしたのがLimited Edition。
　約33分のDVDには、テレビ番組での歌唱映像と新曲「フォーエバー・スマイル」のレコーディング風景を収めたメイキングビデオを収録とのことですが、BOXのDVDとは内容がかぶっていませんので必携です。
 
　歌唱映像の出典はテレビ局ではなく、最近ビクターで重用されている渡辺プロ制作の番組がずらり。最古となる「真理ちゃんとデイト」の「女の子なんだもん」から、「あなたならOK!」の「わたしの彼は左きき」、「ビッグスペシャル」の「アルプスの少女」「ときめき」、「笑って!笑って!!60分」の「水色のページ」「白い微笑」、「ビッグワイド60分」の「恋のあやとり」、「クイズ・ドレミファドン!」の「卒業」「夜霧の出来事」「ねえ」まで。
　デビュー曲と第2弾が入っていない代わりに、BOXには入らなかった中後期のレアなナンバーや、ラストシングルも網羅されています。
 
　また、約100ページのスペシャルフォトブックには、「近代映画」の秘蔵グラビアに加え、最新インタビュー、当時の担当ディレクターとの対談が掲載（ライナー担当などは濱口英樹さん）されるそうですので、やっぱりLimited Editionがマストバイですね。
 
　商品としては、ビクターの既発もの、真子ちゃんの「 MAKO PACK(40th Anniversary Special)~オールタイム・ベストアルバム 」や伊代ちゃんの「 オールウェイズ I・Y・O[30th Anniversary BEST ALBUM] 」といったご本人自選ベストに、伊代ちゃんの「 YAPPARI I・Y・O '16 [DELUXE PACK <35th Anniversary Special>] 」の仕様をミックスした感じでしょうか。いずれにしても、既発のBOXを持っている人も買って損はないアイテムであることに間違いありません。
 
　今年は一連の作品を作詞した千家和也さんがお亡くなりになりましたし、今回の新アイテムは追悼の意味でも意義深いものになりそう。なんてったって、アイドル歌手・麻丘めぐみのキャラクターづけを行ったのは、千家さんですからね。
　「芽ばえ」「悲しみよこんにちは」のか弱く依存的な美少女像から始まり、「女の子なんだもん」から「ときめき」で絶頂を迎えたちょっとエッチな方向性は、ウーマンリブに対抗するかのごとく男性目線が顕著で、まさに殿方の願望が投影されたものでありましたが、それはやっぱり男の子にとっての理想の女の子をカコちゃんが健全な形で体現できたからにほかなりません。しかも「セブンティーン」や「女学生の友」など少女雑誌のモデルとしても活躍していた通り、同性にも好かれるタイプでしたからね（カコちゃんの髪にガムをくっつけていた郷ひろみの親衛隊は除く）。
 
　千家さんのこの路線は後に山口百恵へと引き継がれることになりますが、デビュー曲「としごろ」で成果が出ず、より露骨にならざる得なかった百恵ちゃんではその役目は果たせなかったように思いますので、カコちゃんの清新なアイドル性にはあらためて感服する次第です。
 
　と、話がまた横道にそれましたが、今回のLimited Editionは音源だけでなく、グラビアやテレビ映像というアイドルに欠かせないメディアの集合体でのリリースですから、スタイルとしてはまさに理想的。
　意外に思う人も多そうですが、レコード大賞で最優秀新人賞を受賞し、翌年には人気絶頂の証である大衆賞に輝き、紅白にも初出場と、当時のアイドル歌手の中では前人未踏の総ナメ実績を持ってるカコちゃんですからね。その理由が解明できること請け合いです！