50周年で初のシングル復刻BOX！

　今となっては伝説となった小田和正さんや鈴木康博さんが在籍したオフコースは、今年でちょうどデビュー50周年。
 　昨秋からはプレ50周年として、MQA-CD×UHQCDのハイレゾCDでの アルバム15タイトル再発や、クラシック・アルバム「 オフコース・クラシックス」の発売とそれに連動したオーケストラ・コンサート開催と記念企画が相次ぎきましたが、ついにファン感涙の大型BOXが登場します！
 
　なんとオフコース史上初、1970年にデビューから1989年の解散までの間に出た 全シングル36枚を紙ジャケのマキシシングルで復刻したCD-BOX「 コンプリート・シングル・コレクションCD BOX ［36CD+ブックレット］＜完全生産限定盤＞」！
 
　オフコースの場合、東芝EMI時代には「群衆の中で／陽はまた昇る」から「YES-YES-YES／メインストリートをつっ走れ」までの24枚、ファンハウス時代には「君が、嘘を、ついた／愛よりも」から「夏の別れ／逢いたい」までの12枚をリリースしていますが、デビュー当初はご本人たちには不本意なリリースが続いていたため、全シングルが復刻されるのは今回が初めて。コアなファンのみならず、コレクター諸氏には待望のBOXといえるでしょう。
 
　ヤマハ・ライトミュージック・コンテスト全国グランプリ大会フォーク部門で、赤い鳥に破れたもの第２位に入りデビューすることになったオフコース（当時はジ・オフ・コース）ですから、当初はヤマハ色がたっぷり。
　70年4月発売のデビューシングル「群衆の中で／陽はまた昇る」は、AB面ともにヤマハ作曲コンクール（第1回ポプコン）の入賞曲で、A面はアメリカからの応募作品「DON'T PASS ME BY」に山上路夫さんが日本語詞をつけたもの。つまり、シンガー・ソングライターではなく、ポプコンの譜面歌手的なデビューだったんですよね。 
　以降もその流れで、71年の第２弾「夜明けを告げに」は山川啓介＋加藤和彦コンビ、オフ・コース名義となった72年の第３弾「おさらば」は東海林修さんと、A面曲はヒットをねらうため、自作ではない作品が選ばれ続けたのでした。
 
　フォークブームとはいえ主流は歌謡曲で、職業作家が幅をきかせていた時代、自作でないフォーク系も多い時代でしたけれど、小田さんたちは自作にこだわり、ファーストアルバムの制作と並行して「僕の贈りもの／めぐり逢う今」「もう歌は作れない／はたちの頃」という自作のシングルをリリースしたのですけれど、結果は出せず…。
　結局、74年には松本隆＋筒美京平コンビによる「忘れ雪／水いらずの午後」を発売。当時「精霊流し」がヒットしていたグレープ路線で起死回生をかけたのですが…。
　ちなみに「水いらずの午後」は、同年に松本＋筒美コンビでデビューしたアルフィーが翌年のアルバムでカバー、81年には東芝EMIの後輩に当たるみやじあつしが「せめて今夜だけは」と改題しシングル化しています。
 
　その次の「眠れぬ夜／昨日への手紙」以降は自作となり、「秋の気配／恋人よ そのままで」「愛を止めないで／美しい思い出に」といった名曲スマッシュヒットに加え、79年の初のトップ10ヒットとなった「さよなら／汐風のなかで」からはシングルでも大ヒットを連発し、押しも押されもしないアーティストとなったオフコース。
　であるからして、「忘れ雪」までの黒歴史とされる初期のシングルはスルーされてきましたから、ジャケットも込みで復刻されるのは最初で最後の機会となるかもしれません。
 
　もちろん全曲デジタルリマスタリングで全シングルのジャケット復刻に加え、音楽評論家・小貫信昭さんによる楽曲解説が掲載されたブックレットもつくということです。
　いずれにしても、CDというメディアでこういうスケールの大型BOXは久々のような気がしますし、当然完全生産限定盤ですから、迷っている人は絶対“買い”だと思いますよ！