プレ50周年！シュリークスを愛息と復活！

　近年は太田裕美さんとのジョイントライブ「ラブリー♡コンサート」も活発なイルカさん。カメ吉君こと神部和夫さん率いるシュリークスに女子美の学生・保坂としえとして加入したのが1971年ということですから、今年はプレ50周年を迎えます。
 
　原点はやはりシュリークスということで、「シュリークス復活！with冬馬」をテーマに、天国のカメ吉君の代わりに愛息の冬馬君と復活させることが早くから発表されておりましたが、ついにニューアルバム「 原石時代 」のリリースが決定しました！
 
　イルカさんとカメ吉君が音楽という形で届けてくれた愛と夢を、ムシャムシャいただいて大きくなってこられた世代としては、イルカさんの産休も冬馬君の出産も当然知っているのですが、「冬の馬」の入ったLPをリアルタイムで聴いていたことを思うと、あの冬馬君が40歳を超えたことにあらためてビックリしております。
 
　さて、今回のアルバムは全18曲という大ボリューム。新生・シュリークスによる新曲や再レコーディングした新音源と、当時のオリジナル音源が混載された、まさに父母息子の共演盤。よって純粋な復刻盤ではありませんが、大いにプッシュさせていただきましょう。
 
　新曲はイルカ＋神部冬馬初合作の「原石」で、再レコーディング音源は71年のファーストアルバム「ふるさと」に入っていた「緑の恋」「風と共に」に加え、シュリークス時代の代表曲であり、ソロになってからもライブの定番曲だった「クジラのスーさん空をゆく」「とんがらし」「川崎のキツネさん」「杉の木山」といった74年セカンドのアルバム「イルカのうた」収録曲計6曲をセルフカバー。
 
　一方、オリジナル音源は、山本直純作の「きみまつと」（アルバム「ふるさと」にも収録）と、アルバム初収録となる異色作「私は好奇心の強い女」というシングルA面2曲と、アルバム「イルカのうた」からの7曲に加え、82年の「吟遊詩人マイスタージンガー」と96年作品の新バージョン「君に贈るフォークソング2020」という、イルカがカメ吉君に贈ったナンバーも収録されています。
　原題が「みんなのおかあさんになりたい」で、現在もライブのラストを飾る「いつか冷たい雨が」のオリジナルは、やっぱり心を打ちますね。
 
　シュリークスといえば、当時のフォークソングの主流の一つであった伝承歌にも定評がありますが、骨頂はやはりカメ吉君が書いたオリジナル曲。
　ソロとなってからのイルカのテーマといいますか、優しさをクローズアップした性善説のようでいて大自然からの厳しい視点が貫かれた作品群はもとより、ユーモアたっぷりのコミカルソングまで、シューリクスの原点を紐解くと、イルカというアーティストの血肉を形作り、成功へと導いたのは神部和夫その人だったことが再確認できることでしょう。
 
　このアルバムのリリースとともに、特別コンサート「原石時代～シュリークス復活！～」も全国各地で行われるそうですが、無事に開催されるかどうかが心配なところ。
　でも、新型コロナウイルスですら「地球という大きな生き物に住む細胞同士」と公言してはばからないイルカさん。みんな地球のまあるいいのちとして排除せず、共存していくという、昔とちっとも変わらない考えにも感銘を受けます。
　困難な時もそれぞれにできることを、諦めないで、少しずつでもいいから、やっていこう。できないかもしれないけれど、努力していこう。シュリークスのうたを口ずさむと、そんな風に思えてくるから不思議ですよね。
 
　ともあれ、ブックレットのライナーノーツも時間をかけて書き上げたということですし、購入特典も企画されているそうなので、ここは早速予約してプレ50周年のスタートをお祝いしたいと思います。
 
 　なお、イルカさんの旧譜は、2013年にスタートしたアーカイブ・シリーズ（ こちらなどで紹介）で続々復刻されております。ボートラや、秘話満載のライナー付きですので、Q盤などで持っているという人も要チェックですぞ！