初CD化多数！ 50周年記念のオールタイムBOX！

　白鳥（山室）英美子さんと芥川澄夫さんといえば、ご存じトワ・エ・モワ。「或る日突然」「空よ」「誰もいない海」「虹と雪のバラード」などのヒットで知られ、解散、再結成を経て今も現役で活躍する男女デュオです。
　今年でデビュー50周年ということで、今月には埼玉と神奈川で記念コンサートも開かれますが、このタイミングで、すべてのキャリアをまとめた6枚組CD-BOX「 トワ・エ・モワ フォーク＆ポップ 」の発売が決定しました！
 
　山本潤子「 Junko Yamamoto ALL TIME SONGS 」、本田路津子「 Rutsuko Honda FOLK SONGS 1970-1975 」、天地真理「 私は歌手 」と続いてきた「フォーエバー・ボーカル」シリーズの第4弾ということですが、トワ・エ・モワのBOXとしては2004年に発売された「noble songs」に次ぐもの。
 
　ただ、あちらが1969～73年の第1期活動音源（東芝、アポロン）だけに限られていたのに対し、今回は97年以降の第2期活動音源（ファンハウス、ユニバーサルミュージック、キングレコードほか）も網羅。
　69年のデビュー曲「或る日突然」から2017年の最新曲「イランカラプテ～君に逢えてよかった～」までの全シングルA面23曲に加え、ライブ盤を含む全アルバムからもまんべんなくチョイスされるなど、オリジナル曲はもちろんカバー曲も満載の全133曲を収録。レーベルの枠を超えた初めてのオールタイムBOXとなっております。
 
　ディスク6枚の内訳は、まず、第1期のシングル曲を中心とした“Singles+α”。洋邦のフォークからポップス、スタンダード、歌謡曲、民謡に至るまで、ジャンルや曲調に関係なくカバーした“Folk & Pop”が2枚。第1期のアルバムやシングルB面からオリジナル曲をセレクトした“Original”。
　そして第2期のシングルやアルバムから音源をほぼ時系列で並べた“Reunion”2枚という構成になっていますが、特筆すべきはFolk & Popの2枚。渡辺プロ所属（第1期）だったトワ・エ・モワならでは、アポロン音工のテープのみに収録されていたレアなカバー曲も多数選曲されていて、初CD化音源もテンコ盛りなのです。
 
　一般的にはフォークデュオというイメージでしょうし、実際現在のコンサートに行かれている皆さんも団塊世代を中心にした往年のファンの方々だと思いますが、単なるフォークデュオと侮ることなかれ。
　元々はソロビューを予定していた実力派ボーカリスト同士が事務所の意向でくっつけられたという背景でも分かるように、歌の力量は折り紙付き。
 
　また、一回り以上下のアラフィフ世代にとってはフォークではなく、ソフトロックブームの再評価による洗練されたイメージが強いのではないかと思います。
　ピチカート・ファイヴがリコメンドしていたように、村井邦彦さん、東海林修さんといったメロディー＆サウンドメーカーが脇を固めていたおかげで、A&Mに通じるお洒落な和ボッサをやっていたデュオというような…。グルーヴ感たっぷり英語カバーなんて、2000年前後のクラブDJがこぞってプレイしていましたもんね。
　あと、最大のヒット「或る日突然」にしても、オリジナルではなく渡辺プロの吉田栄作が主演したドラマの主題歌となってスマッシュヒットしたリミックスバージョンがなじみ深い、という人も多いのではないでしょうか。
 
　というトワ・エ・モワの幅の広さがあらためて実感できる今回のBOX。ただ、ご本人たちの意向もあって日本語で歌ったナンバーに限られていることがちょっと残念ですが、日本語の美しさを大事にしている証でしょうし、十二分に堪能できること請け合い。近年の円熟の歌声もとても素晴らしいので、第1期しか聴いてこなかった方にこそオススメしたいと思っています。
 
　なお、昔からトアエモアやらトワエモアやら誤表記が多かったトワ・エ・モワですが、現在では「・」なしのトワエモワが正式名称なんだとか。
　今回は50年の軌跡をまとめた初のオールタイムBOXということで、長年親しまれてきた“トワ・エ・モワ”名義となっているそうです。