シティポップ名盤が45回転の高音質重量盤で新登場！

　今や空前の70～80年代ジャパニーズ・シティポップスブーム。アナログ回帰も背景に、世界的な「CITY POP」の流行が日本に凱旋する形で、リアルタイムを知らない層を中心に盛り上がり、ここ数年でシティポップスと認定されている中古レコードはこぞって高騰。人気タイトルのアナログ再発も相次いでおりますが、コロナ禍のおうち志向でその人気はますます高まっている模様。
 
　かのレコード・コレクターズ誌でも 先月号（2020年6月号）と 今月号（2020年7月号）で「シティ・ポップの名曲ベスト100」特集が掲載されておりますが、この8月8日には国内随一のアナログレコードプレスメーカー・東洋化成の主催でアナログイベント「CITY POP on VINYL 2020」の開催が決定。 
 
　定番アルバムから現在の若手アーティストの作品まで、新たに復刻されるモノから、このタイミングで再発されるモノまで、新旧数多のアナログ盤がリアルショップやオンラインショップなどで一斉にリリースされることになりました。参加作品第1弾も一斉発表となっていますが、その中で注目したいのが、今日のブームの火付け役ともいえる「 SUNSHOWER HQ SOUND EDITION＜数量限定盤＞」。そう、シュガーベイブを経てソロになった大貫妙子さんが77年に発表したセカンドアルバムです。
 
　2017年夏にオンエアされたテレビ東京「YOUは何しに日本へ？」でこのアルバムを買うために来日したアメリカ人YOUが話題となり、脚光を浴びたことでもおなじみですが、それまでにもCD再発を繰り返していましたし、カセット版やアナログ盤が再発されたり、「都会／くすりをたくさん」がアナログシングルとしてリカットされたり、ある部分での再評価はかなり高かったんですよね。
　それがアメリカ人YOUのおかげで一気にシティポップのアイコンアルバムとなり、アナログ再発盤が完売したり、アンコールプレスされたりとさらなる再評価が進んだというワケなのですが、今回は、45回転の2枚組LP、しかも高音質重量盤（180g）となって新登場というからオドロキです。
 
　人気曲「都会」のグルーブ感に代表されるように、坂本龍一のアレンジ、スタッフのクリス・パーカーが参加と、フュージョン、クロスオーバーといったサウンド志向のアルバムという点がシティポップとしてウケているようですが、個人的に注目したいのはター坊の詞世界。
　中でもラストを飾る異色作「振子の山羊」は、終末思想というか、何やら予言めいた歌詞が現在の状況教にビックリするほどマッチ。 こちらでも書きましたが、不吉な不協和音にも聞こえてしまうメロディーとサウンドが黙示録のように思えてならないのですね。
　ター坊自身は過去に一切執着しない方ですが、そのへん、どうお思いになるか伺ってみたいものです。
 
　という意味でも、今聴くとタイムリーさを感じるアルバムですが、当時のター坊はこのアルバムで売れないレッテルを確立させてしまうワケで、ホント不思議なものです。事実、次作はクラウンからは出せず、RCAに移籍して売れるアルバムというコンセプトで制作することになるのですから。
 
　ちなみに、8月のイベントにはその次作「MIGNONNE」（ こちらで紹介）をはじめ、「ROMANTIQUE」「AVENTURE」（ こちらで紹介）、「CLICHE」「SIGNIFIE」「カイエ」（ こちらで紹介）、「copine.」「Comin' Soon」（ こちらで紹介）、「A Slice of Life」「Purissima」（ こちらで紹介）もエントリーされています。
 
　今回は、盤は高音質重量盤で、巨匠・小鐵徹さんによるリマスタリング＆カッティング、元マネージャーでありパイド・パイパー・ハウスの長門芳郎さんによる書下ろしライナーノーツも収録。仕様はオリジナルアートワークをもとにリデザインしたダブルジャケットで、シリアルナンバー入りの完全限定盤ということですから、コレクターズアイテムとしても価値大。これまでの再発盤を持っている人も要チェックですね。
 
　なお、このリリースを記念して、オフィシャルTシャツ（ 「SUNSHOWER」 T-shirts ）も同時発売されるとか！　前ポケットにタイトルロゴを、背中には「SUNSHOWER」のジャケットをプリントしたデザインで、CITY POPファンならずとも、アフターコロナのライブやイベントに着用したいアイテムと言えそうです。