ソニー発の40周年記念盤はアナログ！

　昨夏からプレ40周年として、コンサートツアーからファンイベント、ディナーショー、そして紅白に至るまで、アニバーサリーイヤーに照準を合わせた展開が目立っていた松田聖子さん。
　現在所属するユニバーサルでは、 スペシャルサイトを開設。“たくさんの感謝の気持ちを胸に、あなたと一緒に40周年に向かって～”というテーマで、ファンからの応援メッセージや好きな楽曲などを募集中です。
 
　いよいよデビュー記念日、すなわち40周年記念日の4月1日まで、残り2カ月を切りましたが、さすがは“抱きしめたいッ…！ ミス・ソニー”。記念盤リリースのニュースは、まず古巣のソニーから飛び込んできました！
 
　それが、聖子のベストとしてはすっかりおなじみ「Bible」シリーズの40周年記念版。なんと、アナログレコード盤の2枚組となる「 Seiko Matsuda 40th Anniversary Bible～blooming pink～ 」です！　
 
　聖子にとって「Bible」といえば、1991年から続くヒストリーベストシリーズ。2枚組自選集を振り出しに、新曲入りベストやアルバムセレクション、さらには映像版や最初の移籍のタイミングで出たシングルコンプリートBOX、2度目の移籍後に出たベストCD-BOXやDVDなど、さまざまなアイテムが出ております。
　そのほかにも、ベストCDは手を変え品を変え、昔からいろんなアイテムが出尽くしてい感のある聖子ですから、今回がアナログ盤となるのは、ブームということもあるでしょうが、当然の流れといえるでしょう。
 
　デビュー曲「裸足の季節」から始まる全20曲は80年代が大半で、90年代のナンバーは93年の「大切なあなた」のみ。
　続編に取っておこうとしたのかシングルA面は6曲と少なめで、マクドナルドのCMでオンエア中の「SWEET MEMORIES」も入っていませんが、「Romance」「マドラス・チェックの恋人」「スピード・ボート」といったタッチ・ミーなB面曲や、「星空のドライブ」「時間旅行」「セイシェルの夕陽」というコンサートでの定番曲など知名度の高いナンバーは多数。
　これに初の松本隆作品「白い貝のブローチ」というモニュメント的なナンバーや、ベスト盤収録のレアな「HAPPY SUNDAY」「WITH YOU」、初の全編セルフ作詞アルバム「Precious Moment」から「Forever Love」などなど、コアなファン向けの楽曲もチョイスされております。
 
　いろんな面でバランスを取っている印象もありますが、初のアナログ化が実現したCD時代のナンバーは2曲だけと、選曲は40年のうちの最初の10年に集中。やはり聖子の黄金時代である80年代がメインとなっています。
 
　とはいえ、CDだって、90年以降に始めて特化したのが昨夏の「SEIKO STORY～ 90s-00s HITS COLLECTION ～」（ こちらで紹介）でしたからね。セールスを考えると無理もないことですよね。
　そういう意味では、表ジャケットが93年のミセス聖子、裏が聖子ちゃんカットの81年というのはミステイクかも。今回は90年代は1曲しか入っていないので、購入するファンからすれば逆だった方が良かったように思います。
 
　あと、2枚組なのでWジャケットは当然ですが、今回特筆すべきは聖子のために新たに調合したというブルーミングピンクのカラーレコード仕様。聖子のカラーレコードは87年のホワイトシングル「Pearl-White Eve」以来でしょうか。
　80年代はアイドルのカラーレコード花盛りの時代でしたが、ソニーの場合は音質的な問題のためか、他社に比べカラーレコード率は極端に低かったんですよね。トップの聖子ですら、特典シングルやサントラ程度だったように思いますから、今回の仕様は全盛期のリベンジを果たすような意味合いもあったりして。
 
　音質については2020年最新デジタルリマスタリング音源を、最新のカッティング技術でアナログ化したということですので、オリジナルのアナログとはまた違った聴こえそうです。
 
　いずれにしても聖子ファンにとっては記念アイテムとして位置づける向きが多いように思いますが、飽和状態にあるCDベストより喜ばれそう。
　しかも、今や若い世代に受けて息を吹き返しているアナログ盤につき、これで聖子のナンバーを初めて聴く若人もいるかもしれませんし、聖子にとってはそれこそが40周年のイチバンのお祝いになるんじゃないかと思ったりしています。