必聴必見！初披露「守ってあげたい」も収録！

　昨年末のFNS歌謡祭では「時代」と「メイン・テーマ」を披露。昔からの歌声の清新さに、近年磨きをかけたまろやかな母性が加わり、圧倒的な存在感を見せつけた薬師丸ひろ子さん。
　リアルタイムで視聴していた人々のSNSでは、前評判を呼んでいた中山ミポリンの歌手復活を完全に食ってしまったという声が相次ぎ、歌手としての薬師丸さんの再評価がまた高まったように思います。
 
　思えば、2013年の女優デビュー35周年記念をきっかけに再開された、薬師丸ひろ子さんの歌手活動。偶然にも歌手役で出演したNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の爆発的人気と重なり、23年ぶりの単独コンサートのチケットはプラチナ化したものでした。
 
　以来、コンサートは定期的に開催され、レコーディングも再開。愛唱歌のカバーアルバム「 時の扉 」や映画主題歌のカバーアルバム「 Cinema Songs 」、世界遺産の奈良・春日大社でのライブ盤「 Best Songs 1981-2017〜Live in 春日大社〜 」と新作をコンスタントにリリースし、一昨年にはついに20年ぶりとなるオリジナルアルバム「 エトワール 」も発表。歌の方もライフワークとして取り組んでいくことが公言され、ホールやライブハウスでのコンサートがコンスタントに開かれております。
 
　東京と大阪の2カ所公演が定番となっていましたが、昨秋の「薬師丸ひろ子コンサート2019」は仙台と佐賀でも開催され、チケットは即日完売。東京では追加公演も行われるほど盛況で、その追加公演の模様が、CD（「 薬師丸ひろ子 2019コンサート[2CD] 」）と、映像ソフト（ブルーレイは「 薬師丸ひろ子 2019コンサート[Blu-ray] 」、DVDは「 薬師丸ひろ子 2019コンサート[DVD] 」）として発売されることになりました！
　復刻盤ではありませんが、このコンサートはいつにも増して内容充実。選曲にも素晴らしいサプライズがありましたから、ここは一つ大きくプッシュさせていただきたいと思います。
 
　基本、昔の曲はファンの心の中に刻まれた思い出を大切に、キーも歌い方も、原曲に忠実に歌うことを掟としている薬師丸さん。その責任感には、初期のシングル曲が角川をはじめとする主演映画の主題歌だったことも大いに関係しているようですが、その真摯な姿勢は生の歌声を聴くと心から実感できるように思います。
 
　昨年のコンサートでも「 セーラー服と機関銃 」の星泉をはじめ、「 探偵物語 」の新井直美、「 メイン・テーマ 」の小笠原しぶき、「 Wの悲劇 」の三田静香、「 野蛮人のように 」の有栖川珠子、「 紳士同盟 」の樹里野悦子、「 ダウンタウン・ヒーローズ 」の中原房子と、主演映画で演じたそれぞれの役柄が名シーンとともに鮮やかに浮かび上がってきましたからね。
　そんなオリジナルの輝きに、近年加わってきたのが母性とでもいうべき慈愛。かつて薬師丸さんを「霊性が高い」と評したのはユーミンですが、まさにステージに立つ彼女は神々しいのひとこと。
　生では毎度感涙しておりますが、映像であったとしても、女神のごときお姿が映し出されていることとと思います。ホント、中島みゆきサンのように「薬師丸様」と呼ぶべき存在ですよね。
 
　お父様からは毎度同じようなセットリストだと苦言を呈されたこともあったそうですが、一連の定番曲の中に隠れ名曲を入れてくるのが薬師丸流。
　今回でいえば「 野性の証明 」の長井頼子としての「戦士の休息」、「 ナースコール の五十嵐梢としての「コール」といった主演女優による主題歌カバーも魅惑的ですが、このところ松本隆さん渾身の名盤「花図鑑」（ こちらで紹介）から1曲ずつ披露するのが定石のようになっておりまして、今回選ばれたのは井上陽水作曲の「ローズ・ティーはいかが？」。当時よりも詩の行間を読むようなスリリングな表現に圧倒されたことでした。
 
　それだけでも十分満足だったのですが、今回、会場が沸きまくったのがアンコール。
　そう、コンサートでは初の歌唱となった「潮騒のメモリー」、そして本邦初披露の「守ってあげたい」。「 あまちゃん 」の鈴鹿ひろ美、「 ねらわれた学園 」の三田村由香のイメージそのままの歌唱となった2曲です。
 
　「潮騒のメモリー」に関しては、紅白歌合戦でも歌われましたし、今回のコンサートの直前には三陸鉄道の島越駅で開かれたミニライブでの映像がテレビ放映されるなど、満を持してのセトリ入りは、多くのファンが予測していたと思いますが、「守ってあげたい」に関してはまったくのサプライズ。
　ユーミンのカバーという扱いですが、元々は薬師丸さんが歌うことを想定していて、ご自身も大好きな歌だったそうですが、82年の初LP「青春のメモワール」で一節軽く歌われただけで終わっていましたからね。
　振り返ると、荒井由実の実績を超えられずにくすぶっていた松任谷由実が第2次ユーミンブームで今日につながる地位を築いたのは、角川のメディアミックス商法というか、薬師丸さんのおかげだったといっても過言ではないでしょうし、そういう意味からも今回の初披露は両者のファンには感慨深い出来事ですよね。
 
　ともあれ、この2曲が晴れて音盤化されることだけでも大きな価値があると思いますので、コンサートに行かれた方も、そうでない方も、ぜひご入手を。
　なお、今回はショップごとにオリジナル特典が用意されているそうで、AmazonではCD「 【Amazon.co.jp限定】薬師丸ひろ子 2019コンサート [2CD] (Amazon.co.jp限定特典 : デカジャケ 付) 」がデカジャケ、Blu-ray「 【Amazon.co.jp限定】薬師丸ひろ子 2019コンサート [Blu-ray] (Amazon.co.jp限定特典 : ビジュアルシート 付) 」とDVD「 【Amazon.co.jp限定】薬師丸ひろ子 2019コンサート [DVD] (Amazon.co.jp限定特典 : ビジュアルシート 付) 」がビジュアルシート。 楽天ブックスではクリアファイル、 タワーレコードや hmv などではポストカードが先着でもらえるそうです。