再ブレイク中のミヨちゃん、オリアル2作がOMFに！

　フレッシュで可愛くて、ちょっぴりいたずらなソニー・エンジェルといえば…そう、浅田美代子さん。“第二の天地真理”としてデビューしてから46年。あどけなかった“ひーふー美代ちゃん”も、今や名女優の一人です。
 
　特に今年は、デビュー作「時間ですよ」第3シリーズ以来、家族同然のお付き合いをしてきた樹木希林（悠木千帆）さんがミヨちゃんに遺した映画「エリカ38」で再ブレイク。まるで希林さんからの遺産のように、パブリシティは凄まじく、アイドル時代以上のメディア露出が続きました。
　その際にはデビュー曲「赤い風船」をはじめ歌手時代の映像も必ず流れましたし、近代映画の増刊特集ムック（写真集）も電子書籍「 近代映画じゃんぼ　浅田美代子第2集 」として復刻。歌手・浅田美代子の再評価への絶好のタイミングが訪れていたように思います。
 
　ということで、ちょっと時期はズレてしまいましたけど、このたび、ソニーミュージックのオーダーメイドファクトリーが動いてくださいました！
 
　OMFとしては「浅田美代子／オリジナル・ファースト・アルバム わたしの宵待草」（ こちらで紹介）に続く第2弾となりますが、なんと今回は2枚組の「 浅田美代子　美代子の新しい世界／この胸にこの髪に 」！　実現すれば初CD化となる2タイトルの1パッケージです。
 
　簡単に紹介しておきますと、「美代子の新しい世界　浅田美代子オリジナル・セカンド・アルバム」は1974年9月リリース。
　“話題のシンガー＆ソングライター達が美代子にオリジナル曲をプレゼントしました。美代子は新しい世界に挑戦します!!”という帯コピーの通り、よしだたくろう（吉田拓郎）を筆頭に、かまやつひろし、ケメこと佐藤公彦、チェリッシュ（松崎好孝・悦子）、加藤和彦、はしだのりひこ、ガロのトミー（日高富明）らが楽曲を提供。
　ミヨちゃん自身も4曲の作詩を手がけ、乙女チックではありますが、フォークの私小説アルバムさながらの仕上がりとなっています。レコーディング風景を写したジャケットも、アイドルではなくフォークシンガーのイメージですよね。
 
　とはいえ「寺内貫太郎一家」劇中歌のシングル「虹の架け橋」も入っていますし、サウンドもフォークのみならず、乙女チックなアイドルポップスあり、ロシア民謡風あり、バラエティー豊か。オリコンでは最高24位まで上昇しております。
　今回はボーナストラックとして、拓郎と出会いの曲「じゃあまたね」、次作の「想い出のカフェテラス」というアルバム未収録のシングル曲と、カラオケも追加されています。
 
　もう1枚は、75年12月リリース、スタジオ録音としては最後となった「この胸にこの髪に」。
　アルバムの詳細の前に、当時の歌手・浅田美代子にまつわる流れを述べておくべきでしょう。
 
　この年の6月、歌手休業を宣言したミヨちゃん。その背景には芸映プロの後輩としてデビューした岩崎宏美の脅威があったような気もしていますが、当初は少なくとも１年と見られていたんですよね。
　それがオトナの事情でしょうが、８月には撤回し歌手復活を表明。10月には大人っぽく情念豊かなシングル「この胸にこの髪に」リリース。復帰コンサートも行われ、そのタイミングでリリースされたのがこのアルバムというワケなのです。
 
　といっても新曲は「初めての悲しみ」「きれいな涙」「銀河のささやき」の3曲だけ。
　ほかは直近2枚のシングル「この胸にこの髪に／ヒロシの想い出」と「少女恋唄／紅い花」に加え、「ひとりぼっちの誕生日」「恋のまえぶれ」「きょうは留守番」というオリジナルアルバム未収録のシングルB面、アルバム「しあわせの一番星／恋は真珠いろ」から「花言葉」「恋はうそつき」の2曲をチョイスという、ハーフベストのような構成になっているのです。
　新曲にしても、ムッシュ作曲の「初めての悲しみ」は「想い出のカフェテラス」に取って代わられたシングル候補だったと思いますので、帯コピーの“よみがえった浅田美代子の新しい魅力！「この胸にこの髪に」を中心とした美代子の世界”というのは、正直ちょっと無理があるように思います。ジャケ写はとってもいいのですけど。
 
　歌手・浅田美代子の最後としてはちょっと悔恨が残りますが、当初は劇中歌として作られたであろう「きょうは留守番」は、ミヨちゃんの最高傑作だと思っておりますので、これ1曲だけでも聴く価値があると断言しておきましょう。
 
　というOMFでは3年ぶりとなる浅田美代子のアルバム。
　ミヨちゃんの場合、歌がヘタというレッテルのせいか、OMFでは惨敗続きという前歴があったり、既発のベスト盤の実績がまったくもって振るっていなかったり、執拗にプッシュしたBOX企画は実現できておりませんが、単品復刻でコンプリートする第一歩だと思いますので、全国津津浦浦の美代子ファンの皆さん、ぜひともよろしくお願いします！