徳間ジャパン55周年で2000年のベストが復刻！

　1965年に太平音響として創業、ミノルフォン、徳間音工、そしてジャパンレコードと合併して徳間ジャパンへ。現在は徳間ジャパンコミュニケーションズとなったレコード会社は、今年創立55周年を迎えました。
 
　それを記念し、9月から「TOKUMA 55th Anniversary Masterpiece Series」と題し、55年の社史を彩った選りすぐりの名盤を高音質CD・UHQCDで復刻する企画がスタートしておりますが、第3弾となる11月のラインアップに、伊藤つかささんのベストアルバム「 Best Collection」（Amazon.co.jpではメガジャケ付き「 【Amazon.co.jp限定】Best Collection (特典:メガジャケ付) 」）が加わりました！
　といっても、在籍していた80年代のオリジナルアルバムではなく、“ジャパンレコード・アイドルコレクション”シリーズとして2000年に出たベストアルバムの復刻となる模様です。
 
　つかさちゃんといえば、子役出身で、13才で出演したTBSの「3年B組金八先生」第2シリーズでブレイク。八重歯がのぞくあどけない笑顔で、セーラー服の似合う妹キャラといいますか、さすが「アニメージュ」の徳間系といいますか、のちに言うロリータアイドルや萌え系の元祖的な人気を博したのですね。
　歌手としては金八先生の終了から半年後、キャラクターイメージにぴったり合った「少女人形」でデビュー。いきなりオリコン5位をマークし、松田聖子や河合奈保子と並ぶトップアイドルの仲間入りを果たしました。
 
　声量もなく声域も狭くという感じで決して上手いアイドルではありませんでしたが、さすが矢野顕子の育ての親としても知られる三浦光紀さんがディレクションしていたジャパンレコード。
　シングルのみならずアルバム制作も重視し、フォーク・ニューミュージックのシンガー･ソングライターを中心に、テクノ、ニューウェイブまで、幅広いアーティストから多彩な楽曲提供を受けています。
 
　であるからして、このベストに収録されているシングル曲だけを見ても、南こうせつ作曲の「少女人形」、安井かずみ＋加藤和彦夫妻の「夕暮れ物語／リボン飾りのX'マス・プレゼント」、Ａ面が原由子でB面が大貫妙子の「夢見るSEASON／春風にのせて」、原点回帰したこうせつ作曲の「もう一度逢えますか／私はブルーバード」、庄野真代＋小泉まさみ夫妻の「横浜メルヘン」と豪華。
　アルバムからのチョイスでは、竹内まりやの「パジャマ・パーティー」、坂本龍一の「恋はルンルン」、堀内孝雄の「二度目のファースト・ラブ」、岸田智史の「通学電車」、大貫妙子の「ボーイフレンド」、原由子の「GOOD NIGHT」など、これまた豪華な顔ぶれの個性的なナンバーがひしめきあっています。
 
　この路線はレーベルの後輩・安田成美にも引き継がれることになりますが、今聴くと、意外や意外。つかさちゃんの拙いように見えて確固とした個性を確立しているボーカルは、強烈なアーティストたちのパワーに負けていないことを実感。だからこそ80年代に7枚ものオリジナルアルバムを残せたのでしょうね。
　ちなみに、ファーストアルバム「つかさ」はオリコン初登場１位を記録していますし、クオリティの高さを含め伊藤つかさはアルバムアーティストといっても過言ではないでしょう。
 
　なお、このベストには、84年にビクターに移籍して以降の「涙のクレッシェンド」「悲しみをうけとめて」「謎のアンドロメダ」「ハートの季節」という、12インチを含む4枚のシングル曲も網羅。果たして他社音源が4曲も入っているベストアルバムを、徳間ジャパンの社史を代表する名盤と言い切ってしまっていいのか分かりませんが、さすがは“ジャパン天使”。ファンにとってはありがたい補完に違いありません。
　オリジナル盤ではシークレットトラックとして入っていた「つかさちゃんのお話」3パターン（シングル「夕暮れ物語」初回プレス盤のおまけ）もちゃんと収録されるそうです。
 
　さて、つかさちゃんの80年代のオリアルは、90年代に「つかさ」「さよなら こんにちは」がCD選書化された後、2007年にVIVIDのクローン・ユア・メモリーズで「 クレッシェンド」が復刻。
　2013年には「 つかさ」「 さよなら こんにちは」「 ふしぎの国のつかさ」「 タッチ」「 オススメ!」「 夢の振子」というオリアルに加え、カセットのみ発売されていたライブアルバム2枚をまとめた「 ト・キ・メ・キ ライブ」が、“ラグジュアリー歌謡 X Tower to the People”としてタワレコとディスクユニオン限定で復刻されています。
　ビクターでも豪華な作家陣による意欲作や、異色な実験作が繰り広げられていますので、こＲを機に深掘りしていくのもオススメ。今もほぼ全音源が入手可能というのも、アルバムアーティストの証左でしょうか。
 
　ちなみにMEG-CDでは7インチで出た全シングルがラインアップされていましたが、リニューアル後の「LABEL ON DEMAND」では今のところビクターの2枚「 涙のクレッシェンド」「 悲しみをうけとめて」のみとなっています。