50周年突入で全アルバム復刻決定、第1弾！

　西城秀樹さんがこの世を去って早くも3年近くの歳月が流れました。といっても我らがヒデキはただ天国に行っただけなので、この世で永遠の存在であることに何ら変わりなく、この間にもたくさんの音源や映像集がリリースされています。
　例えば、1周忌の決定版BOX「HIDEKI UNFORGETTABLE-HIDEKI SAIJO ALL TIME SINGLES SINCE1972」（ こちらで紹介）をはじめ、1985年の武道館ライブのブルーレイ化「 '85 HIDEKI SPECIAL IN BUDOHKAN -For 50 Songs-」や6枚組DVD-BOX「 西城秀樹 IN 夜のヒットスタジオ」（ こちらで紹介）などなど、死してなお多くのファンを慰め、励ますという使命を全うしている事実を目の当たりにして、また胸を熱くしたり、ハラハラと落涙したりしておりますが、今年のバースデイには、全アルバム復刻決定という大ニュースが届けられました！
 
　オリジナルアルバムはもちろんのこと、ライブ盤やカバーアルバムも含め、総数約50タイトル以上のアルバムを2年にわたり順次発売していくとのこと！
　その第1弾として、ファーストアルバムから順に「 ワイルドな17才 」「 青春に賭けよう 」「 エキサイティング秀樹 」「 傷だらけのローラ 」「 恋の暴走/この愛のときめき～エキサイティング秀樹Vol.5 」という5タイトルが6月にリリースされるというのです。
 
　ヒデキの70年代のオリアルは、94年のオリジナルアルバムBOX「エキサイティング・エイジ'72～'79」で全て復刻済みですし、99年には「青春に賭けよう」を除く4枚が単品再発されていますが、今回はオリジナルに忠実な紙ジャケット仕様。
　BOXも紙ジャケでしたが帯はついていませんでしたし、歌詞はブックレットにまとめられていましたので、コレクションとして買い増し必至です。また、グラミー賞エンジニアのGOH HOTODAさんによる最新デジタルマスタリングのBlu-Spec CD2というのも大きなポイント。90年代のCDとはまったく違ったヒデキの歌声が聴けるのではないかと思います。
 
　ヒデキの場合、初期はライブ盤やカバー盤が毎年のように出ていましたので、オリアルは以外と少なく年に1枚程度のリリース。であるからして、今回は72年から75年までの作品となっていますが、まず「 ワイルドな17才 」は、デビューから8カ月後、72年11月に出たファーストアルバム。
　筒美京平作によるデビュー曲「恋する季節」をはじめ、ヒデキの初期路線を形作ったたかたかし＋鈴木邦彦コンビによる「恋の約束」「チャンスは一度」という3枚のシングルを収録していますが、特筆すべきは70年代アイドルのアルバムらしいおしゃべり。「こんにちは、西城秀樹です」から始まる語りは原稿を読むぎこちなさがありますし、滑舌も怪しかったりしますが、初々しさの中に真っ直ぐなヒデキの人となりが表れていて魅力的。
　また、初のワンマンショーからのライブ音源コーナーも楽しく、ポール・サイモンなどの洋楽カバーや自作曲など、黄色い声援に囲まれた人気ぶりが実感できます。
 
　続く「 青春に賭けよう 」は、ファン人気の高い同名の第4弾シングルをフィーチャーしたセカンド。レコード会社の先輩にあたる森田健作のイメージもある青春賛歌ですが、ヒデキの場合はお洒落でカッコいいんですよね。不良っぽさもあるのに、とても正義で、がむしゃらな中に大きな優しさを持っていたヒデキならではの名曲に負けず、爽やかなポップスあり、GSを引きずったナンバーあり、尊敬していたという布施明からの提供曲あり。
　まだダイナミックなシャウト以前という感じですが、ヒデキのスケールの大きさが伝わってきてブレイクの予感がする1枚です。
 
　新御三家では後塵を拝していたヒデキですが、「情熱の嵐」でついにブレイクを果たし、「ちぎれた愛」で初のオリコン1位を獲得。人気が爆発した73年10月に出たサードアルバムが、「 エキサイティング秀樹 」です。
　上半身裸のジャケットからして、タイトル通りにエキサイティング。ダイナミックなアクション＆熱唱と相まって、ヒデキのパブリックイメージとなりましたが、そのルーツがこのアルバムだったといえるでしょう。
　ドメスティックな歌謡曲っぽいナンバーもある中で、注目は小谷夏こと久世光彦さんが詞を提供している点。同じ芸映所属で久世ドラマで活躍していた浅田美代子のつながりもあってか、翌年の「寺内貫太郎一家」に大抜擢されるヒデキですが、既に久世さんがヒデキに寺内周平を投影しているような気さえします。
 
　レコード大賞の歌唱賞はゴローよりも早く、しかも2年連続で受賞するなど、スケールの大きな実力派歌手として早くから評価されていたヒデキ。ただ、紅白歌合戦への初出場は新御三家では最も遅かったワケですが、その紅白で歌われたのが「ちぎれた愛」の絶叫を発展させたナンバーにして、初期路線の代名詞となる大ヒット「傷だらけのローラ」。
　この曲とアクションとコールが一世を風靡した「激しい恋」、平凡募集歌のロックンロール「薔薇の鎖」という3枚のシングルを基本とした4thアルバムが、74年9月リリースの「 傷だらけのローラ 」です。
　粒ぞろいでバラエティーに富んでいるのがヒデキのアルバムの特徴ですが、このアルバムではロックのムードが色濃く出ています。といいつつ、出色は真木ヒデトっぽいGS回帰となった次のシングル「涙の友情」になる「涙がとまらない」。そのためハーフベストのような雰囲気もありますね。
 
　そして75年、押しも押されもしないトップスターとなったヒデキが6月にリリースした「 恋の暴走/この愛のときめき～エキサイティング秀樹Vol.5 」。
　久々のメジャー調でスケールの大きな「この愛のときめき」、「薔薇の鎖」に続くロックンロール路線の「恋の暴走」という2大シングルを収録。アルバムもその延長線上でまとめられ、ソングライターに転向した美樹克彦やヤング101のメンバーでもあった惣領泰則も参加。「寺内貫太郎一家２」での乱闘シーンで骨折した頃ですが、ポップで元気なヒデキをアピールしていましたね。
 
　そういえば、ヒデキの場合、初期のアルバムのジャケットはシングルと同じカットや別パターンが多いのですが、76年のレコード価格改定の際、LPのジャケットとタイトルを変更しています。
　これら5枚とともにライブ、カバーアルバムも通し番号を振り「第1集」から「第7集」として再発していますが、今回こういったアナザージャケットも添付してもらえればコレクター熱もタカマルというものですが、もう間に合わないでしょうか…。
 
　というオリアル復刻第1弾のラインアップ。SonyMusicShopで5タイトルまとめ買い（ 【限定特典付き】西城秀樹 2021年6月18日発売 5タイトルまとめ買い ）すると、限定特典としてジャケ絵柄缶バッジ5個セットがもらえるそうです！
　なお第2弾は9月の予定だそうですが、リリース順ではなく文学全集みたいにランダムで発売された方がいいような気もします。それこそ未CD化のタイトルを優先すると、既に復刻CDを持っている人も食指が伸びそうに思うんですけど…。ともあれ、ファン悲願の完全復刻、2年間新たな楽しみができたことは確かですので、地道にそろえることにいたしましょう！