３年ぶりの続編は、シティポップな80年代！

　イルカの軌跡をたどる企画として、2013年にスタートしたアーカイブ・シリーズ（ こちらで紹介）。
 
　ただのリマスタリング復刻じゃなくアルバム未収録音源や貴重なアウト・テイクを収録したディスク付きで、まさにアーカイブというにふさわしい内容で、続編に期待しておりましたが、あれから3年、ようやく発売になります！
 
　それが、シリーズ第3弾となる「イルカ アーカイブVol.3 「我が心の友へ」「FOLLOW ME」 」！
 
　第1弾が「イルカの世界」と「夢の人」、第2弾が「イルカ・ライヴ」と「植物誌」というようにソロのファーストアルバムから時系列順に出てきましたので、次はノエルの企画アルバム「ボヘミアの森から」「ちいさな空」と、総決算的代表作とライブ「いつか冷たい雨が」「あしたの君へ」と順番に続いて70年代フォーク時代の完結かなと思いきや、今回はカット。ポップスの要素が色濃くなった80年代から順に「我が心の友へ」「FOLLOW ME」になりました。
 
　70年代半ばのフォーク全盛期の延長線上で、隆盛を極めたニューミュージック。79年にはそのピークを迎え、80年代という新しいディケイドからは、サウンド的にも大きく変化します。
 
　イルカもご多分に漏れず、デビュー10周年のLA録音アルバム「我が心の友へ」では最新のウェストコーストサウンドのエッセンスを加味。全曲イルカの作詩・作曲ですが、アレンジにはオフコースの小田さんも参加し、ぐんと洗練された80年代のシティポップスに。その感じは、前のLA録音盤「植物誌」と比べるとより明らかでしょう。
 
　といってもNHKみんなのうたの「夢みるパワー」や、スタンダードになった「まあるいいのち」、ノエルシリーズの「ジェレミーの木」、大場久美子への提供曲のセルフカバー「ガラス窓の少女」など、引き続きのイルカの世界は健在。タイトル作も超名曲です。
 
　それが決定的に変わったのが、81年、イルカのイメチェンといいますか、ほのぼのメルヘン系をから大人化を図った「FOLLOW ME」。
 
　タイトル曲は先行シングルとしてスマッシュヒットを記録しましたけど、当時の印象としてはコッテリとした男女のラブソングは似合わない感じがしたのは確かです。
 
　とはいえ、81年という年は、コテコテのフォークだった松山千春がポップロックな「長い夜」を出し、中島みゆきがソフィストケイトされたポップサウンドの「悪女」を出し、ともにオリコン1位を獲得した年ですからね。
　イルカだって、シティポップスを歌っても何の不思議もない時代だったのでした。
 
　いずれにしても、今聴き返すと当時のような違和感はゼロ。むしろ初期のフォークよりもしっくりする感じもありますから、時代の変化ってスゴイですよね。
 
　なお、3枚目ディスクには、「十九の春に」「枯葉のシーズン」「Follow Me（シングルバージョン）」「渚にて／恋はカラフル」という80～82年にかけて発売されたシングルと、「ノエルの不思議な旅」のサントラから「まどろむ夕べ」「すてきなSCIENCE」「きみのマーチ」が収録予定とのこと。
 
　ブックレットには今回もイルカが書いたメッセージや解説、懐かしい写真やイラストも掲載されるそうですので、やっぱりコレクションしておきたいですね。
 
　ちなみに、アーカイブ・シリーズ第4弾「イルカ アーカイブVol.4「ノエルの不思議な冒険」 [DVD] 」も同時発売となりますが、こちらはCDではなく、イルカの絵本をアニメ映画化した「ノエルの不思議な冒険」のDVD。初DVD化となりますので、ノエルのファンの方は必携です！