秋の夜長に聴きたい、定番名曲集!
NHKの朝ドラ「あまちゃん」人気をきっかけに、世間ではまたまた80年代を中心にしたナツメロがクローズアップされている模様。
一見、近年の傾向の続きという感じがしますが、決定的に違うのは、天井や裾野が広がっている点ではないかと思います。ドラマのヒットの要因として“3世代ヒロイン”が挙げられているように、これまでのアラフォー・リアル世代だけでなく、80年代が青春時代ではなかった上の世代や、まだ生まれてなかったかなり下の世代にも、名曲として受け入れられているのだそうです。
このムーブメントを受け、2種のオフィシャルコンピ(こちらで紹介)をはじめ、さまざまなコンピ盤が毎月のようにリリースされていますが、秋風が吹く頃にオススメしたいのがコレ。
70年代から80年代前半の大ヒット曲、今やスタンダードとなったナンバーの中でも“心に響く唄”ばかりを集めたという「 心に響く唄 」です。
2枚組で全40曲、冒頭からの数曲を列挙しても久保田早紀「異邦人」、松山千春「季節の中で」、森田公一とトップギャラン「青春時代」、村下孝蔵「初恋」、ガロ「学生街の喫茶店」というように、おなじみのヒット曲の中でも秋にぴったりのフォーク&ニューミュージックをメインに選りすぐった印象の構成です。
しかし、研ナオコ「夏をあきらめて」、尾崎紀世彦「また逢う日まで」、ペドロ&カプリシャス「五番街のマリーへ」歌謡曲シンガーの名曲に、松田聖子「赤いスイートピー」や太田裕美「木綿のハンカチーフ」、高田みづえ「硝子坂」といった実力派アイドルの代表曲や、加山雄三「旅人よ」、森田健作「さらば涙と言おう」、中村雅俊「ふれあい」など青春スターがヒットさせた愛唱歌もバランスよく入っているので、聴きやすく飽きない感じで、まさに夏、春子、アキの3世代で聴くのにぴったり。
中でも個人的に唸ってしまったのが山口百恵「秋桜」、岩崎宏美「思秋期」、南沙織「色づく街」という3連発。それぞれ何千回、いや何万回となく聴いてきた曲だのに、この流れで耳に入ってきた日には脳天気な気分であってもたちまちおセンチになるというものです。
さらには上條恒彦&六文銭「出発の歌」、赤い鳥「翼をください」、加藤和彦と北山 修「あの素晴しい愛をもう一度」、ハイ・ファイ・セット「卒業写真」などなど音楽の教科書に採用されている曲もかなりの数に上りますし、シンガー・ソングライターと職業作家の先生方の作品が競い合っていた時代ならではのクオリティも感じられます。
なるほど、やっぱり“心に響く唄”。3世代でともに聴いたり、歌ったり、いろんな想い出を話し合ったり、分かち合ったり、そんな秋の夜長の過ごし方も素敵です。
我々マニアはこの類をスルーしてしまいがちですが、たまには大切な家族や仲間たちのために手にとってみたいし、こういうコンピを一緒に聴く機会を作ってみたいものですね。
(2013.9.1)