オススメ復刻盤「森昌子/ゴールデン☆アイドル」


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 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#717

森昌子/ゴールデン☆アイドル

(2015.2.11発売、PCCA-50197、¥6,200+税) *HQCD、5枚組

*ビクター編・桜田淳子 ゴールデン☆アイドル(VICL-70145)、ソニー編・山口百恵 ゴールデン☆アイドル(MHCL-30295)も同時発売!

花のトリオを牽引したスタ誕第1号、28年ぶりのEP集!

 話題騒然、「ゴールデン☆アイドル」シリーズ第2弾。
 今回のラインアップは、「スター誕生!」出身の花のトリオとしてユニット的な人気も博した森昌子、桜田淳子(こちらで紹介)、山口百恵(こちらで紹介)の3人とあって、マニアのみならず一般のリアル世代の中でも大きな盛り上がりを見せているようです。

 それもそのはず、花のトリオは、73年の中3で結成されてから77年の高3卒業式まで、70年代ティーンアイドルのシンボルになっていましたし、当時の小中高生の感覚でいえば、彼女たちと年齢は違ったとしても、3人と一緒に進級し、クラスメイトを応援するように声援を送っていた感じですからね。

 そのへんの様子は「スター誕生! CD&DVD-BOX」(こちらで紹介)のDVDや共演映画をまとめた「森昌子・桜田淳子・山口百恵/Memorial Box『初恋時代/出発(たびだち)』」(こちらで紹介)、百恵ちゃんのDVD-BOX「山口百恵 in 夜のヒットスタジオ」(こちらで紹介)に特典として収録された3人の「スター千一夜」の映像なんかでお分かりいただけると思います。

 中でもわずか13歳でスタ誕の初代グランドチャンピオンに輝き、美空ひばりの再来と騒がれ、スタ誕第1号歌手となったマコは特筆すべき存在。72年に先陣を切ってデビューし、翌年にデビューした淳子と百恵ちゃんを牽引していったワケですからね。

 なんたって“花の中三トリオ”を結成し、月刊「明星」の表紙を3人(正確には郷ひろみと一緒なので4人)で飾った時以来、真ん中にいたのは常にマコだったのですし、マコなくしてはローティーンアイドルが定着し淳子や百恵ちゃんがスターになることはなかったと言っていいでしょう。
 事実、岩崎ヒロリンたちも含め、マコがスタ誕でデビューしたからこそスタ誕を受けたという後輩は枚挙にいとまがありません。

 ということで、3人の中では唯一現役の歌手として活躍する“あなたのクラスメート”、森昌子さんの「 ゴールデン☆アイドル 森昌子 」です!

 是が非でもスターを誕生させなければという事情があった日本テレビのバックアップのもと、鳴り物入りのデビューを飾ったマコですが、またたく間に老若男女のアイドルになった最大の要因は、あの抜群の歌のうまさではありませんでした。
 それはカラーテレビ時代のアイドルならでは、愛嬌のある顔立ちにジャネット・リンを真似たショートヘアという、ルックスの賜物だったのです。

 あのヘアスタイルは、後にタワシ頭とかモンチッチヘアとか呼ばれた強度の縮毛を逆手に取った策で、応急措置のごとくデビュー直前に決断したのだそうですが、初期森昌子のトレードマークとして、みんなに愛され、世の縮毛女子たちに大きな希望を与えたものでした。
 ちなみに、あの頑固な髪質は70年代後半には漢方薬シャンプーでストレートへと矯正されていきますから、今回のジャケブックでその変遷を追うのも一興ではないかと思います。

 また、スタ誕の予選で都はるみの「涙の連絡船」を歌って合格したマコですが、バリバリの演歌を歌うには若すぎるということで学園路線で売り出された点も、アイドルとしての人気に火がついた大きな要素だと思いますね。
 “あなたのクラスメート”が歌うのにぴったりだった「せんせい」「同級生」「中学三年生」の三部作を筆頭に、スタ誕の策士・阿久悠さんが示した学園路線は、当時は難なく同世代のティーンの心に響いたのですからね。

 その後も島倉千代子「からたち日記」のティーンバージョンといえる「白樺日記」に、個人的に最も好きな「記念樹」、最もアイドルっぽくてスタ誕を受ける子たちの間でも大人気だった「若草の季節」、マコのパブリックイメージとかぶるチャキチャキの音頭「今日も笑顔でこんにちは」や、中年女性ファンの多かったマコらしい「おかあさん」など、ヒット曲を連発。
 個人的にはデビュー5周年記念曲「恋ひとつ雪景色」(こちらで紹介)がアイドル・森昌子の最高峰ではないかと思っています。

 確かに楽曲は青春演歌、歌謡曲っぽいアプローチだったし、レココレの「日本の女性アイドル・ソング・ベスト100 1970-1979」でも73位に「せんせい」が入っただけですが、当時を知る世代ならマコがれっきとしたアイドルだったことに異論を唱える人はないでしょう。

 まあ、正確に言えば、マコがアイドルだったのは「明星」や「平凡」のグラビアに登場していた頃といいますか、遅くとも花の高3トリオが卒業した77年春までとするのが一般的だと思いますが、またとない機会だし固いことは言いっこなし。

 今回のCD5枚には、72年のデビューシングル「せんせい/太陽の花嫁」から、86年の引退記念シングルとして4枚同時発売となった「いつまでも~~愛彩川/幸せありがとう」「ありがとう~雛ものがたり~/雁来紅」「そして、今…悲しみの終着駅/涙暦」「~さようなら~/初秋」まで、すなわち徳間音工・ミノルフォンレコード時代を経てキャニオンレコードに移籍し、一度引退するまでの全シングル50枚、そのAB面99曲が網羅されております。

 ちなみに収録曲が100曲ではなくマイナス1の99曲となっているのは、昭和54年3月新宿コマ特別公演記念曲にして昌子のさわやか音頭「翔んでけ青春」のB面がメロディー入りカラオケのため除外されているからです…。
 どうせなら入れてくれてもいいと思ったんですけど、シリーズ第1弾でもカラオケは対象外だったようなので仕方ないでしょうか。

 あと一つ欲を言えば、花の高2トリオ時代に共演した映画「初恋時代」の主題歌として、唯一3人のために書き下ろされたナンバー「初恋時代」をボーナストラックとして収録してくれたら言うことないんですけど。マコのバージョンだけが唯一CD化されていないのでね。
 ちなみにこの曲、3人で歌ったバージョンは映画でしか聴けませんので、未聴の方がいらっしゃいましたら、単品ブルーレイ「 花の高2トリオ 初恋時代 [Blu-ray] 」かDVD「 花の高2トリオ 初恋時代 [DVD] 」(「初恋時代」も披露された高3トリオ卒業記念コンサートの映画の単品ブルーレイ「 出発 三人娘・涙の卒業式より [Blu-ray] 」は2015年1月13日発売予定だとか)またはBOX「森昌子・桜田淳子・山口百恵/Memorial Box『初恋時代/出発(たびだち)』」(こちらで紹介)かブルーレイBOX「山口百恵 映画全集 1974-1980 Blu-ray BOX」(こちらで紹介)で、ダウンロードなら「 花の高2トリオ 初恋時代 」「 出発 三人娘・涙の卒業式より 」でご覧ください。

 もちろんシリーズの特長であるアナログシングルサイズの紙ジャケットによるパッケージ、ジャケットをジャストサイズで復刻したブックレット、最新デジタルリマスタリングの高音質HQCDと、シリーズとは言えマコ史上例を見ない豪華版でのリリースですから、コレはやっぱりコレクションしたいものです。

 カムバック以降、シングルA面コンプリートは「森昌子 シングル・コレクション51」(こちらで紹介)で実現していましたし、AB面コレクションは79年の移籍後から引退までキャニオン時代の全19枚を集めた「森昌子シングルA/Bコレクション」も出ていますが、デビューからの全シングルAB面を集めたCDのリリースは、結婚引退した86年に2枚組4種で出た「A面コレクション」&「B面コレクション」以来、なんと28年ぶりの出来事なんですからね。

 なお、現在のマコは2012年にはキングレコードへと移籍。コンサートでセーラー服姿になったり、ことし阿木耀子+宇崎竜童のコンビが書き下ろした最新シングル「 花魁 」では花魁の衣装を身にまとったり、近年は話題に事欠かない迷(?)プロモーションでおなじみ。
 とはいえオリジナル曲の発声にも得意のモノマネにも、アイドル時代にあった明るい芯のようなものが見られなくなったように思いますので、この「ゴールデン☆アイドル」が現在の活動にも相乗効果をもたらし、いろんな化学反応が起きることを願っています。

 個人的にはマコのアイドルとしての魅力が再評価されてゆき、音源を有するホリプロも本腰を入れて「白樺日記~マコ初恋へのあこがれ」「若草の季節~マコの好きなヒット曲」など、シンシアや真理ちゃん、アグネスにミヨちゃんらマコがモノマネを得意としたアイドルのヒット曲を軽〜くカバーしたアルバム(決して象印賞的ではありませんのでご安心を)なんかの復刻につながったら言うことありません。

(2014.11.14)


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