昭和54〜63年のTVドラマ主題歌&挿入歌集!
2014年度も気がつけば下期目前。テレビっ子だった昭和後期は秋の番組改編も大きな楽しみの一つだったものですが、近年はとんと関心を持てなかったりして。
それは、BSにCS、CATVの多チャンネル時代、地上波の番組で心奪われる番組がめっきり少なくなったことや、今やレコーダーが見たい番組を自動的に録画してくれるのでオンタイムで見ようという気持ちが失せてしまったことなどが起因しているように思います。
ワンセグなど夢のまた夢で、家庭用ビデオすら普及していなかった頃は、見たい番組のために何が何でも帰宅したものだし、特に見逃すと筋が分からなくなる連続ドラマの曜日には、予定を入れないようにしたこともありましたっけ。
そう思うと、当時のドラマの内容を事細かに覚えていたり、いまだに主題歌をソラで口ずさめるのは、いかに熱心に見ていたかの証しと言えそうです。
と、同世代が集まれば、いまだに熱く語ってしまうことも多い昭和後期のテレビドラマですが、主題歌や挿入歌を集めた2枚組コンピ「 昭和ドラマ・ヒッツ 」があれば、思い出話にもっと花が咲くのではないでしょうか。
手前ミソではありますが、この秋に出るコンピの中ではかなりな強力盤だと思いますので、プッシュさせていただきたいと思います。
さて、一口にドラマと言っても、ホームドラマに恋愛ドラマ、青春ものに刑事もの、学園ドラマにサスペンスやミステリーの2時間ドラマ、そしてオシャレなトレンディードラマ…と実にさまざま。
時間帯によってすみ分けはあったものの、それこそ数多のジャンルがひしめきあっていた感がありますが、まだテレビが1人1台の時代ではなかったので、旬のアイドルが主役であろうと、いろんな世代が見て楽しめる内容のものがほとんどでしたよね。
それと、映画に追いつき追い越した気概のある世代のスタッフ陣が中心だったことも大きかったのでしょう。脚本も演出も音楽も、丁寧に制作されたものが多かったと思います。
今回のコンピでは、最古のナンバーが昭和54年。それは、化粧品のCMソングに代表されるタイアップ手法が定着し、ドラマ主題歌からもヒット曲が生まれるケースが飛躍的に高まった年です。
その筆頭といえるのが、十朱幸代主演のTBS木曜座「愛と喝采と」。先日の「爆報!THE フライデー」でも流れましたが、岸田智史がスターへの階段を上る過程が実際とリンクするという内容で、劇中でスターの座をつかんだタイミングで、現実でも「きみの朝」がヒット。ついにはオリコン1位を獲得するという実績を収めました。
このスタイルは後にも結構踏襲されていきますが、ほかにも昭和54年という年には、ドラマ音楽における関係性のひな形がたくさんあって、主演俳優が主題歌や挿入歌を歌うスタイルとしては日本テレビ「熱中時代・刑事編」の水谷豊「カリフォルニア・コネクション」やTBS「噂の刑事トミーとマツ」の松崎しげる「ワンダフル・モーメント」。
また、劇伴音楽の担当者が歌を歌ったり、劇中で主題歌のみならずいろんな歌が流れたりすることもありましたが、その代表としては、日本テレビ「俺たちは天使だ!」SHOGUN「男達のメロディー」、同「西遊記Ⅱ」のゴダイゴ「ホーリー&ブライト」、同グランド劇場「ちょっとマイウェイ」のパル「夜明けのマイウェイ」などなど。という風に、注目したい部分が満載です。
ちなみに最新はトレンディードラマ全盛期の昭和63年で、フジテレビ・月9「君が嘘をついた」のプリンセス プリンセス「GET CRAZY!」、同じくフジで南野陽子が主演した「追いかけたいの!」のWink「愛が止まらない-Turn It Into Love-」がチョイスされていますが、もうドラマの内容とはさほど関係がなくなるタイアップありきの時代となっている点が興味深いです。
というように、昭和末期の20年間に放映されてきたドラマの主題歌や挿入歌がまとめられているワケですが、連ドラといえば朝ドラの15分から1時間と相場が決まっていたところに、単発の2時間ドラマというスタイルが猛威を振るったこともありました。
言わずもがな火付け役は「火曜サスペンス劇場」であり、そこからは岩崎宏美「 家路」と杉山清貴「風のLONELY WAY」とが選ばれています。一世を風靡した「聖母たちのララバイ」じゃないところがニクイですよね。
あと、大きな流れとして注目したいのはやっぱりトレンディードラマ。
昭和から平成の端境に絶頂を迎えたトレンディードラマは、脚本家の鎌田敏夫さんが手がけて一世を風靡した金ツマから始まったと言われておりますが、このCDでも、シリーズ最高視聴率を記録した「金曜日の妻たちへⅢ・恋におちて」の小林明子「恋におちて-Fall in love-」、同じくTBSで一世を風靡した「男女7人」シリーズから「夏物語」の石井明美「CHA-CHA-CHA」と「秋物語」の森川由加里「SHOW ME」という鎌田作品の主題歌が入っています。
また、世相を映すのがドラマという観点で見直したいのが、ツッパリや不良にスポットが当たった作品。大映ドラマからはTBS「不良少女とよばれて」のMIE「NEVER」と同「ポニーテールはふり向かない」の小比類巻かほる「NEVER SAY GOOD-BYE」、局は違えども銀蠅ファミリーが出演したTBS「茜さんのお弁当」のJohnny「ジェームス・ディーンのように」と日本テレビ・グランド劇場「天まであがれ!」の嶋大輔「男の勲章」と、ツッパリ、不良が社会現象となり市民権を得た昭和後期を確認してみるのも一興です。
この一世代前は、学園ものといえば熱血青春ドラマが定石でしたが、高校に進学せず大検で大学を目指すTBS系「中卒・東大一直線 もう高校はいらない!」のTHE MODS「バラッドをお前に」なんかも、世相を表していますよね。
出演者を思い起こすと目下再ブレイク中の坂上しーくん出演作が結構あるような気がしますし、そういう点も含め、いろんな楽しみ方ができそうなこのコンピ。
日本テレビ「竹とんぼ」のパティ「明日・・・咲く」、同「陽あたり良好!」の竹本孝之「とっておきの君」、フジテレビ系・月曜ドラマランド「どっきり天馬先生」の簑谷雅彦「笑えないピエロ」といった普通はスルーされる音源も入っていたり、マニア度も結構高くなっておりますので、ぜひ曲目をチェックしてお求めいただければウレシイです。
なおドラマにスポットを当てたコンピとしては、80年代アイドルに特化した「 アイドル・ドラマ・ヒッツ 」(こちらで紹介)、90年代のドラマを集めた「 オールスター・ドラマ・ヒッツ 」なんかもオススメです。
(2014.9.19)