矢野顕子の提供曲を含む27年ぶりのベスト!
高護さんの「Hotwax presents 歌謡曲 名曲名盤ガイド1980's」(こちらで紹介)関連のシリーズとして、巷では話題沸騰中の堤大二郎「 燃えてパッション ラジオ・シティ・イヤーズ・コンプリート・シングルス 」(こちらで紹介)や工藤夕貴「 野生時代 ハミング・バード・イヤーズ・コンプリート・シングルス 」。
音源が入手困難な80年代アイドルの貴重なシングルコレクションということで、ファンやマニアは大喜びしているそうですが、これらに続き、80年代のホリプロを代表するアイドルの一人、杉浦幸(みゆき)の「 悲しいな コンプリート・シングルス 」も発売されることになりました!
タイトル通り、86年1月リリースのデビューシングル「悲しいな/初めまして」から87年の「18のSecret/愛してあげる」まで、全7枚のシングル両面14曲をコンプリートで収録し、主要シングルA面4曲のオリジナル・カラオケを追加した全18曲。
シングルB面曲に未CD化はありましたが、ミニアルバムを含めアルバムは元々がCD発売されていましたし、2枚のオリジナルアルバム「ファースト」「Ten at Nite」はワーナーのQ盤・音泉シリーズで96年にボーナストラックを加えてCD化されていましたが、ベスト盤としては87年12月の「幸STORY」以来27年以上ぶりのリリースとなりますので、この日を待ち望んでいたファンは多いでしょう。
最初はモモコクラブ出身、西村知美、島田奈美と三人娘と呼ばれていた清純派アイドル。しかしながらアイドル卒業から今日までのビッチで邪悪な言動のせいで、今や元ヤンアイドルというレッテルが貼られていますが、実はデビュードラマから演技とは言えその邪悪な表情をハッキリと見せていたのですから、のりピーほどのギャップはないように思われます。
そのドラマとは人気漫画を原作にしたドラマ「ヤヌスの鏡」で、杉浦幸は裕美とユミという二重人格の難役をすごいメイクで好演しました。
大映ドラマ主演の座は、百恵ちゃんから始まって、郁恵ちゃんに堀ちえみ、ちえみの紹介されて移籍した伊藤かずえとホリプロの伝統ですが、それをいきなりデビューの段階で果たすという鳴り物入りの大型新人としての登場だったのですね。
たちまち注目を集めるや「悲しいな」でレコードデビュー。ホリプロならでは正統派のカワイコちゃんではないルックスでしたが、翳りがあるのか不満なのか、暗い目のすねたような歌い方は役柄とも相まって話題を呼び、オリコン4位をマークするヒットとなったのでした。
その後も連続ヒットとなった「4月列車/私がいない」をはじめ「六本木十時軍/真夏のアマン」「午前0時のI NEED YOU/√17(ルートセブンティーン)」「-045-/やさしすぎる、寂しすぎる」などのシングルをコンスタントにリリース。
裕美とユミという二重人格のごとく2つの路線を地で行く感じでしたが、岡本健一と保阪尚輝と競演した名ドラマ「この子誰の子?」に代表されるように、演技の方が魅力的に映ったのは確かでした。
結局、デビュー曲を超えるヒットは出せぬまま歌手をリタイアするワケですが、忘れてはならないのが6枚目のシングルとして87年6月に出た両A面シングル「花のように/砂浜にルージュ」。正確に言えばA面の「花のように」です。
矢野顕子の作詞作曲で、楽曲はグリコ協同乳業の' 87年間テーマソングに採用されたもの。CMでは確かグループフルーツゼリーがアッコちゃん、カフェゼリーが杉浦幸、ヨーグルトがインストゥルメンタル…というように、商品によって使い分けられ展開されていたと記憶していますが、杉浦幸は歌だけでなくCMにも出演。
アッコちゃんも同時期にシングル発売したので競作も話題となり、杉浦幸のシングルはオリコン14位をマーク。もう一歩でベストテン入りする久々のスマッシュヒットとなったのです。
歌番組では楽曲寄りのイメージでフリフリの衣装に身を包み披露されてましたが、歌詞も含め本人のキャラクターや歌い方とはチグハグで、正直、合っていはいませんでした。でも曲自体は素晴らしいので、これを機に再評価されることを願っています。
なお、アッコちゃんのバージョンは、アルバム「グラノーラ」(こちらで紹介)で聴くことができますので、幸ファンで未聴の方がいらっしゃいましたらぜひどうぞ。
(2015.1.23)