22年ぶりの新曲を含む、みゆき&ゴッキー作品集!
来年はおニャン子クラブ30年ということで、ゴイスーな結成30周年記念CD-BOX「シングルレコード復刻ニャンニャン」(こちらで紹介)の発売が決定。
おニャン子が席巻したバブリーな時代を彷彿とさせるスケールと価格も相まって、大きな話題を呼んでいますが、おニャン子イチの出世頭と言えば、会員番号38番。
そう、1987年8月31日、おニャン子の終了とともにソロデビューを果たした工藤静香さんです。
セブンティーンクラブやモモコクラブを経て、おニャン子で開花。ソロデビューではおニャン子最後のオリコン1位を獲得するという実績を残しましたし、その後他のメンバーがどんどん凋落してゆく中、オミズやヤンキー系の方々からも大きな支持を受けるなどして、不動の地位を築いたことは今さら言うまでもないでしょう。
むろんその成功は、百恵ちゃんや明菜の系譜に位置する陰的アイドルとしての資質とシンガーとしての才能を両立させた逸材であったことが大きかったと思いますが、振り返ってみれば、歌手・工藤静香の方向性を決定づけたのは翌88年6月発表の第3弾シングル「FU-JI-TSU」ではなかったかという気がします。
言わずと知れた中島みゆき作詞、後藤次利作曲によるタッグで、今は亡きポニーキャニオンの名プロデューサー・渡辺有三さんが誕生させたことでも知られていますが、この組み合わせこそが工藤静香の世界を確立させたと言っても過言ではないでしょう。
みゆき&ゴッキーのコンビは、直後のミニアルバム「静香」の全曲、そしてCMソングにもなった第4弾シングル「MUGO・ん…色っぽい」と続けざまに作品を提供。早くも絶頂に達します。
特に“眉とシャドウ。ん、色っぽい。”がキャッチコピーの'88カネボウ秋のキャンペーン用に作られた「MUGO・ん…色っぽい」は、さすが化粧品メーカーがバックについただけあって、ヘアメイクもバッチリ。
2年前の国生の時みたいな大変身とはいきませんでしたが、独特の太いハの字眉がぐっとチャーミングになり、多くの女性にマネされた前髪の立ち上げも始まるなど、ファッションリーダーとしての風格も兼ね備えるようになっていったのですから。
昔から同性に好かれるアイドルは息が長いといいますが、この頃の彼女はまさにそういう感じでしたし「MUGO・ん…色っぽい」は間奏部分でマイクオフのまま何かをつぶやく“無言”演出なども相まってカラオケで大人気だったことを思い出します。
というように、歌手・工藤静香に大きな命を与えたみゆきサン&ゴッキーのコンビですが、このたび、このタッグの作品をコレクションした2枚組ベストアルバム「 MY TREASURE BEST-中島みゆき×後藤次利コレクション- 」が発売されることになりました。
「FU-JI-TSU」「MUGO・ん…色っぽい/群衆」「黄砂に吹かれて/秋子」「私について/TEL・・ME」「慟哭/コール」というNo.1シングルをはじめ、アルバム「静香」(オリコン1位)の「証拠をみせて」「さよならの逆説」「ブリリアント・ホワイト」「裸爪のライオン」、「mind Universe」(1位)の「つぎはぎのポートレート」「Embrace」、「Rise me」(3位)の「他人の街」「そのあとは雨の中」というアルバム収録曲まで、88年から93年までのナンバー17曲がずらり。
さらにはボーナストラックとして、22年ぶりとなる新曲「単・純・愛 vs 本当の嘘」が収録されるというビッグニュースまでついておりますから、コレは静香ファンのみならず、みゆきサンのファンも必携でしょう。
個人的にもずっと「SIZUKA VS MIYUKI~工藤静香、中島みゆきを唄う」というプレイリストを作って愛聴しているぐらい好みなので、本当にウレシイ。
みゆきサンもセルフカバーした「群衆」をはじめ「秋子」「コール」というB面作品が特に気に入っていますが、マイベストはゴッキーのシンプルなサウンドとメロディーも秀逸な「秋子」。未聴の方はもとより、工藤静香が苦手だという人にぜひ聴いていただきたいナンバーです。
なお、93年以降、みゆきサンが静香に書いた提供作はすべて作曲の方も担当されていますので、今回は対象外。それでも静香のみゆき作品コンプリートをめざす方は、「激情」「雪・月・花」「Clāvis -鍵-」というシングル3曲をボートラ収録した2008年のみゆきカバー集「MY PRECIOUS -Shizuka sings songs of Miyuki-」(こちらで紹介)と、同年のみゆきサン書き下ろし両A面シングル「 NIGHT WING/雪傘 」、そして廃盤ではありますが、研ナオコ「かもめはかもめ」のカバーを収録した2002年の昭和歌謡カバー集「昭和の階段 vol.1」を併せてお求めください。
逆にみゆきサンのセルフカバーを聴きたい場合は、「群衆」は「 回帰熱 」、「慟哭」は「 時代-Time goes around- 」、「雪・月・花」と「裸爪のライオン」は「 おとぎばなし-Fairy Ring 」、「Clāvis -鍵-」は「 ララバイSINGER 」、「雪傘」は「 真夜中の動物園 」をどうぞ。
ともあれ、今シーズンのみゆきサンはNHKの朝ドラ主題歌「 麦の唄 」でまた上昇気流に乗っていますし、その流れで紅白歌合戦にも出場するなど、前回の「 地上の星 」の時みたいに年始にはまたCDが売れそうな気配が漂っていますので、静香のアルバムのリリースはまさに絶好のタイミング。
今年はももクロに書いた「 泣いてもいいんだよ 」がオリコン1位を獲得したことで、1970年代から2010年代まで5つのディケイド連続で提供作1位という記録を樹立したみゆきサンですが、80年代と90年代は静香への提供作で更新できた記録ですので、今回のアルバムでその実績が再注目され、名曲の数々みゆきサンと静香の相性の良さが一般の人たちにももっと広く知られるようになればと思います。
なお、今年は、みゆきサン70年代の提供作1位シンガーにして相性ナンバー1と評される研ナオコへの提供作&カバー集「 中島みゆき作品コンプリート 」(こちらで紹介)もリリースされておりますので、静香の発売まではそちらを聴いて待つというのもオススメですぞ。
あと、みゆきサンと静香がタッグを組んだシングル「FU-JI-TSU」「MUGO・ん…色っぽい/群衆」「黄砂に吹かれて/秋子」の3枚は、前述したおニャン子BOXでCDサイズによる完全復刻が実現しますから、みゆきコレクターの皆さんも大いにご検討ください。
(2014.12.23)