ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤476

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#476

スター誕生! CD&DVD-BOX

(2011.3.16発売、VPBQ-13552、¥28,875)  *5CD+5DVD

スタ誕40周年、夢の10枚組お宝ボックスがついに発売!

 これは夢ではないのでしょうか。こちらに来られている皆さんなら、第一報を耳にした時きっとそうお思いになったことでしょう。あの「スター誕生!」がCD&DVDとしてよみがえるんですから!

 日本テレビ・スペシャルプレゼンツ、お膝元のバップからリリースされる「 日本テレビ SPECIAL PRESENTS『スター誕生! CD&DVD-BOX』 」! 5CD+5DVDの堂々10枚組、あのスタ誕のすべてを凝縮した奇跡の大企画で、ある意味復刻モノの真打ちともいえる涙のボックスです!

 ご存じ「スター誕生!」は、ちょうど40年前の1971年にスタートし、83年の終了まで日本テレビ系で放送された公開オーディション番組。
 カラーテレビがニューメディアだった時代、テレビのスターをテレビ局が創り出すことになった先駆けの番組として知られていますよね。その誕生については熾烈な芸能界とテレビ界の裏話がセットで語られるほどですが、実体はそんなことは微塵も感じさせない、欽ちゃんこと萩本欽一さんの愛情いっぱいの司会で繰り広げられるスカウトショーでした。
 テーマソングの通り、涙と笑いの燃える1時間で、視聴者にとっては毎週日曜あさ11時のお楽しみだったのです。

 森昌子から始まり、桜田淳子、山口百恵、片平なぎさ、岩崎宏美、ピンクレディー、石野真子、柏原よしえ、小泉今日子、中森明菜、岡田有希子など、今も語り継がれる昭和のアイドルたちを大量に輩出。欽ちゃん降板後も、タモリ&谷隼人改め岩谷隆広、坂本九&石野真子、西川やすし・横山きよしという司会で続きました。
 審査方式にも移り変わりがありましたけど、12年間で番組に寄せられた応募総数はなんと約200万通。その中から約60万人が予選に参加し、合格した5500組がテレビ予選に出たといいます。
 そして決戦大会には423組が出場。スカウト札が挙がり、スタ誕出身者としてデビューしたのは番組終了までが81組。終了後も合わせると合計88組のスターが誕生したのだそうです。

 またスタ誕を受けなくとも、全国各地を巡回したテレビ予選の公開録画に出かけた人は、かなりの数に上ることでしょう。
 確かに、人気アイドルのほとんどがスタ誕出身者という時代がありましたし、あの頃、芸能界や歌手に憧れを持っていた小中学生への影響力は、おそらく当時を過ごしてきた人でないと分からないかもしれません。なんとなく明日からアイドルになれそうな錯覚を抱かせるとともに、アイドルを雲の上のスターではなく同級生感覚で愛せる存在にさせたこと。
 大人たちからは悪影響という意味で語られたことも少なくありませんでしたが、当のティーンたちにとっては、きっと悩み多き多感な年頃にスタ誕に救われたという人も大勢いることでしょう。

 お茶の間審査員として「この子はタレント性はあるけど歌に華がない!」などといっぱしの批評をしてみたり、受かりそうな子を予想して応援しつつ、審査員のコメントに一喜一憂したり、決戦大会では手に汗握り「スカウト札よ挙がれ!」と叫んでみたり。お目当ての子が勝ち進みスターになった時は、まるで自分が見定めたように得意になっていたものでした。

 一方で、予選で勝った子がいつまで経っても決戦大会に出てこなかったり。スカウトされたのにデビューしなかったり。はたまた何度も出演したり、審査員枠のシードで再出場したり、札とは違う所属でデビューしたり。いろんなドラマを想像してしまう出来事がたくさんありましたが…きっと皆さんにも、スタ誕への熱く懐かしい思いがたくさんおありのことだと思います。

 阿久先生や松田トシ先生の厳しいお言葉に憤慨したことや、審査員席で光っていた都倉先生の物腰やスタイルに目を奪われたことも懐かしい思い出です。

 ちょっと思い出すだけでも、話が尽きないのがスタ誕です。さらに続けますと、番組を熱心に見始めた73年には中三トリオ、74年には花の末っ娘トリオ(伊藤咲子、小林美樹、石江理世)というように、最初は番組がプッシュするままに応援していましたが、翌年からは、迷いつつもなぜか絶対売れるであろうと思う人を絞って応援するようになていました。
 75年は黒木真由美と岩崎宏美、76年は新沼謙治とピンク・レディーと浦部雅美、77年は清水由貴子と久木田美弥と神田広美、78年は石野真子と金井夕子、79年はポップコーンと井上望、80年の柏原よしえと甲斐智枝美、というように予想はほぼ外れたワケですが、81年にデビューすると思ってた河上幸恵がいくら待っても出てこなかったもので、それで熱が冷めちゃったように思います。むろんその後のキョンキョンや明菜、ユッコなどはつぶさにチェックしておりましたけど。

 他の勝ち抜き番組なんかと決定的に違っていたのは、やはり欽ちゃんの存在でしょう。カチコチになった出場者に気さくに声をかけ、時には慰め時には励まし、時には笑わせ、歌っている時には見られなかった魅力を引き出すこともありました。
 そして、クロベエ、ユージロー、西山くん、清六さんら欽ちゃんが見出した素人さんたちが中心となって、ゲストのスターたちと繰り広げたゲームコーナー。
 緊張感の走るオーディションや合格者発表の合間を和ませていましたし、あっち向いてホイ、魚鳥木申すか申さぬか、ドビン・チャビン・ハゲチャビンなど、スタ誕で覚えて学校中で流行ったゲームはたくさんありますよね。

 そういえば、レコード会社や芸能プロダクションのスタッフという、本来は裏方の皆さんをとっても身近に感じたのもこの番組でしたし、個人的に大きな影響を受けてきたことに間違いはありません。
 観客として公録参加経験がありますし、テレビのオンエアも70年代の日曜の朝はお習字教室から一目散に帰り、釘付けになって見ていたことを思い出します。躾も含め厳しい教室でしたが、課題をクリアさえすれば早帰りできたので、ワタシの硬筆師範の腕前(免状だけです)は、スタ誕見たさに上達したと言っても過言ではありません。

 また、今日こうやって駄文をダラダラしたためていること自体、スタ誕を見てた時からの延長と言っても過言ではないかも。
 そういう感情もあり、小林美樹、石江理世、浦部雅美、神田広美といったスタ誕出身者の中でもマイナーな方々の復刻盤に関わることができた時は、長年の恩返しができたような気持ちでした。

 と、夢にまで見たスタ誕BOXが出るというだけで、ついボルテージが上がってしまいクドクド書いてしまいましたが、気になるのはやっぱり10枚組という豪華パッケージの中身です。

 まず、5枚のCDには、88組のデビュー曲を、発売順に収録。すなわち第1号の森昌子「せんせい」から、88人目の宮野比呂美「横浜ジゴロ」までがコンプリートされるとのこと(スタ誕出身者としてデビューしたアーティストに限っていると思うので、決戦大会で合格しながらデビューがいいとも青年隊だった久保田篤の「恋の爆弾ストリート」は除外です…)。

 きっと自家製のカセットやらMDやらCDを制作していた番組のファンや、バップから既発のスタ誕コンピ2枚を愛聴してる人も多いことでしょうし、CD化も進んではいますがが、ここまで一堂に揃うとなると感激の極みですよね。しかもオフィシャル版でこの日が来ようとは!

 初回生産分の封入特典として、全88組のデビューシングル一覧ブックレットや、500回記念パンフレット復刻ブックレットも付くそうですから、眺めながら聴くときっと楽しさ倍増。予選から決戦大会へ、どんどんキレイに磨かれていった姿や、デビューコーナーの勇姿も思い出せそうです。

 音源的には、女性陣の場合はほぼCD化されていたので、マニアの皆さんの注目は初CD化続出の男性陣でしょうか。

 個人的にはやはり、故郷の高知県出身、ホリプロに所属し、ビクターから73年にデビューした緑川真「高校時代」のCD化ですね。
 本人は照れるでしょうけど、内心きっと大喜びではないかと思います。前に友人が作ってくれた緑川真コンプリート・シングルコレクション(といっても2枚ですけど)のCDを差し上げて一緒に聴いた時、恥ずかしがりながらもしみじみ感動して、誰にも言ったことのない(というか聞かれたことがなかったらしい…)エピソードを話してくれたほどでしたから。
 あ、といっても「高校時代」はホリプロの大先輩・舟木一夫を踏襲したような73年とは思えない青春歌謡なので、未聴の方はご覚悟を。

 あとはお隣の徳島県出身で、同時期の真子ちゃんとセットで注目してた芸映&東芝EMIの豊田清「青春PART・1」。阿久さんが亡くなった年の紅白で、鶴瓶が感動して読み上げたフレーズは、実はこの歌の歌詞なんですよ。清クンは名曲が多いので、これを機に再評価が高まってほしいです。

 また、東芝EMIで六本木プロ所属、板前さんのインパクトが強かった川崎公明(現・加川明)の「ひとりにしてくれ」にも垂涎の人が多そうな気がしますね。

 地方出身者だけかもしれませんが、初期のスタ誕出身者ってデビューコーナー登場のタイミングに合わせ、放送当日の地方紙に全5段でレコードの広告を打っていましたから、地元を挙げて応援するムードが高かったように思います。キャンペーンもしやすかったでしょうしね。各地方の予選を経て、東京での決戦大会へと進んでいく…このスタイルも、ジャパニーズドリームを託しやすい図式だったのかもしれません。

 また、育ての親でいらした池田文雄プロデューサーのもと、日テレ音楽班のスタッフや出身者はもとより、欽ちゃんや審査員の先生といった出演者も含め、みんなが“スタ誕ファミリー”と呼ばれるほど結束の高いことで知られる番組関係者たち。
 「スタ誕出身」ということで、デビュー後も心細さを感じなかったという新人のエピソードは枚挙にいとまがありません。特に親心を抱いていたというスタッフの愛情たるや。
 近年出た桜田淳子、岩崎宏美、石野真子、柏原芳恵らのCDボックスにはかつての日テレ音楽班スタッフが尽力した編集DVDが付いていましたが、それをご覧になれば愛情の深さがよくお分かりいただけるのではと思います。

 現在も池田プロデューサーのご法事にみんなして集まったり、出身者同士の仲良しグループも数々存在していると聞きますが、その家族的なムードがいかに心地良いものだったかは、当時もブラウン管を通じてうかがい知ることができました。
 淳子にしても百恵ちゃんにしても、ピンクの2人も真子ちゃんもスタ誕にゲスト出演した際は他の歌番組では見せない表情を見せていたのですから。

 そんな雰囲気は、今回のDVDでも十二分に感じられることでしょう。
 初期は、中三トリオの決戦大会でさえVTRが存在しないことはよく知られていますが、ガッカリすることはありません。
 なんと今回はことある事に企画されてきたスタ誕記念特番をベースに放映素材を再編集。歌唱部分のほかトークなども含め、5枚で合計約420分もの大ボリュームになるんだとか!
 権利関係にウルサイと評判のあの面々だって、スタ誕とあらば即OKを出したでしょうし(というかファンとしてはそう信じたい)、コレはもうチビってしまうほど期待大です。

 ディスク1には、まず超貴重な73年、貴重度に卒倒しそうな「スター誕生!100回記念」。初々しい花の中三トリオが勢ぞろいした伝説のVTRです。
 そして主演者の活躍がピークを迎えた78年の「スター誕生!7周年記念」。こちらは百恵ちゃん、淳子、ヒロリン、ピンク・レディーが次々にヒットを飛ばし、久しぶりの大型新人・石野真子が大活躍した年のもの。個人的にはこの時期最も応援してた金井夕子にも注目したいと思います。

 続くディスク2には、74年11月の木曜スペシャル枠で放映された「実録スター誕生!」。コレ、オンエア当日の記憶があるので、感涙です。
 今でもよく流れる高一トリオ合格時回想や、三人の持ち歌交換するシーンはこの時のフィルムなので、きっと目にしていると思いますが、大注目されていた大型新人・黒木真由美の予選からデビュー準備までにスポットが当たったキャプチャーもあって、今思うとまるで彼女のプロモーションのような印象もあった番組なのです。
 個人的には37年前の記憶とどこまで合致しているか、とても楽しみでありますんで、お願いだからカットされませんように!と祈ってます。

 そしてディスク3には、79年のお正月オンエアの「スター誕生スペシャル 欽ちゃん一座正月公演」、さらには83年9月のスター誕生!最終回「スタ誕・卒業生大集合」と時を追いつつ楽しめる構成になるようです。

 番組終了後も、伝説の番組として、たびたび特集や特番が企画されて来たスタ誕。ディスク4には、93年12月に開かれた大同窓会「青春讃歌・スター誕生!物語」、ディスク5には2000年のスーパーテレビ情報最前線で“山口百恵、ピンク・レディーの真実!”と題してオンエアされた「スター誕生!伝説」が収録されるとのことです。
 あの同窓会はスケールといい出演者といい、ホントにスゴイものがありましたが、出席者全員が楽しんでいる様子が素敵でした。あれを機に旧交を温めるようになったスターたちも多かったようです。

 しかし、出身アーティストそれぞれのコアなファンだけが買うとしてもかなりの数に上りそうで、空前のヒットになりそうな予感がしますね。

 こうしてあの日曜のお昼前に心を馳せるだけでも、井上れい子さんのクールなナレーション、アシスタントのリンリン・ランランのあの笑顔、出身者の大きなパネルなどのセットとか、いろんな思い出がよみがえってきます。
 そんな心の中だけに残っていた思い出のかけらを、つなぎ合わせより味わい深いものにしてくれそうなこのお宝BOX。早速予約して、春の訪れとともに発売になる日を待ちたいと思います。

 なお、このタイミングに合わせたかのように、スタ誕出身、81年にCBS・ソニー&ボンド企画からデビューした水谷大輔が出した2枚のシングル「星屑海岸/二人の世界」「風よ急げ/ローズマリーの坂道」を収録した新企画「 ボーイズ・ミラクルバイブル フラッシュ・未都 由・水谷大輔 icon 」(なんとミーとユーの未都由、イケメン組のクラッシュとの夢の抱き合わせ!)が、OMFの候補に挙がっています。
 TBSドラマ「消防官物語・風に立て」に主演したり、時代劇ではヅラもよくお似合いだった水谷クン。
 役者としての活躍が目立ってしまいましたが、スタ誕屈指の歌唱力と呼ばれ話題に上りました。テレビでさかなクンを見るたびなぜか水谷クンを思い出してしまうのですが、阿久悠+都倉俊一の2大先生コンビによる楽曲は爽やかな名曲ぞろいですので、スタ誕ファンの皆さん、ぜひ一票を!

(2011.1.21)

*「スター誕生! CD&DVD-BOX」の詳細はVAPの特設サイトをご覧ください。


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