オススメ復刻盤「僕らのアニメ・ヒッツ」


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 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#727

僕らのアニメ・ヒッツ

(2015.2.11発売、MHCL-2500、¥2,200+税)

定番から隠れた名曲まで、アニソン18曲を厳選!

 「アニメ」という言葉はいつ頃から市民権を得たんでしたっけ。
 個人的な記憶をたどっても70年代半ば頃までは「テレビまんが」や「まんが映画」と呼んでいましたし、それらは今のように大人も楽しんでいいものではなく、小さな子どもが見るものと決まっていました。

 それは雑誌の場合も同じで、大の大人が正々堂々とまんがを読むなんて、社会からは許されてはいなかったように思います。むろんエッチな成人向けや一部青年まんが雑誌など、例外はあったと思いますが、どちらかと言えば悪というレッテルを貼られていたような気がします。

 今やクールジャパン戦略のもと、国を挙げて日本のアニメを世界へと売り出す時代なのですから、ホント隔世の感がありますが、テレビまんがと呼んでいた頃は、主題歌にしてもあくまで子ども向け童謡歌手が歌うものが多く、レコードの値段にしても流行歌より安かったりしたのですね。

 その常識を一新させたのが、かの「宇宙戦艦ヤマト」だったように思います。美しいアニメーションによる壮大な宇宙を舞台にしたヤマトの世界観は、中高生を中心に大人にまで幅広く受け入れられ、社会現象的な人気を博したのです。

 カラオケブームの最中、阿久悠さんが作詞した「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌は夜の酒場でもいたく支持されていたようですが、決定的だったのは78年の夏休み映画として公開された「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」でしょう。
 東映まんがまつりの1本ではなく、単独での劇場版公開。しかも主題歌の「ヤマトより愛をこめて」を歌ったのは人気絶頂の沢田研二。レギュラーシングルではなくあくまでも臨発でしたが、オリコン4位をマーク。

 そして翌年の夏休みには、「ヤマト」を手がけた松本零士による「銀河鉄道999」がテレビで人気を博した後、映画化。ゴダイゴによる映画版同名主題歌は、オリコン2位、ザ・ベストテンでは1位という大ヒットを記録します。
 このあたりから、従来のテレビまんがとは一線を画すアニメという言葉が市民権を得るようになり、小さな子どもには難しすぎるテレビまんが、すなわち中高生以上にも愛されるアニメが増え、主流になっていったような気がします。

 80年代半ばからは、主題歌を流行歌のフィールドにいるアーティストが歌うようになったり、アニメ主題歌からメガヒットが生まれるタイアップの図式も確立されるなど、アニメとヒット曲の関係も強くなっていったんですよね。

 と、前置きが長くなってしまいましたが、このたびそんな80年代~90年代前半のアニメ主題歌から生まれたヒット曲を集めたコンピ盤「 僕らのアニメ・ヒッツ 」が発売となります。

 アニソンの定番曲から隠れた名曲まで18曲を厳選したというこのCD。83年のH2O「想い出がいっぱい」から95年の渡辺満里奈「うれしい予感」までのアニメヒッツが収録されています。

 テレビアニメとJ-POPの組み合わせによるメガヒットは、洒脱で洗練された北条司原作の「キャッツ♡アイ」のスタイリッシュな杏里「CAT'S EYE」から始まったように思いますが、ここではその「CAT'S EYE」に加え、同じく北条司原作の「シティハンター」が基盤。
 TM NETWORK「Get Wild」、小比類巻かほる「CITY HUNTER ~愛よ消えないで~」、PSY・S[saiz]「Angel Night ~天使のいる場所~」とシリーズのテーマ曲が目白押しです。

 その次には、一世を風靡したあだち充原作アニメで、「みゆき」のH2O「想い出がいっぱい」と「タッチ」の岩崎良美「タッチ」。今や巨匠となった浦沢直樹原作の「YAWARA!」から永井真理子「ミラクル・ガール」と今井美樹「雨にキッスの花束を」と続きます。

 思えば「YAWARA!」は田村亮子選手のニックネームとなってリアルの世界ともリンクしましたが、実際のスポーツ界に大きな影響を与えたのはサッカーの「キャプテン翼」。いま国内外で活躍するサッカー選手はみんな影響を受けているアニメであり、海外でもとても人気があるようですが、ここでは初代テーマの沖田浩之「燃えてヒーロー」が収録されています。

 そして「アニメ」という定義と文化を確立したと言っても過言ではない「機動戦士ガンダム」シリーズからは、TM NETWORK「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて) 」もありますが、TVガンダムの曲でデビューし、映画ガンダムの曲で初のベスト10ヒットを飛ばしたガンダム系アイドル・森口博子「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」を忘れてはいけません。

 アイドルといえば、今回は「めぞん一刻」の斉藤由貴「悲しみよこんにちは」や「ちびまる子ちゃん」の渡辺満里奈「うれしい予感」も入っていますけど、今日まで続く萌え系アイドルの要素も多分に孕んだロボット系アニメ「超時空要塞マクロス」も特筆すべき作品。
 中の人とリンクした飯島真理「愛・おぼえていますか」はアニメアイドルのはしりと言えるんじゃないでしょうか。

 こうして聴いてみると、好きなアニメから入って主題歌を歌ったアーティストが好きになったり、好きなアーティストが主題歌を歌っているからそのアニメにハマったり、身近でもいろんなパターンがあったことを実感。
 昔は、まんがやアニメというだけではなから低俗なものと決めつけられていた傾向がありましたけど、実際には大人の鑑賞に堪えうる名作はたくさんありましたので、今回、そういうことも再確認してみてもいいんじゃないでしょうか。手前ミソではありますが、よろしくお願いいたします!


(2015.1.8)

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