40周年で紙ジャケBOXが3度目のアンコール発売へ!
この11月1日でめでたくデビュー40周年を迎えた太田裕美さん。
純粋なアイドルではなかったにもかかわらず、かの「 レコード・コレクターズ2014年09月号 」での特集「日本の女性アイドル・ソング・ベスト100 1970-1979」では見事「木綿のハンカチーフ」が第1位に輝いた上、ほか3曲もランクイン(40位「しあわせ未満」、52位「九月の雨」、67位「恋愛遊戯」)するなど、40周年の祝賀行事のようなムードで再評価が高まっています。
もちろん第一線で活躍する現役アーティストですから、今春には記念アルバムとして筒美京平トリビュート・カバー集「 tutumikko 」(こちらで紹介)をリリースし、筒美作品しばりの記念コンサートを各地で開催。
さらには映像化は気が進まないという太田さんには珍しく、その模様を収めたDVD「 雨女の恩返し tutumikko 2014 LIVE 」も発表するなど、アニバーサリーイヤーらしい活発な一年となっておりますが、ここに来て旧譜アルバムBOXの再々々プレスの受付も始まりました!
そう、元々は2008年、太田さんのデビュー35周年記念企画として商品化が実現したオーダーメイドファクトリー・オリジナル商品「 太田裕美 オール・ソングス・コレクション 」。
紙ジャケCD25枚組、圧巻のBOXです。
思い返せば2007年12月に候補に挙がり、すんなりとはいかなかったけど無事2008年4月に発売(こちらで紹介)。その後もリクエストに応える形で、2009年2月、2010年9月と2度もアンコールプレス(こちらで紹介)を繰り返してきたモノですし、果たしてまだ持っていないファンの方がいらしたのかとちょっと驚きですが、候補に挙がった以上、再々々プレスが実現することを祈っております。
完全限定盤のアンコールプレスに対しては「希少性が下がるからやめてほしい」とおっしゃる方もおいでのようすけど、太田さんの名曲たちを1人でも多くの方に聴いてほしいと思っているファンとしては、とっても喜ばしいことですし、ここであらためて紹介させていただきましょう。
と言いつつ、今回も基本、過去の文のコピペですけれど…。
文字通り、太田裕美20世紀の全オリジナル・アルバムを紙ジャケ復刻したこの25枚組BOXは、童謡アルバム「 どんじゃらほい 」(こちらで紹介)や、2006年発売のアルバム「 始まりは“まごころ”だった。 」(こちらで紹介)&最新作「tutumikko」を除き、太田さんの全楽曲(オリジナルアルバムおよびシングル)を網羅したもの。
構成はといいますと、まず75年のファースト「まごころ」から結婚休業前の84年に出した「TAMATEBAKO」までの18枚に、85年に発売された最初で最後のライブ(当時はそういう触れ込みだったけど、後に自主制作でライブCDが出てます)「HIROMIC WORLD」、そして完全復活した98年からの傑作ミニアルバム三部作を加えた全アルバム22枚。
ミニアルバム3枚にはボーナストラックとして全シングルA面のオリジナル・カラオケも入っております。
これにアルバム未収録のシングル曲40曲を集めたソングス・コレクションI&Ⅱ(発売以来よく「恋愛遊戯」の件でご質問いただくことがありますが、皆さんと同様の疑問は以前から承知しておりまして、これは検討の末メーカーに残るレーベルコピーの表記のまま“シングル・バージョン”となったものです)、さらには超貴重なCMソングをはじめ初商品化&初CD化音源多数、マニアな皆さんのリクエストにもしっかり応えた24曲のソングス・コレクションⅢという圧倒的なボリュームとなっています。
しかもブックレットには、全シングル・ジャケット完全掲載、セカンド「短編集」の松本隆さんの手書き歌詞原稿、懐かしのコンサート資料、ご本人所有のアルバムからはがして拝借したというライブ・メモリー・フォトグラフ、そしてお手伝いさせていただきましたアルバム解説とディスコグラフィーに主要参加曲&提供曲リストという盛りだくさんの内容となっております。
確固としたコンセプトのもと作り続けたアルバムはいずれも名盤ぞろいですし、LPの売れ行きが群を抜き、アルバム・アーティストと評された太田さんのこのボックスこそ、数あるアルバムボックスの中でも自信を持ってオススメしたい内容です。
選書盤をそろえている皆さんも、24bitデジタルリマスタリングのいい音で聴け、オリジナルの紙質までもを徹底再現したジャケット&歌詞カードをとことん楽しめるこのボックス。また違う価値があると思いますので、ぜひ家宝として手に入れたいものですよね。
デビュー時から「シングルとアルバムは別物」という考えのもと、数々の優れたコンセプト・アルバムを残してきた太田さん。
それはご本人の資質や松本隆+筒美京平をはじめとする優れた作家陣の力もありましょうが、やはりCBS・ソニーの白川隆三さん、渡辺音楽出版の原正志さんという素晴らしいディレクターコンビが築き上げた功績によるものでしょう。
これを受け継いで、NY帰国後の新境地を開拓した夫君も、筒美先生ラブコールによる復活の際に手を挙げたというキューン・ソニーの加納糾さんも、コレには入っていませんが「始まりは“まごころ”だった。」を担当しこのBOXのプロデューサーでもあったソニー・ミュージックダイレクトの吉田格さん(いずれも当時)も、歴代ご担当の皆さんは、ホントに後世にまで残る名盤を作り続けてくださいました。
シングルでは歌謡曲っぽいものも多かったし、アイドル的要素も高かった太田さんですが、アルバムのベクトルは初期のフォーク・ニューミュージック系から、テクノやニューウェーブの味付けを施したジャパニーズポップス、世紀末の良質音楽回帰まで、とにかく多彩。ホント、ウワバミのように何でも飲み込んで、しっかり消化して、あざやかに昇華する才能は、当時も今も唯一無二の存在ではないかと思います。このへん、ご本人のケロケロなキャラのせいで、あまりクローズアップされない部分ではあるのですが。
いずれにしても、これからも天賦の声質と併せて、行けるとこまで突き進んでいただきたいですよね。長年ファンであるワタシですが、NY時代以降のご本人の作家としての才能にも驚愕しています。
という太田裕美史上最大であり最高といえるBOX、4年ぶりのアンコールプレスですので、これが最後の機会のような気がします。もしまだ未入手で、躊躇される方がいらっしゃいましたらこの機会をお見逃しなく。
なお、このBOXを入手したら、続編であるオリジナルアルバム「 始まりは“まごころ”だった。」と「tutumikko」を一緒にそろえるとオリアルはコンプリートとなります。
さらに「 初恋 」(こちらで紹介)や「金平糖」(こちらで紹介)といった、このBOX以降に出たシングルも併せてどうぞ。
いきなりBOXは無理…という方は、シングルA面集+各アルバムからまんべんなくチョイスしたアルバム曲集の4枚組「 太田裕美 GIFT BOX 」またはBlu-spec CD2による名盤復刻シリーズ第1弾(こちらで紹介)で出た大ヒットアルバム3作「心が風邪をひいた日」「手作りの画集」「12ページの詩集」(こちらで紹介)でまずはお試しを。たぶん全作そろえたくなるはずですので。
(2014.11.4)