透明感あふれる朝倉理恵、坂田晃一を歌う！
1973年、CBS・ソニーの先輩であるＫとブルンネンのカバーシングル「あの場所から」でデビューした彼女は、一部に熱心なファンを持ち、アイドルマニアからはかの酒井政利プロデューサーの秘書をしていたことでも知られています。
我々世代では、朝倉理恵の名を知らなくても「おはよう！こどもショー」の名曲「あの子」を歌った桜井たえこと言えば分かる人も多そうです。
82年に柏原よしえによるリメイク「あの場所から」がトップ10ヒットを記録してからは、南沙織とともに「あの場所から」を歌っていた一人として再注目されてきたことはご存じのことでしょう。
直後の廃盤ブームではシングルレコードが高値で取引されましたし、それを受けて83年に企画されたCBS・ソニーの「メモリアル・ヒットバンク」シリーズには南沙織、天地真理、浅田美代子、山口百恵、キャンディーズらビッグネームとともに堂々とラインアップに加わり、「あの場所から／ひとりの部屋」「さよなら，今日は／港の詩」「春の雨はやさしいはずなのに／武蔵野にて」のシングル３枚セットが復刻されたこともありました。
そんなこんなでCD時代になってからも「あの場所から」だけはコンピ盤によく収録されたものでしたが、アルバムのCD化は、75年発表のサードにしてベスト的な「ひとさし指」（太田裕美「雨だれ」のカバーも収録）が94年にCD選書でリリースされただけだったのですね。
しかも、それもすぐに廃盤になりましたし、その他は98年の「アーリー70´sフィーメイル・アイドル・コレクションVOL.1」に収録されただけと、超復刻時代にあって、とても冷遇されていたのでした。
とはいえ、オーダーメイドファクトリーでは2007年に73年のファーストアルバム「あの場所から」が候補に挙がったこともあったのですが…。
結局は規定数をクリアできずに実現ならず、試金石が不発に終わってしまったのですからね。後が続かなかったのは、致し方ないことだったのです。
もはや…と思われたのですが、担当者の尽力で2010年、スペシャル商品としてG☆Bのシングルコレクション「 GOLDEN☆BEST limited 朝倉理恵
そうはいってもOMFでもあまりニーズがないというレッテルが貼られていたのは確かだったようで、不発に終わった「あの場所から」の復活はなく、このところは静かな状態が続いていたのでした。
未CD化のアルバムはあと1枚だっただけに残念に思っていましたが、2012年に出た作曲家・坂田晃一先生の作品集「坂田晃一 テレビドラマ・テーマトラックス」（こちらで紹介）が好評だったことも大きかったのでしょう。
ここに来て“朝倉理恵、坂田晃一を歌う”といえる74年発表のセカンドアルバム「 誰のために愛するか
個人的にこれはもう即予約という感じですが、このアルバムは書き下ろしのほか、カバー曲を含む全12曲中、11曲が坂田作品。残る小坂明子のカバー「あなた」も坂田先生がアレンジを担当していますので、坂田晃一作品集と言って差し支えない内容なのです。
坂田先生と言えば、日本テレビの名演出家・石橋冠さんとのタッグで土曜グランド劇場の劇伴音楽＆主題歌を創り上げた印象が強いのですが、朝倉さんに書き下ろしたのもグランド劇場の縁。常連の浅丘ルリ子さんが主演した73年のドラマ「さよなら,今日は」の同名挿入歌がスタートだったそうです。
ズズの詩も胸に響くシンプルな名曲ですが、朝倉さんの「さよなら,今日は」を知らなくても、その8年後、枠は違いますが同じ日テレで榊原郁恵ちゃんが主演したドラマ「先生は一年生」の主題歌として歌ったカバーバージョン（未商品化）で耳にしたという方は多いはずです。
このアルバムは、朝倉さんの第3弾シングルになったその「さよなら,今日は」をはじめ、島田陽子主演のNETドラマ主題歌に起用された第4弾「誰のために愛するか／風の中の日々」というシングル曲を中心に構成。
坂田先生も太鼓判を押した朝倉さんの歌声にのせて、ラブサウンズとでもいうべき、流麗で哀愁漂う坂田メロディーの真髄が堪能できること請け合い。
赤い鳥からビリー・バンバン、伝書鳩へと歌い継がれたグランド劇場伝統のヒット曲「目覚めた時には晴れていた」、ドラマ「さよなら,今日は」の主題歌として、まがじんが歌いヒットした「愛の伝説」といったカバーも秀逸です。
なお、ナンノファンによく注目される「風のマドリガル」は同名異曲で、小林啓子さんが歌ったカルピスのCMソングを発展させたものですのでご注意を。
なお、CDの仕様は朝倉さんの美声がさらに冴え渡りそうな高音質のBlu-spec CD2。しかも商品化決定前の予約者には、なんと直筆サイン色紙という特典が付くそうですので、どうぞお早めにご予約ください！
（2014.9.1）
