松本+筒美作品や南沙織のカバーを含む1stが再発!
今年はTHE ALFEEのデビュー40周年。アニバーサリーイヤーを掲げたメディア露出は多かったですし、先ごろ話題になった高見沢さんのウルトラマンタカミーのインパクトも強烈でした。
記念のリリースもタイアップソングベストBOX「 TIE-UP~Collaboration History~ 」からセルフカバーアルバム「 Alfee Get Requests! 2 」にシングル「 英雄の詩 」、映像BOX「 THE ALFEE 40th Anniversary スペシャルボックス 」や「 40th ANNIVERSARY 2014 VIDEO CLIPS II+(Blu-ray Edition) 」まで充実していますが、40周年を締めくくるようにビクター時代のアルバムが再発されます。
それが、ビクター時代の全音源をまとめ、幻の未発売シングルを初収録した「 青春の記憶+2 」。
75年7月発売の記念すべきファーストアルバム「青春の記憶」に、発売中止となった幻のシングル「府中捕物控/明日からよその人」がボーナストラックとして追加収録された構成ですが、このシングルはビクターの社内で3億円事件の時効というテーマが物議を醸し発売直前に中止となり、日の目を見ることのなかったという、まさに幻のシングル。
ファンの間ではおなじみのエピソードで、ラジオ音源も出回っていましたし、アニメファンには作者の山本正之さんのセルフカバーも知られていたり、アルフィー自身も笑って話せる過去という感じのナンバーですが、39年間お蔵入りだったので、コアなファンは待望の初CD化になると思います。
発売中止騒動があったことをきっかけに自作自演に力を入れるようになったそうで、それがあったからこそ今のTHE ALFEEがあるワケだし、今だからこそ楽しんで聴ける1曲ではないかという気がしますね。
結局はそのシングルを最後にビクターを離れ、研ナオコのバックを務めたりしつつキャニオンへと移籍し「ラブレター」や「無言劇」のスマッシュヒットを経て「メリーアン」でブレイクしたアルフィー。
このアルバムも、ブレイクに便乗して「GREENHORN」というタイトルに変更され再発。
CD時代になってからも型番を変え何度もCD再発を繰り返してきましたが、今回はタイトルを戻して前述のボートラを付けた上、初のSHM-CD化。
しかも、ジャケットデザインもアー写を使った新デザインにリニューアルされ、ブックレットには幻の「府中捕物控」のジャケットをはじめ未発表カットも掲載されるそうなので、コアなファン垂涎という感じになる模様です。
さて、今回はボートラばかりが話題になっているようなので、このアルバム、というかビクター時代のアルフィーについて申し添えておきますと、72年のポプコン入賞実績を持つコンフィデンスを前身に、74年8月、フォークグループ・アルフィーとしてシングル「夏しぐれ」でデビューした時は4人組でした(もう1人の三宅康夫さんはビクター時代に脱退)。
歌謡曲黄金時代、フォークといえども自作自演でなく、ヒットの近道である職業作家の作品でデビューするアーティストが多かった時代。アルフィーも例外ではなく、ビクター時代は松本隆+筒美京平のコンビによる叙情派フォーク歌謡がメインだったのです。
2枚のシングル「夏しぐれ/危険なリンゴ」「青春の記憶/真夏の夢」しかり、それらを含むこのアルバムしかり。
それもゴールデンコンビの草創期と言いますか、ごくごく初期の貴重な作品群が聴けるという、松本さんや筒美先生のファンは必携のアルバムとして知られてきました。
ちなみに松本+筒美コンビの作品で最初に世に出たのは、元ブルーシャルムでベストセラー「日本沈没」の文芸ソングも歌った桑原一郎さんのシングル「谷間の百合/ミルクティーの午後」とされていますが、発売日ではアルフィーの「夏しぐれ/危険なリンゴ」はその次あたりという位置づけです。
その後、オフ・コースの「忘れ雪/水入らずの午後」、太田裕美に書いて初ヒットとなった「雨だれ/白い季節」へと続いていくワケですから、「夏しぐれ」をはじめとするアルフィーの作品はコンビにとっても重要な位置づけになることは間違いないでしょう。
また、「夏しぐれ」は、同じ年に筒美系シンガーの南沙織がアルバム「20才」で悲壮感いっぱいにカバーしていますが、このアルバムでアルフィーは逆にシンシアのヒット曲「ひとかけらの純情」(作詩は有馬三恵子)をかわゆくカバー。若き桜井さんをリードボーカルに、リバティベルスに負けじと言わんばかりのコーラスワークも聴かせています。
さらにオフ・コースの「水入らずの午後」、ブレッド&バターの「白いハイウェイ」、つなき&みどりの「ウエイト・アローン」という3曲のフォーク系松本+筒美作品をカバー。
高見沢さんや坂崎さんらメンバーによるオリジナル曲も3曲入っていますが、全体では松本さんの作詩作品が8曲、筒美先生の作曲作品が9曲となっていますので、お2人のファンの方でもし未聴の方がいらっしゃいましたらこの機会に。
なお、今回は最新デジタルリマスタリング&初のSHM-CD化ということなので、買い換えもアリではないかと思います。
(2014.11.20)