祝35周年! 匠・ノブさんの名サウンド満載コンピ!
清水信之さんといえば、アレンジやサウンドプロデュースのみならず、1人でさまざまな楽器を演奏するマルチプレーヤーとしても知られるミュージシャン。
高校時代から同窓のEPOや佐橋佳幸さんとバンドを組んでいたことも知られていますし、80年代初頭からは最先端の打ち込みサウンドを得意とし、ポップ職人とでも言うべきアレンジャーとして、アイドルから大御所まで数々のヒット曲や名曲を手がけてきました。
「このサウンド、いいな」と思う曲はみんな「清水信之編曲」というような時代もありましたし、大江千里ファンにとっては、レコードだけでなくツアーにも参加していた“ノブさん”としてもおなじみのことでしょう。
80年代という新しい時代のポップスは、80年1月に発売された竹内まりや「不思議なピーチパイ」から始まったと言っても過言ではありませんが、そのアレンジを作曲者の加藤和彦さんと共同で担当したのが、スタジオミュージシャンとしてまりやさんのデビューから関わっていたノブさんでした。
それから35年の今年、ノブさんのアレンジャー暦も35年になるそうで、このたび、記念の2枚組コンピ盤「 LIFE IS A SONG (清水信之アレンジャー歴35周年記念アルバム) 」のリリースがアナウンスされました!
収録予定曲をひもとくと、80年から2014年までの膨大な作品の中からメーカーの枠を超えて厳選された39曲+新曲となるそうですが、まずは80年代。前述の「不思議なピーチパイ」をはじめトノバンの作品がずらり。
伊藤つかさのシンプル&荘厳な第2弾シングル「夕暮れ物語」、岩崎良美のトノバン・ヨーロッパ路線第1弾「愛してモナムール」、アニメ系アイドルのはしりと言える飯島真理の「愛・おぼえていますか」に加え、トノバンだけでなく、映画出演者もこぞってシングル化した「だいじょうぶマイフレンド」はジャPAニーズ・のおちん(乃生佳之)バージョンがチョイスされています。
ボーカリストからソングライターへと成長した後のまりや作品では、河合奈保子の「けんかをやめて」、中山美穂の「色・ホワイトブレンド」。2人ともまりや作品がターニングポイントになってシンガーとして成長を遂げていきましたが、いずれもノブさんのアレンジだったんですね。
旧友のEPO作品では、EPO自身のブレイクナンバー「う、ふ、ふ、ふ、」をはじめ、高見知佳「くちびるヌード」、香坂みゆき「ニュアンスしましょ」といった資生堂CMソングや、岡田有希子「彼はハリケーン」という選曲。
こうして聴けば、当時のEPOが得意としたオリエンタルなテクノサウンドも、ノブさんなしには完成しなかったのだと感じます。
また、ヨシリンも含め、トノバンや大貫妙子さんらのヨーロッパ的なアルバムに参加しててきたノブさんですが、ター坊の場合はヨーロッパ三部作ではなく、よく知られたみんなのうた「メトロポリタン美術館」が入っています。
今回はポニキャンからのリリースにつき、森尾由美「お・ね・が・い」、堀ちえみ「夕暮れ気分」、研ナオコ「Tokyo見返り美人」、田原俊彦「KID」、おニャン子クラブ「赤道探検隊」に高井麻巳子「かげろう」とポニキャンのアーティストが目立ちますが、80年代を席巻したポップスの潮流は、やっぱりEPIC・ソニー。
EPICからは、ノブさんがファミリー的に関わった千里クンの「REAL」やみさっちゃんの「恋したっていいじゃない」、岡村ちゃんの「Super Girl」が収録されています。
90年代は、後に結婚した平松愛理の代表作「部屋とYシャツと私」をはじめ、稲垣潤一のメガヒット「クリスマスキャロルの頃には」、筒美京平作品にしてテイトウワと共同アレンジしたNOKKOの会心作「人魚」と、インパクトのある大ヒットが並びますし、2000年代はゴスペラーズの「ミモザ」に、ゴスペラーズとラッツ&スターのユニット・ゴスペラッツがシャネルズ時代のヒット曲をリメイクした「ハリケーン」といった記憶に残る企画も。
そして2010年代には、AKB48のセンター・まゆゆのユニット、渡り廊下走り隊の「麻友のために」や、さんみゅ~が事務所のパイセン・のりピーをカバーした「夢冒険」と、現役バリバリのアイドルを手がけているのもスゴイですよね。
基本よく知られたシングル曲が中心だし、それらも数が多すぎて2枚には収まらない感じで、個人的に大好きな薬師丸ひろ子の「風に乗って」やEPOの「モダンロマンス」、キョンキョンの「GOOD MORNING-CALL」などたくさんの名曲が漏れていますが、竹内まりや「 LOVE SONGS 」、南佳孝「 SILKSCREEN 」、大貫妙子「 SIGNIFIE 」、岩崎良美「セシル」(こちらで紹介のBOX「 岩崎良美 Debut 30th Anniversary CD-BOX 」に収録)、加藤和彦「 あの頃,マリーローランサン 」、EPO「 ビタミンEPO 」や「 ハーモニー 」、飯島真理「 midori 」、渡辺美里「Flower bed」(こちらで紹介のBOX「 Wonderful Moments 25th 」に収録)などなど、アルバム曲にも名アレンジが満載ですので、このコンピから奥深く進んでいくのもいいんじゃないかと思います。
千里クンならば全面プロデュース&アレンジの2作「 未成年 」「 乳房 」をどうぞ。
なお元々はバンドデビューしたノブさんですし、ファーストの「 コーナー トップ 」や名盤と誉れ高い「 ANYTHING GOES 」といったソロアルバムも復刻されていますので、これを機にソロへと進むのもよさそうです。
(2015.1.29)
*発売延期の末いったん中止の案内が出ましたが、型番変更による延期で、発売は2015.8.19となります。
なお、清水信之 with Best Friends名義(安部恭弘、池田聡、稲垣潤一、浦嶋りんこ、EPO、大貫妙子、岡村孝子、ゴスペラーズ、さんみゅ~、鈴木雅之、谷村有美、中西圭三、渡辺麻友、渡辺美里/村上ポンタ秀一、松原秀樹、佐橋佳幸、森俊之)による新曲「終わらない歌」(作詞・秋元康、作曲・大江千里)も収録されるとのことです。(2015.6.17)