花のトリオを咲かせた、まさにゴールデン☆アイドル!
多くのアイドルを輩出した「スター誕生!」を代表する花のトリオが同時発売で揃い踏み。ということで、巷では大きな注目を集めている「ゴールデン☆アイドル」シリーズ第2弾。
CBS・ソニーの山口百恵(こちらで紹介)、ミノルフォン(後にポニーキャニオンに移籍)の森昌子(こちらで紹介)というホリプロ勢に続き真打ちとなりますのは、ビクターレコード&サンミュージック所属の“そよ風の天使”、桜田淳子「 ゴールデン☆アイドル 桜田淳子 」です。
73年の夏休み、渡辺プロの天地真理を頂点にしたアイドル戦線を勝ち抜くべく、番組の特命を受けて結成されたのが“花の中三トリオ”だったワケですが、その中心にいたのが1年早くデビューして人気アイドルになっていたマコ。逆に、当初は添え物的で、まったくもって出遅れていたのが百恵ちゃん。
そしてトリオの人気を花開かせ、定着させたのが、テレビ予選から大スターの誕生を確信させ、中3トリオでは早くも人気抜群だった淳子でした。
もっとも百恵ちゃんはデビューが遅かったというのも大きかったと思いますが、花のトリオとしては中3から高3まで、3人の誰よりも真面目に真剣に、一生懸命頑張っていたのは誰がどう見ても淳子でした。
そんな淳子を前に、大衆がホリプロ3人娘の石川さゆりを認めるなんて到底あり得ないことだったのは、子どもの目から見ても明らかでしたよね。
あれから41年。いろんなことがあって長らく姿を消していた淳子ですが、つい昨年、デビュー40周年を記念した初の自選ベスト「Thanks 40~青い鳥たちへ」(こちらで紹介)をリリースし、なんと発売記念のイベントも開催。
公式ではおよそ20年ぶりにファンの前に姿を現し、歌も披露するなど、すわ本格復帰かとメディアも色めき立つほど大きな話題となったのは、記憶に新しいところです。
結局は本格復帰には至りませんでしたが、往年のファンにとっては、前後のエピソードや当日の模様を通じ、トリオの頃から人一倍強かったプロ意識や生真面目さなど、淳子特有の姿勢がいまだ健在だったことを確認できただけでも、大きな収穫だったと思います。
個人的には抽選にハズれてしまい残念ながら拝見することは叶わなかったのですが、いろんなことを聞いてうれしく思ったことでした。
さて、今回の「 ゴールデン☆アイドル 桜田淳子 」には、73年のデビューシングル「天使も夢みる/足長おじさん」から、女優メインへと転向しラストとなった83年の「眉月夜/数えないで」まで、アナログ盤で発売されていたシングル38枚分のAB面全76曲を高音質のSHM-CDに収録。
そして、アナログシングルサイズの紙ジャケパッケージに工夫たっぷりに収納し、さらにはシングル盤のジャケットをほとんどそのまま復刻したブックレットが付くという、シリーズ特有の豪華仕様となっております。
マコの時にも書きましたが、今回のシリーズの共通項として、花の高2トリオ時代に共演した映画「初恋時代」の主題歌として、唯一3人のために書き下ろされ、各人の音源が残っているナンバー「初恋時代」をボーナストラックに入れてくれたら最高なんですけど。
ちなみにこの曲、3人で歌ったバージョンは映画でしか聴けませんので、未聴の方がいらっしゃいましたら、単品ブルーレイ「 花の高2トリオ 初恋時代 [Blu-ray] 」かDVD「 花の高2トリオ 初恋時代 [DVD] 」(「初恋時代」も披露された高3トリオ卒業記念コンサートの映画の単品ブルーレイ「 出発 三人娘・涙の卒業式より [Blu-ray] 」は2015年1月13日発売予定だとか)、またはDVD-BOX「森昌子・桜田淳子・山口百恵/Memorial Box『初恋時代/出発(たびだち)』」(こちらで紹介)かブルーレイBOX「山口百恵 映画全集 1974-1980 Blu-ray BOX」(こちらで紹介)で、ダウンロードなら「 花の高2トリオ 初恋時代 」「 出発 三人娘・涙の卒業式より 」でご覧ください。
それはさておき、まさにアイドルの中のアイドルという感じで、欽ちゃんは後光が差すのを感じたそうですが、光り輝いていた淳子にはゴールデン☆アイドルという称号がぴったりですよね。
スタ誕では史上最高のスカウト札が上がったという淳子の記録は、番組終了まで破られることがなかったといいますし、スタ誕の方向性や運命は彼女の登場で定まったと言われるほどです。
後の輩出者を思えば、70年代に確立した普通の女の子がアイドルになるという図式や、女性アイドルの歴史は淳子がいなければ大きく変わっていたのかもしれません。
百恵ちゃんが注目され大成できたのも、淳子との対比があったからこそだと思っていますし、美貌や才能という天賦のものに恵まれていながら努力を重ねるという姿勢を兼ね備えた淳子は、やっぱり偉大な存在なんですよね。
自意識過剰な演劇少女時代を経て、自我と向き合い、女性として成長を遂げた淳子。いつしか女優として、エンターティナーとして、神々しさとナチュラルな両極の美しさを漂わせていきましたが、今回、歌とジャケットでそのメタモルフォーゼをじっくり検証すれば、淳子の魅力と実力を再確認できることでしょう。
やれ出しゃばりだの、やれわざとらしいだのと言われた淳子ですが、それって内外ともに美しく完璧主義だった淳子に対するさもしい悪口だったということが実感できるはずです。
とはいえ淳子の場合、2003年BOX「桜田淳子BOX〜そよ風の天使〜」でAB面が完全初CD化となり、特典としてCDサイズではありますがシングルレコードのジャケットも復刻されておりますし、2008年にはアンコールプレスされておりますので、今回は躊躇する人も多そう。
でもですね、あのBOXも今となってはこの「ゴールデン☆アイドル」シリーズの仕様の前にかすんでしまうことだと思いますので、BOXをお持ちの皆さんも一度手にとって検討されることをオススメします。
と言いつつ、サイズ的なこともあり、特定のショップ以外はなかなか店頭に並ばないのが悲しいのですが…。
また、A面をコンプリートした「 ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション 」を持っている方も、淳子のB面は初期の「あなたのひとりごと」「白い貝がら」、中期の「招待席」「ロンリー・ガール」、後期の「恋はSEE-SAW」「刹那Tic」などなどいい曲も多いので、ぜひアップグレードを。
むろんA面にしても、レココレの「日本の女性アイドル・ソング・ベスト100 1970-1979」には6曲(20位「はじめての出来事」、25位「リップスティック」、64位「わたしの青い鳥」、84位「しあわせ芝居」、90位「気まぐれヴィーナス」、96位「十七の夏」)がランクインしましたが、淳子の名曲はこれ以外にも後期を中心にたくさんありますのでね。
淳子の場合、淳子を特別に愛した阿久悠さんがキャラ付けした初期から中期のインパクトが強すぎて、歌手として最も脂が乗った後期の歌がかすんでしまっているようで、実に残念な限りです。
いつも言っておりますが、淳子の真価は板の上でこそ発揮されるものなので、「ゴールデン☆アイドル」で淳子を再発見した方は、入手困難ではありますが、なんとかしてライブBOX「桜田淳子BOX~スーパー・ライブ・コレクション~」(こちらで紹介)を聴いていただきたいと思います。
なお、今月には淳子初のSHM-CDとして、既発の1枚ものG☆Bを単にSHM-CD化したという「 ゴールデン☆ベスト 」も発売になるようですが、やっぱり淳子の魅力を堪能したり、軌跡を追ったりするには全然物足りないと思いますのでご注意を。
その点、お値段は2倍以上になりますが4枚組ゆえ1枚あたりの単価を考えると激安のお買い得盤ですし、EP盤の懐かしさとともにフォトジェニックアイドルとしての淳子もしっかり堪能できる豪華仕様ですので、どっちも買うという方以外はどうか3カ月待って「ゴールデン☆アイドル」の方をお求めください。絶対後悔しないと思いますから!
(2014.11.14)