大好評のシリーズにEPOの6タイトルが登場!
名匠・吉田保さんが蘇らせる、究極の音色、アナログの臨場感。シティポップス&オーディオファンの間で大好評の「吉田保リマスタリングシリーズ」。
昨年の8月にSony Music Shop限定販売の杉真理の「 MISTONE-30th Anniversary Deluxe Edition-【初回生産限定盤】 」からスタートして以来、10月にはSony Music Shopとタワーレコード限定でハイ・ファイ・セットや南佳孝、吉田美奈子の13タイトル(こちらで紹介)、今年の2月には吉田美奈子、ケン田村の7タイトル(こちらで紹介)とコンスタントにリリースされています。
リリースに合わせて行われる購入者抽選招待イベントも内容充実の模様で、春分の日には試聴会と伊藤銀次さんのネットラジオの公録みたいな感じのトークショーが行われるそうですが、このタイミングで続編の発売がアナウンスされました!
そう、お待ちかね、EPOのRCA期6タイトル「 DOWN TOWN [Blu-spec CD2] 」「 GOODIES [Blu-spec CD2] 」「 JOEPO~1981KHz [Blu-spec CD2] 」「 う・わ・さ・に・な・り・た・い [Blu-spec CD2] 」「 VITAMIN E・P・O [Blu-spec CD2] 」「 HI・TOUCH-HI・TECH [Blu-spec CD2] 」(Sony Music Shopは「 DOWN TOWN 」「 GOODIES 」「 JOEPO~1981KHz 」「 う・わ・さ・に・な・り・た・い 」「 VITAMIN E・P・O 」「 HI・TOUCH-HI・TECH 」)です。
EPOのアルバムはCD黎明期からCD化されていますし、復刻盤という形でも、94年にQ盤の“音パレード”シリーズが出たのを皮切りに、99年の“RCA名盤選書”シリーズ、2007年には紙ジャケという形で続いてきましたので音源自体は珍しくないでしょうが、ここ数年は入手困難でしたから、コアなファンの買い増しだけでなく、買い換えの需要も結構ありそうな気がします。
駆け足で紹介しますと、まずは80年3月発表、言わずと知れたシュガーベイブのカバー曲によるデビューシングル「DOWN TOWN/クラクション」をタイトルに冠し、女・達郎のイメージで発信したファーストアルバム「 DOWN TOWN [Blu-spec CD2] 」。
前年秋から竹内まりやの「September」のコーラスワークなどで注目されていたEPOにとって、待望と言えるデビュー。達郎のバックアップナンバーや、表記が時代を感じさせる「語愛」など重め系を含め、悲哀のバランスが見事なエンタテインメントとしてのポップミュージックが早くも展開されています。
余談ですが、個人的な記憶をたどると、EPOを初めて見たのは79年レコード会社対抗のオールスター大運動会。
短距離やらハイジャンプやら、とにかくアイドルたちをバッタバッタなぎ倒していくのでビックリしたことでしたけど、東京女子体育大学の学生ということを聞いて納得。この出来事と、「September」のレコードを買って歌詞カードのEPOが結びついた時の驚きといったら! そういうこともあって、ファンになるのは当然の流れだったのでした。
続くセカンドは80年11月リリース、NYとLAでレコーディングされた「 GOODIES [Blu-spec CD2] 」。
達郎のカバー「パレード」なども良いですが、やはりタイトル曲や「異国行き」といったミディアムバラードが珠玉。
EPOの資質は底抜けに明るいポップミュージックではなく、 報われない女の子の切ないバラードにあることを確認できるでしょう。そしてそれは、十数年後にヒーリング系へと進む姿を示唆しているような気がします。
さて、このアルバムと同時発売のシングル「Park Ave. 1981/ポップ・ミュージック2nd」は、まりやの後を受け、キリンレモンのCMソングに起用され話題を集めていたナンバーのシングル化。
耳に残るキャッチーなフレーズは多くの人にEPOの存在を知らしめましたが、レコード化のタイミングがもっと早ければ、そしてもっと分かりやすいタイトルであれば、絶対にもっとヒットしていたと思います。
何となくこの曲で上昇気流に乗った感じがあるEPOですが、実は決定打となったのは1年遅れで話題となったデビュー曲「DOWN TOWN」の方だったりして。
そう、フジテレビ「オレたちひょうきん族」のエンディングに起用されたワケですが、番組がまたたく間に超人気番組になったのに伴いEPOの「DOWN TOWN」はお茶の間にまで広がり、支持層が一気に増えたのでした。
その追い風を受けて81年9月にリリースされたサードは、架空のラジオ局・JOEPO(ジェイ・オー・イー・ピー・オー)をコンセプトにした“ジングル盤”12インチ「 JOEPO~1981KHz [Blu-spec CD2] 」。
「JOEPO」から「National Album Count Down ~ This Week No.1!」へと続くEPOお得意のジングルも素晴らしいですが、出色はやはり達郎アレンジのバラードの「身代りのバディー」でしょう。ター坊や美奈子とのコーラスも相まって、永遠の胸キュンナンバーに決定です。
82年5月のフォースは、ひょうきん族人気と前作の流れを汲むセルフカバー「JOEPO~DOWN TOWN」と、話題を呼んだレイ・パーカーJr.の「Girl in me」のアルバムバージョンを含む「 う・わ・さ・に・な・り・た・い [Blu-spec CD2] 」。
この後「うわさになりたい」をカップリングにしたシングル「土曜の夜はパラダイス」はひょうきん族の新エンディンディングテーマに起用され、いよいよEPOの本格的ブレイクへのカウントダウンが始まります。
そして83年春。資生堂のCMソング「う、ふ、ふ、ふ、」でついに全国ブレイクを果たしたEPO。
高校時代からの音楽仲間の清水信之さん(アレンジャー暦35周年記念アルバムはこちらで紹介)とデビュー以来創り上げてきたEPOサウンドの集大成といいますか、時代が追いついたといいますか、音もテーマも歌も、時代そのものという感じでした。
4月には「土曜の夜はパラダイス」「う、ふ、ふ、ふ、/無言のジェラシー」のシングルヒットを含む「 VITAMIN E・P・O [Blu-spec CD2] 」をリリース。Dear Heartレーベルで80年代POPの極みとでも言うべき世界を繰り広げます。
これでカラフルなビタミンカラーと、スポーティーなEPOのパブリックイメージが確立され(生真面目なEPOはこのイメージとの乖離で悩んだようです)、84年2月発売、キッチュな新体操ジャケットの「 HI・TOUCH-HI・TECH [Blu-spec CD2] 」へと続きます。
この年の資生堂キャンペーンでは作家に転じ、高見知佳の「くちびるヌード」をスマッシュヒットさせまたEPO。このアルバムからは、そのセルフカバーとタイトル曲をカップリングしたシングル「恋はハイ・タッチ ハイ・テック/くちびるヌード・咲かせます」をリカットしています。
ひょうきん族の新テーマとして人気を博した「涙のクラウン」も含め、とにかく最高峰のPOPが繰り広げられています。
そして元々はタモリのオールナイトニッポン用だったという「RADIO DEAR HEART (WDEAR 499)」が示すように、これらデビューから絶頂期までの6タイトルにおよぶEPOのRCA時代は、宮田茂樹さん(シンシアのコーラスでもおなじみだったリバティ・ベルスのメンバー!)のもと、ノブさんたち素晴らしい音楽仲間とともに創り上げた、まさにディアハートな世界でした。
このシリーズ自体、基本的にはアルバム未収録シングル曲のボートラもない感じですし、今回はRCA時代の総括とでも言うべきコンセプトベスト「THE BEST STATION JOEPO 1980-1984」も除外されていて、せっかくのタイミングでコンプリートにならないのが残念ですが、前述の通り長らく入手困難でプレミアが付いているタイトルがほとんどなので、この機会に買い換え、買い増ししてみては。
なお、EPOは、この後宮田さんがキョージュたちと立ち上げたMIDIへと移籍。Dear Heartな世界はそのままに、よりソフィストケイトされたポップを展開していきますが、MIDI時代のアルバムの一部は「 ハーモニー(紙ジャケット仕様) 」「 パンプ!パンプ!(紙ジャケット仕様) 」がSHM-CDの紙ジャケ再発シリーズで順次リマスタリングされていますので、RCAが気に入ったら、そちらへとお進みください。
ちなみにMIDI時代のマイベストは、まだ旧盤しかないですが「 GO GO EPO 」。鈴木マーチン参加の「DOWN TOWNラプソディー」をはじめ「黒い瞳のガールフレンド」などリカットナンバーが珠玉で、ホントにオススメです。
(2015.3.15)