32年経っても、変わらない“まごころ”。
復刻盤ではありませんが、ホントに待望&イチオシの新譜ですので、真っ先にご紹介しちゃいましょう。
74年に“まごころ弾き語り”でデビューした太田裕美、実に22年ぶりのオリジナル・フルアルバム「 始まりは“まごころ”だった。 」。
出る出ると言いながら、はや5年。
事務所リリースのライブ盤「Your Sweet Songs LIVE」や高橋鮎生さんとの全米発売コラボ盤「 RED MOON 」などは出てたものの、新録のオリジナルを聴きたかった皆さんも、さぞお喜びのことでしょう。
もちろんワタシも首を長~くして待っていました。
制作に入ると言ってた数年前には、筒美先生や松本隆さんが書き下ろすなんていうウワサもありましたが、そこはいつでも新しい音楽を吸収し、ボーカリストとして進化を続ける太田さん。
今回は、まず最終決定のタイトルにもビックリしてしまうんですけど、その作家陣や参加者にオドロキです。
「この愛は始まってもいない」でコラボした真心ブラザーズのYO-KINGをはじめ、ライブでギターを担当してる西海孝さんのバンド、テキーラ・サーキットのShime、テレビで共演したBaby Boo、ライブでも取り上げていたショーロクラブ、そしてBEGIN。
70年代っぽい堂島孝平やキンモクセイらから、クラムボン、ハナレグミ、元ラブ・タンバリンズの宮川弾まで。
意外に意外性はないんですけど、若き才能たちとのコラボは何だかとても刺激的。
当初アルバムタイトルに予定されていた「なないろの仲直り」、あの傑作アルバムへのオマージュみたいな「Do I Do、You Do」や、「きみはぼくのともだち」など、タイトルだけでもそそられますね。
やはり今も変わらず過激で貪欲、可憐なウワバミ・太田さんの新しい世界に期待絶大です。
サウンド・プロデュースは、お久しぶりの笹路正徳さんということですから、昔のファンにもなじみやすい作品に仕上がっていることでしょう。
作詩にドリアン助川さんが参加というのも面白くて、ついつい叫んでしまいそう。
この布陣、さすがソニーという感じですね。CBS・ソニーからデビューして、EPIC・ソニー、キューン・ソニー、ソニーレコード、そして今回はソニー・ミュージックダイレクトとソニー系レーベルを制覇し、ソニーに愛され続けている感のある太田さん。
なじみのない作家陣なんて言わず、昔のファンだという皆さんもこのニューアルバムだけはお聴き逃しのなきようにお願いいたします。
新譜よりひと足お先に、太田さんが「bottles」という曲でゲスト参加した宮川弾アンサンブルのアルバム「 pied-piper 」が出ますので、まずはそちらを聴いて発売日を待つことにいたしましょう。
しかし、前作であり例の問題作「TAMATEBAKO」からはや22年ですか。
テクノやニューウエイブ全盛期のあの頃、キッチュなカリアゲ頭だった高校生のワタシも、もう立派な中年と呼ばれるトシですからね。長い長い歳月の流れを感じるとともに、齢を重ねても頑張っておられる姿には大いに励まされます。
太田さん、いつまでも現役でいてくださーい!
(2006.10.4)